2017年05月17日

toujyouka016.jpg 韓国・高齢者の貧困の現実

今回は外国のお話です。
(といっても、日本の社会を考える上で、
参考になるから話題にするのですが。)

韓国で高齢者の貧困が深刻になっているというお話です。
2017年2月8日の『ニューズウィーク』日本版で
取り上げられているので、これを見てみることにします。

「日本の未来を予見させる、韓国高齢者の深刻な貧困問題」
(はてなブックマーク)

 
この記事では、OECD加盟国対象の年齢階層別の
貧困率のデータが示されています。
0~17歳は「子どもの貧困率」です。
日本の貧困率はどの世代も、OECD加盟国の中では、
高めであることがわかります。

年齢層別の貧困率 (2012年)

韓国の貧困率ですが、全体的にはどの世代も
OECD加盟国の中では、それほど高くないです。
ところが66~75歳の貧困率だけ45.7%と異様に高く、
ふたりにひとりが相対的貧困という状況です。
ほかのOECD加盟国から群を抜いて高い貧困率です。


韓国の高齢層の生活の困窮は、自殺率にも現れています。
低年齢層では日本や欧米の民主主義国と大差ないですが、
年齢が上がるにつれて、他国との差が大きくなり、
75歳以上では他国を圧倒して自殺率が高くなっています。


韓国は近年自殺率が急激に高くなり、
2007年以降日本を抜いて、先進国中最高水準になっています。
その多くは高齢層が増えているということです。




韓国は75歳以上の雇用率も、OECD加盟国中最高です。
韓国は17.9%で、10ポイント以上の国は2カ国だけです。
OECD平均は4.8%ですから、韓国はこれをはるかに
上回っていることになります。

「仕事する75歳以上の割合 韓国がOECD最多」

OECDによると、韓国の75歳以上の雇用率(2015年)は17.9%で、
比較可能なOECDの加盟国25カ国のうち1位で、
2位のメキシコ(17.0%)よりも1ポイント近く高かった。

韓国とメキシコ以外の国の雇用率はすべて1桁台だった。
日本が3位(8.3%)で4位はポルトガル(6.6%)、
ニュージーランド(6.1%)が5位だった。

下位圏は主にヨーロッパの国で、デンマークは0%、
フランスは0.5%、ベルギーは1.2%、ドイツは1.8%だった。
OECDの平均は4.8%。

高齢層の雇用率が、韓国は他国に抜きん出て多いのも、
貧困ゆえに働かないと暮らしていけない
高齢者が多い、ということだと考えられます。

「Employment database - Employment indicators」
「LFS by sex and age - indicators : Employment-population ratios」

LFS by sex and age - indicators   : Employment-population ratios (1/2)
LFS by sex and age - indicators   : Employment-population ratios (2/2)


韓国の高齢者がかくも貧困にあえぐのは、
かつては儒教社会の影響で、家族が高齢者をケアしていた習慣が
薄れていったにもかかわらず、国による社会保障が
貧弱なままであることによります。

韓国は儒教社会なので、子が親の面倒をみる伝統が強かったが、
近年その伝統が急速に廃れている。
その一方で、国による社会保障(公的年金等)は著しく脆弱。
このために生活苦に陥る高齢者が多い。

高齢者の面倒は家族が見るという前提のもと、
国は高齢者福祉に力を入れてこなかったのでしょう。

posted by たんぽぽ at 23:42 | Comment(2) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
ところで韓国でも日本同様、高齢男性より高齢女性の貧困が深刻なのでしょうか?
女性大統領を輩出したとはいえ、儒教の影響で男尊女卑の部分がまだまだあると思いますので。
Posted by アイス at 2017年05月22日 12:17
こちらにコメント、ありがとうございます。

>韓国でも日本同様、高齢男性より高齢女性の貧困が深刻なのでしょうか?

おそらくそうだろうと思います。
どこの国でも、程度の差はあるでしょうが、
女性のほうが男性より貧困率は高いだろうと思います。

女性のほうが自殺率が高いかどうかまではわからないですが。
(貧困率が高くても、自殺率が低いことはありえるので。)
Posted by たんぽぽ at 2017年05月22日 23:07
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