2017年03月05日

toujyouka016.jpg 他人の気持ちを理解できない

2月26日エントリの続き。

深淵な非もてのサイトのかたによる、
「男はつらいよ」シリーズ48話の驚くべき「解釈」についてです。

「「男はつらい」のは「男が悪い」で片付けられてしまうのか? 
女は悪くないのか??? −−「男はつらいよ」最終作への不満」


前のエントリでは、女性にとって不本意な結婚が
脅威となることが、深淵な非もてのサイトのかたには
ぜんぜん理解できない、ということをお話したのでした。
深淵な非もてのサイトのかたは、それ以前に他人の気持ちや感情を
まったく理解できないという問題があります。

 
「男はつらいよ 寅次郎紅の花」
「第5430回「男はつらいよ全集 その48、寅次郎紅の花 リリー:浅丘ルリ子」(最終作) 」

ところが、寅の甥の満男に大事件が起こる。
以前から想いを寄せていた泉が突然上京したかと思うと、
医者の卵との縁談の相談を持ち掛けてきたのだ。
動転した満男は、泉の縁談を祝福するような心にもないことを言ってしまう。
泉ちゃん(後藤久美子さん)が上京したのです。
「先輩、わたし結婚することになったんです。
でも、その前に、先輩の考えを聞きたくって」、ですが、
満男は好きだと言えませんでした。
泉ちゃんは、先輩に「結婚なんかやめろよ」と言ってほしかったのですが・・・・。

泉の結婚相手は、津山の旧家出身の医者でした。
今は研修医ですが、将来は父親の跡を継ぐ予定になっています。
もちろん、泉のママ(夏木マリさん)は、大喜びです・・・・。
願ってもない縁談です。

イズミとミツオが再開したときふたりの気持ちは、
「自分は相手に想いがあるけれど、相手は自分のことを『いいお友達』
くらいにしか思っていないのではないか」だったろうと思います。
イズミもミツオも双方同じように思っていたでしょう。


深淵な非もてのサイトのかたは、イズミが自分の気持ちに
正直に「ミツオが好きだ」と言わないことが、
まったく理解できなくてとても不満なようです。

じゃあ、どうしてイズミは、自分の結婚話などを持ち出す前に、
ミツオにまず「好きだ」と告げないのだろうか。
自分の結婚話を持ち出すことでミツオの方から愛の告白をさせようとする
というのはあまりに虫が良すぎるのではないか。

イズミはすでに縁談が決まっているのですから、
それに反して「ミツオが好きだ」なんて言えるはずもないことです。
それが言える場合があるとしたら、ミツオは自分に対して
想いがあると確信できるときだけです。

なぜイズミがミツオに自分の結婚の話をしたかは、
前のエントリでもお話しましたが、イズミは自分が不本意な
結婚をすることになるという運命を伝えに来たこと、
そしてミツオに自分を救ってほしいということです。


「そんな男は鈍感だ」とでもイズミは言うのだろうか? 

言わないよ。
ミツオが自分を救い出すことに積極的にならなければ、
「ミツオは自分のことを『いいお友達』くらいにしか
思っていなかった」と思うことになるでしょう。

イズミはミツオに自分の気持ちを察して欲しかったとは
思っているでしょうが、ミツオが自分に対して想いがないなら、
それはそれでしかたないと考えるでしょう。


それではイズミは、 自分が嫌悪を催すような嫌いな男に
「結婚しようと思っている」と言ったら、 そういう男に限って
お目出度い人で「そんな奴と結婚するのはやめろ、
私と結婚した方がしあわせになる」とか言ってつきまとってきた場合でも、
その男の「敏感さ」即ち「お目出度さ」をありがたがるのだろうか。
自分の好きでない相手の「お目出度さ」は迷惑でも
自分の好きな相手にだけ「お目出度さ」を要求するのでは虫が良すぎる。

深淵な非もてのサイトのかたは、なぜかミツオをストーカーまがいの
「おめでたい人」ということにしています。
「いいお友達」程度ですでに決まった縁談を妨害したら
「おめでたい人」と言えるのかもしれないです。

イズミはミツオのことを「おめでたい人」だとは
思っていないから自分の縁談を話して、
ミツオが自分をどう想っているのか確かめる必要があったし、
自分のことを「いいお友達」としか思ってないと判断した時点で、
ミツオに救い出されることを諦めたのでしょう。


ミツオがイズミの「縁談を祝福するような心にもないことを
言ってしまう」のも、「相手は自分を『いいお友達』くらいにしか
思っていないのではないか」と考えていれば当然です。

その「いいお友達」が、自分以外に結婚する相手がいるなら、
自分の想いがどうあろうと、その相手を尊重するでしょう。
ましてやその相手がエリート街道を歩みつつあるとなれば、
自分と結婚するより幸せになると考えるでしょうから、
なおさらイズミに対して積極的になれないでしょう。


深淵な非もてのサイト氏による、ミツオの心理分析(?)も、
とても異様で不可解なものとなっています。

さて、イズミの結婚式の当日、ミツオは花嫁である
イズミの乗る車を、 正面から車でぶつけて押し下げる。
一般に、ミツオのような木訥な男が、このような非常識な大胆さを
発揮することは 私には想像しにくいのだが、
それでも 「愛の告白よりは銀行強盗の方が楽だ」の論法でいけば、
ミツオにとっては「愛の告白よりは結婚式の妨害の方が楽だ」ったのかも知れない。

恋に焦がれ焦った人が突発的にとんでもないことをするのは、
よくあることではないかと思います。
わたしはこれを観たとき、べつだん違和感もなかったし、
「観ればわかる」レベルなのですが、
理解できない人も世の中にはいるのですね。

このミツオの行動ついては批判もあるようですが、
ミツオがなんのためにこんな結婚式の妨害をしたかは、
どれも適切に理解した上での批判となっています。
ウェブをざっと見た限りですが、ミツオの心理が理解できないのは、
深淵な非もてのサイトのかたくらいのようです。


話は戻るが、寅さんは「ミツオも馬鹿なことをしたものだ。
男は、好きな相手が結婚したらおめでとうと祝ってやるべきだ」
というような 「常識的な」ことをリリーに言う。
するとリリーは「そんなのはつまらない」と寅さんを非難し
ミツオの行動を 支持する発言をするのである。

リリーはイズミとミツオの本当の気持ちを察していたのでしょう。
寅さんはふたりの気持ちを察していなかったので、
「常識的」なことを言ったのでしょう。

「恋愛は傷つくより後悔することを恐れよ」と言われますが、
ミツオがイズミに対する想いという、
自分の気持ちに正直になって行動しなければ、
ミツオ自身が後悔することになることを、
リリーは問題にしたのだろうと思います。

リリーはおそらく寅さんがミツオとイズミの気持ちを
察していないことも、察していたと思います。
「そんなのつまらない」というのは、
「イズミとミツオの気持ちはそうじゃないよ」と、
異議を唱えたということだと思います。


それではリリーは、自分が本当に愛している相手との
結婚式の当日に、自分をつけ回していた気味の悪い変態男が
乱入してくることも、 あるいは結婚式の当日に、
乱入してきた女に花婿を奪い去られることも
「つまらない人生を楽しくすること」だと思うのだろうか。

思わないよ。
ミツオはイズミを「つけ回していた気味の悪い変態男」
などではないことは、ここでお話してきた、
ミツオとイズミの気持ちがどうなのかを考えれば、
わかりきったことです。

このくだりは前の節にある「結婚式に男が乱入して
花嫁を奪い去るのを美化して 描いている映画やドラマ」とやらを
意識しているのですが、なぜミツオがこのような
略奪者とみなされるのかと思います。


深淵な非もてのサイトのかたは、絶望的なまでに、
他人の気持ちや感情が理解できないということです。
一般に「非もて」は、程度の差こそあれ、
他人の気持ちや感情を理解できないことが多いです。

恋愛というのは、相手と深く関わりますから、
他人の気持ちや感情をよく理解する必要があります。
こうした他人のことが理解できないことが、
「非もて」がもてなくなるゆえんのひとつです。

なぜ「非もて」は他人が理解できないかというと、
自分の気持ちや感情、都合しか考えないからです。
他人の気持ちや感情をふだん考えないので、わからなくなって、
とんちんかんな「解釈」をするようになるわけです。

深淵な非もてのサイトのかたは「オトナになっても
子どものときと同じように甘えたいので、
甘えさせてくれる女性が欲しい」という人です。
自分のことしか考えていない人の典型ということです。

「恋愛の名のもとの搾取」
「精神的に「お子さま」な非もて」

posted by たんぽぽ at 23:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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