未就学児の子どもの親のライフスタイルのありかたについての、
国際意識調査を載せています。
ISSPの第4回「家族とジェンダー役割に関する調査」で、
「子どもが学校に上がるまでの間は,父母はどういう選択を
するのが最も望ましいか?」という設問の回答です。
回答者は18歳以上となっています。
「父母ともパートでいい」
(はてなブックマーク)
かなり前の記事で恐縮ですが、わたしはこれを
最近知ったので、見てみたいと思います。
子どものいる父親と母親は、それぞれ「家庭にいる」「パート」
「フルタイム就業」のうち、どれがいいと考えるかを訊いています。
父母ともパートでいい https://t.co/LW0757kDed 発想が違うな。😮 pic.twitter.com/qF5b9FMot9
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2017年3月9日
「ママがおうち、パパがフルタイム」が図中で
いちばん多いのは日本で、57.8%が答えています。
これは「夫が外で働き妻が専業主婦」が理想の家族という、
高度経済成長期以来の家族思想信仰の影響で、
このようなライフスタイルを望ましいと
考える人が多いということだと思います。
「ママがおうち+パート、パパがフルタイム」だと、
欧米の民主主義国でも8割前後になります。
子育ては女性の役目という、因襲的家族間は、
国際的に見ても、まだまだ健在と言えそうです。
韓国は「ママがおうち、パパがフルタイム」が42.2%、
「ママがおうち+パート、パパがフルタイム」は85.0%で、
アメリカ合衆国やイギリスと同程度となっています。
米英韓の3国は日本との差はあまり大きくないですが、
それでもはっきり見て取れるくらいの差はあります。
この問題に関しては、韓国は日本から離れていて米英に近く、
「韓国と日本の2国で孤立」といういつものパターンではないです。
「ママがおうち、パパがフルタイム」は、
フランスは21.3%で日本の半分以下、
スウェーデンは10.8%で、日本の5分の1以下です。
因襲的な家族観が弱いところほど、「ママがおうち、
パパがフルタイム」の割合が少なくなる傾向はあるようです。
スウェーデンできわだっているのは、
「ママがパート、パパがパート」が39.2%で、
他国と比べて圧倒的に多くなっていることです。
「男も女も子どもが小さいうちは、仕事より家庭」です。
ジェンダー平等の徹底に加えて、家族を重視する考えが
浸透しているということでしょう。
日本なら「女性も出産・育児と仕事が両立できるよう、
子どもがいる女性もフルタイムで働けるようにしよう」
という主張や活動がなされます。
スウェーデンは「男性もパートでいいではないか」と、
「男性の家庭進出」を主張するということです。
ジェンダー平等のためには男性の家庭進出も大事ということは、
すでによく言われるようになっていますが、
この点に関しては、スウェーデンは
日本より数段先に行っていると思います。
われわれの感覚だと,「幼子がいるからって,
何で女性が家庭に押し込められないといけないのだ。
彼女らもフルタイムで働けるようにしよう」となるのですが,
この北欧国では「手のかかる子がいるというのに,
何で男性がガツガツ働かないといけないのか。
子が学校に上がるまでは,父母ともパートでいいではないか」
となるのでしょう。
女性の社会進出ばかりでなく,男性の「家庭進出」も促されないといけません。
後者の進展が前者の条件になるのですから。
「ママがパート、パパがパート」は、日本では皆無に近いです。
これは日本は「夫が外で働き妻が専業主婦」という
前述の家族思想信仰の影響が強く、ジェンダーと雇用形態との
結びつきが他国に増して強いゆえと考えられます。
「結婚・ジェンダーと雇用問題」
「非正規雇用の待遇 性別と働き方にジェンダーバイアス」
性別と働き方の関連性が日本は特に強いことを、
岩上真珠氏の論文は海外との比較によって明らかにしている。
韓国やイタリアは性別規範の強い国として有名だが、
これらと比べても日本は性別と雇用形態の結びつきが強い。
男性は未婚、女性は既婚に非正規雇用が多い
といったように婚姻と雇用形態の結びつきも強い。
「子どもを持ったらパート」というのは、
日本では「女性の働きかた」という意識が強いということです。
それゆえ子どもを持った男性がパートで働くことが考えにくいし、
また実際に実行が難しいことがあるのでしょう。
また日本は非正規雇用と正規雇用の賃金格差が大きく、
父母ともにパートで家計を支えることがほぼ不可能です。
これが「ママがパート、パパがパート」という
ライフスタイルを考えられないものにしています。
「男女&雇用形態別年収分布」
さらに日本の特徴として賃金格差ゆえに、
パートとフルタイムの区分が「階級」のようになっています。
「階級」の垣根を超えることは困難であり、
男性は自分の属する「階級」である、
フルタイム就業しか考えられないことになります。
同一労働同一賃金であれば、パートと言っても育児期に時間に比例して給与が減るだけ。日本のように正規雇用vs非正規雇用が身分格差のようになっている社会ではもともと無理な選択肢。 pic.twitter.com/NMlnrVo6IX / “デー…” http://t.co/1SHUsjIUKg
— akupiyo (@akupiyocco) 2015年10月11日