慰安婦像の撤去を求めて、日本人団体が起こしていた訴訟で、
原告は連邦最高裁判所に上告していたのですが、
そこであっさり却下されました。
これでこの裁判は全部終わりです。
原告の日本人団体の敗訴が確定です。
「慰安婦像撤去、最高裁も敗訴=原告「別の方法で努力」−米」
「慰安婦像撤去求めた裁判 米連邦最高裁が却下」
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裁判の内容は、自治体による慰安婦像の設置は
外交権の侵害になるというのが、原告の主張でした。
それに対して、原告が慰安婦像を気に入らないだけで、
外交権の侵害ではないというのが、これまでの判決です。
アメリカ・ロサンゼルス近郊の公園に設置された、
慰安婦問題を象徴する像の撤去を求めて地元の日本人などが
上訴していた裁判で、アメリカの連邦最高裁判所は27日、
この訴えを却下しました。
一審と二審でも原告は完敗でした。
今回の裁判結果も当然のことが当然のようになされたと言えます。
「グレンデール慰安婦像訴訟」
「グレンデール訴訟・控訴審」
このグレンデール訴訟は、くじら裁判とともに、
日本がいかに自分たちの「内輪」でしか通用しない、
独善的な「理屈」に凝り固まっているかを、はっきり示したと思います。
原告団の代表の人は、「理由が示されないので
詳しいことがわからない」などと言っています。
アメリカの裁判所が理不尽だと印象付けたいのでしょうか?
それは二審までの判決を見れば、わかることだと思います。
裁判所の決定について、原告側代表の目良浩一さんは
「理由が示されていないので詳しくは不明だが決定は非常に残念だ。
一方で、日本政府から支援してもらったことには感謝したい。
今後、裁判以外で何ができるのか検討していきたい」と話しています。
「米連邦最高裁が上告却下の理由も述べずに訴えを退けるなんて酷い!」って言われてもですねえ、そりゃそういう制度ですから。二審での判決を読めって話で。
— エミコヤマ (@emigrl) 2017年3月28日
「裁判以外で何ができるのか検討」しているのが、多少気になります。
具体的に何をしようというのかと思います。
この裁判、原告の日本人団体の上告を認めるよう、
日本政府がアメリカ連邦最高裁判所に、意見書を出していました。
二審までで原告にまったく勝ち目がないことは
わかっていましたし、よくこんな無理筋すぎる裁判の
支援をする気になったと思います。
「少女像訴訟で米最高裁に意見=外務省」
外務省は28日、米ロサンゼルス近郊グレンデール市の
慰安婦を象徴する少女像設置をめぐる訴訟に関し、
現地在住の日本人による上告を認めるべきだとの意見書を
米連邦最高裁に提出したことを明らかにした。提出は22日付。
日本政府はかねてから、原告団のGAHTと緊密に連絡を
取り合っていましたし、二審で原告が敗訴した後も、
支援をしたいということを表明していました。
日本政府はまがりなりにも支援に二の足を踏んでいましたが、
それでも手を出したのは、意外性はないと言えます。
「慰安婦像訴訟と日本政府」
「慰安婦像訴訟と日本政府(2)」
日本政府は意見書の中で、日韓合意を引き合いに出しています。
日本と韓国とのあいだの取り決めである日韓合意が
どうやってアメリカの司法に関係するのかと思います。
この裁判をめぐっては、日本政府も先月、
「像の設置はアメリカ政府も支持する日韓合意の精神に反する」などとして、
上訴を認めて審理を行うよう求める意見書を連邦最高裁判所に
提出していましたが、連邦最高裁は27日、原告側の上訴を却下しました。
ましてや国連女子差別撤廃委員から、被害者の立場を
尊重していないとして、勧告を受けている「合意」です。
なおさらそんなものを顧慮するいわれはないでしょう。
こういうのを「内輪でしか通用しない理屈」というのでしょう。
菅官房長官は「慰安婦像の設置は日本政府の立場と
相容れない、今後も日本政府の立場の理解を求めていく」
などと、性懲りもなくコメントしています。
「米の慰安婦像 官房長官 日本の立場に理解求める」
(はてなブックマーク)
像の設置は極めて残念だとして、引き続き日本政府の立場への
理解を求めていく考えを示しました。
菅官房長官は「慰安婦像設置の動きは、わが国政府の
立場と相いれない、極めて残念なことだ。
慰安婦問題に関する政府の基本的な立場や取り組みについて、
正確な理解を求めてきている。
引き続きこうした取り組みを続けていきたい」と述べました。
こんなスタンスを、日本や日本政府の「立場」にして
ほしくないというのが正直なところです。
それでも戦争責任と女性の権利の否定というのは、
ある意味「日本らしい」のかもしれないです。
米の慰安婦像 官房長官 日本の立場に理解求める | NHKニュース菅や安倍に、日本を代表させておくと、女性を性奴隷化した歴史を、歪曲・隠蔽する国というだけでなく、戦争責任を否定し、反省もしない国、女性の権利を尊重しない国、というイメージが定着してしまう。
2017/03/28 13:18
この訴訟について、ほかにわたしが特筆したいのは、
一度敗訴が確定した裁判と、同じ内容の訴訟をべつの裁判所で
起こしてよいか、という問題があることです。
日本人原告団は、カリフォルニアの州裁判所からの
判決を受け入れて敗訴を認めているのに、
同じ内容で連邦裁判所に提訴しているからです。
最高裁に管轄権があるかどうかじゃなくて、一度裁判に訴えて敗訴が確定した原告が、別の裁判所で全く同じ訴えを起こすことができるかどうか、って話だよねこれ。
— エミコヤマ (@emigrl) 2017年3月27日
あと、GAHTはカリフォルニア州裁判所で起こした裁判の判決を受け入れているから、そもそも全く同じ主張を別の裁判所に訴える権利はないよ、ともグレンデール市は指摘している。まあ当たり前の話。ほんと、なんで州最高裁への上告を断念しちゃったんだろうね?SLAPPの罰金が怖かった?
— エミコヤマ (@emigrl) 2017年3月27日
連邦裁判所の二審で敗訴した際、高等裁判所から
法律で禁じられた、訴訟の乱発に当たるとされ、
原告団に罰金が課されることになったのでした。
「原告の日系人、州高裁でも敗訴=慰安婦像撤去訴訟−米」
その上で、法律で禁じられた訴訟の乱発に当たると判断し、
原告に罰金を命じた。高裁は今後、罰金額を決める。
一連の訴訟で、連邦裁判所を始めカリフォルニア州や
グレンデール市にどれだけ負担をかけたのかと思います。
日本国内で、在日外国人が日本の自治体を相手に
同じような裁判を起こしたらどうなるか、
(とくにグレンデール裁判の原告を支持・賛同する人の反応)、
それを考えればいいだろうと思います。
だいたいこの裁判で、連邦裁だけでなくカリフォルニア州やグレンデール市にどれだけ迷惑かけてるか分かってんのかな。もし日本で在日外国人が日本の自治体を似たようなケースで訴えて、何度敗訴しても延々と裁判を続けたら、絶対この人たち、バッシングする側の人でしょ。
— エミコヤマ (@emigrl) 2017年3月27日