株式会社リクルートマーケティングパートナーズの
ブライダル総研が「離婚に関する調査」を行なっています。
とくにジェンダーに関するところを見てみたいと思います。
「離婚に関する調査」
「離婚に関する調査2016 リリース」(PDF)
「離婚しないために大切な5つのポイント」
ジェンダー問題的に興味を引くのは、離婚を望んでいたのは
夫婦のどちらかについての男女差です。
離婚を望むのは、女性のほうが男性よりずっと多いということです。
男性は「自分自身が望んでいた」が18.2%、
「どちらかといえば自分自身が望んでいた」が11.0%で
両方合わせて29.2%で、3割程度です。
女性は「自分自身が望んでいた」が52.0%、
「どちらかといえば自分自身が望んでいた」が12.4%で、
両方合わせて62.4%と3分の2に近いです。
これは意外性はないだろうと思います。
結婚生活は制度上も慣習上も、多かれ少なかれ男性中心的です。
男性の都合のために、女性は犠牲を強いられる傾向があります。
この一般論の反映と考えることができます。
「世界的に離婚が増えている」
とくに日本の中高年男性の未婚者は、女性や既婚者、
他国の男性と比べて不幸感がきわだって強いという、
「世界価値観調査」の調査があります。
「日本の未婚男性の不幸感」
「日本の未婚男性の不幸感」
また高齢の有配偶者に限りですが、万が一のときに、
夫は妻を信頼しているほどには、妻は夫を信頼していないという、
第一生命経済研究所の調査があります。
「独身者時代と結婚への依存」
結婚生活への依存度は男性のほうが強いということ、
そして女性は結婚生活への依存度が低く、
不満を持っていることも多いということです。
離婚を切り出すのが女性からのほうが多いのは、
この反映ということになるでしょう。
離婚の理由についての設問もあります。
女性と男性のポイントの差が多い順に、項目を並べてあります。
ジェンダー問題的な関心は、男女のポイント差になるでしょう。
これを見ていけば、なぜ男性より女性のほうが
離婚を望むことが多いのか、具体的な原因がわかることになります。
ほとんどの項目において、女性のほうがポイントが高く、
男性のほうがポイントの高い項目はわずかとなっています。
男女差が20ポイント以上でジェンダーに関係がある理由は、
「相手が育児に協力的でない」(23.8ポイント)と
「相手が家事に協力的でない」(20.4ポイント)のふたつです。
女性のポイントが高いので、どちらも協力的でないのは男性です。
日本の男性は、欧米の民主主義国と比べて、
家事時間がきわだって短いという特徴があります。
そんな日本においては、夫が家事や育児に協力的でないことは、
女性から離婚を切り出す大きな原因になるわけです。
「家事をしない日本の男性と家族思想信仰」
つぎにポイントのジェンダー差が大きいのが、
「相手のモラルハラスメント」(19.0ポイント)と
「相手のDV・暴力」(18.8ポイント)です。
どちらも20ポイント近くあって、家事、育児に続いています。
女性のほうがポイントが高いので、男性が加害者です。
男性より女性から離婚を望むことが多くなる大きな原因は、
より具体的には、家事・育児と暴力に関することだと言えます。
男性がもっと家事、育児に積極的になり、
男性によるDV、モラハラなどの暴力を減らせば、
女性から離婚を切り出すことが少なくなり、
離婚を望む側のジェンダー差はもっと小さくなると予想されます。
「あなたが相手の親や親族と不仲」は10.0ポイント差です。
女性が多いので、女性が夫の親と不仲になるということです。
家事、育児、暴力が原因の離婚が、男女で20ポイント前後の差が
あることに比べると、案外少ないと言えるかもしれないです。
全体の回答数も10%程度で、ほかの理由と比べるとやや少なめです。
それでも三世代世帯の絶対数はごく少ないことや、
現在も減り続けていることを考えると、
結構多いと言えるかもしれないです。
「世帯数の推移・単独と三世代」
「伝統的家族」が大好きな人たちの推奨する
三世代家族が増えると、このポイント差は大きくなり、
さらに全体の回答数も増えるのではないかと思います。
「3世代同居で少子化対策?」
「伝統的家族で出生率回復?」
ジェンダーに関係ない理由で、ジェンダー間のポイント差が、
家事、育児、暴力と同じくらいの理由は、「相手の借金」(21.2ポイント)
「金銭感覚の違い」(19.6ポイント)です。
これらも女性のポイントが高いので、原因は男性にあります。
お金の問題というのは、ジェンダーに関係する理由と同じくらい、
男女のポイント差があるということです。
お金に関してルーズな人が、男性にはそれだけ多いのでしょうか?