(といっても、日本の社会を考える上で、
参考になるから話題にするのですが。)
韓国で高齢者の貧困が深刻になっているというお話です。
2017年2月8日の『ニューズウィーク』日本版で
取り上げられているので、これを見てみることにします。
「日本の未来を予見させる、韓国高齢者の深刻な貧困問題」
(はてなブックマーク)
この記事では、OECD加盟国対象の年齢階層別の
貧困率のデータが示されています。
0~17歳は「子どもの貧困率」です。
日本の貧困率はどの世代も、OECD加盟国の中では、
高めであることがわかります。
韓国の貧困率ですが、全体的にはどの世代も
OECD加盟国の中では、それほど高くないです。
ところが66~75歳の貧困率だけ45.7%と異様に高く、
ふたりにひとりが相対的貧困という状況です。
ほかのOECD加盟国から群を抜いて高い貧困率です。
韓国の高齢層の生活の困窮は、自殺率にも現れています。
低年齢層では日本や欧米の民主主義国と大差ないですが、
年齢が上がるにつれて、他国との差が大きくなり、
75歳以上では他国を圧倒して自殺率が高くなっています。
日本の未来を予見させる、韓国高齢者の深刻な貧困問題|ニューズウィーク日本版 https://t.co/OL5oVC8NPj「韓国は儒教社会なので、子が親の面倒をみる伝統が強かったが、近年その伝統が急速に廃れている。その一方で、国による社会保障(公的年金等)は著しく脆弱。」 pic.twitter.com/fCjS6IL3aV
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2017年5月8日
韓国は近年自殺率が急激に高くなり、
2007年以降日本を抜いて、先進国中最高水準になっています。
その多くは高齢層が増えているということです。
自殺率の推移(7か国)。韓国がすさまじい。高齢者の貧困がすさまじいとのこと。http://t.co/YZq5ZnF76o 日本は97年から98年にかけて激増し,最近は微減(若者だけは増加)。 pic.twitter.com/YMWExctr8t
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2014年8月1日
韓国は75歳以上の雇用率も、OECD加盟国中最高です。
韓国は17.9%で、10ポイント以上の国は2カ国だけです。
OECD平均は4.8%ですから、韓国はこれをはるかに
上回っていることになります。
「仕事する75歳以上の割合 韓国がOECD最多」
OECDによると、韓国の75歳以上の雇用率(2015年)は17.9%で、
比較可能なOECDの加盟国25カ国のうち1位で、
2位のメキシコ(17.0%)よりも1ポイント近く高かった。
韓国とメキシコ以外の国の雇用率はすべて1桁台だった。
日本が3位(8.3%)で4位はポルトガル(6.6%)、
ニュージーランド(6.1%)が5位だった。
下位圏は主にヨーロッパの国で、デンマークは0%、
フランスは0.5%、ベルギーは1.2%、ドイツは1.8%だった。
OECDの平均は4.8%。
高齢層の雇用率が、韓国は他国に抜きん出て多いのも、
貧困ゆえに働かないと暮らしていけない
高齢者が多い、ということだと考えられます。
「Employment database - Employment indicators」
「LFS by sex and age - indicators : Employment-population ratios」
韓国の高齢者がかくも貧困にあえぐのは、
かつては儒教社会の影響で、家族が高齢者をケアしていた習慣が
薄れていったにもかかわらず、国による社会保障が
貧弱なままであることによります。
韓国は儒教社会なので、子が親の面倒をみる伝統が強かったが、
近年その伝統が急速に廃れている。
その一方で、国による社会保障(公的年金等)は著しく脆弱。
このために生活苦に陥る高齢者が多い。
高齢者の面倒は家族が見るという前提のもと、
国は高齢者福祉に力を入れてこなかったのでしょう。
女性大統領を輩出したとはいえ、儒教の影響で男尊女卑の部分がまだまだあると思いますので。
>韓国でも日本同様、高齢男性より高齢女性の貧困が深刻なのでしょうか?
おそらくそうだろうと思います。
どこの国でも、程度の差はあるでしょうが、
女性のほうが男性より貧困率は高いだろうと思います。
女性のほうが自殺率が高いかどうかまではわからないですが。
(貧困率が高くても、自殺率が低いことはありえるので。)