「生涯未婚率」がまた上がって、過去最高を更新したことが、
国立社会保障・人口問題研究所の調査でわかりました。
「生涯未婚率、男性23%・女性14% 過去最高」
(はてなブックマーク)
もとのデータはこちらです。
「表6−23 性別,50歳時の未婚割合(生涯未婚率),有配偶割合,
死別割合および離別割合:1920〜2015年」
こちらにもっと詳しいグラフがあります。
50歳の未婚率が「生涯未婚率」です。
この歳になっても結婚しないなら、もう一生結婚しないだろうと
仮定して、生涯未婚とみなすということです。
「年齢別未婚率の推移」
男性も女性も冷戦とバブルが終わる1990年ごろから、
急速に未婚率が高くなり始めています。
2015年の生涯未婚率は男性が23.37%、女性が14.06%で、
どちらも前回調査の2010年から上昇しています。
30-34歳の未婚率は男性は2005年から、
女性は2010年からほぼ上昇が頭打ちになっています。
いわゆる「結婚適齢期」に結婚する人は、
減らなくなっているということだと思います。
この年齢を過ぎても結婚していない人が
未婚のままでいる割合が高くなっているので、
50歳での未婚率が上昇し続けているということでしょう。
結婚できる人と結婚できない人の「二極化」が、
進んでいるのかもしれないです。
人口問題研究所では、雇用や収入の不安定なことも
未婚率上昇の原因のひとつと考えています。
これは妥当な考察であり、多くのかたが納得できることでしょう。
同研究所が昨年9月に公表した出生動向基本調査によると、
「いずれは結婚したい」と考える18〜34歳の
未婚者の割合は男性85・7%、女性89・3%だった。
高水準だが、「結婚資金」や「結婚のための住居」の確保が
障害と考えている人が多く、研究所の担当者は「非正規労働者の
増加も生涯未婚率の上昇に影響している」とみている。
雇用や収入が不安定という経済的な理由で、
結婚しない人が多いのは、いくつかの統計が示しています。
「未婚・晩婚化の意識調査」
「非婚・未婚と経済問題」
「結婚願望と交際経験の減少」
「結婚願望と交際経験の減少(2)」
年収と未婚率との相関は歴然としています。
ここで注目するのは男性の未婚率ですが、
年収が低いほど未婚率が高いことが明らかです。
年収が低くて生活が安定しないと、結婚が困難ということを、
はっきり示しています。
「年収別未婚率の男女差」
「年収別未婚率の男女差」
年収別の生涯未婚率。こんな感じっすよ。生涯未婚にとどまるとみられる者は,男性は低収入層ほど多く,女性は高収入層で多い。X型のジェンダー差できている。 pic.twitter.com/VyGntIi1f1
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2014年2月8日
女性の未婚率は年収が低いほど低いですが、
これは女性は結婚するとパートや専業主婦になるので
年収が下がるからだと思います。
男性とは因果関係が逆で、年収が低いから結婚しないのではなく、
結婚したから年収が下がるということです。
前述のように、30-34歳の未婚率の上昇は頭打ちです。
よってこの年齢を過ぎても結婚しない人が、
収入や雇用が不安定ということが考えられます。
先にお話した、結婚する人としない人の「二極化」は、
比較的若いうちに生活の安定を得られた人と、
生活が不安定なまま高齢になった人との
「二極化」ということになりそうです。
高度経済成長期は未婚率が2%に満たず、
「国民皆結婚」という驚異的な時代だったのでした。
結婚したくなくてもせざるをえなかったということです。
ライフスタイルの選択の幅が狭かったと言えます。
「未婚率が低かった時代」
1990年ごろから未婚率が目立って上昇し始めます。
ライフスタイルの選択の幅が広がり、
結婚しなくてもいい自由が浸透することになります。
2010年代になって、生活が安定している人たちの
未婚率はほぼ一定となったのでした。
生活が安定している人のライフスタイルの選択の自由は
まがりなりにも保証されたということだと思います。
生活が不安定な人の未婚率は、現在も上昇を続けています。
結婚したくても未婚を選ばざるをえず、
生活が不安定な人はライフスタイルの選択の幅が、
高度経済成長期とは逆のかたちで、
狭められていることになります。