改正の項目に掲げていることについて、少し見ておきます。
「安倍首相 憲法改正し2020年施行目指す意向を表明」
「「教育無償化」自民が変節 過去の批判放置 改憲案、首相前向き」
(はてなブックマーク)
「教育無償化に改憲必要? 木村草太教授「法律で十分だ」」
(はてなブックマーク)
「安倍首相「教育無償化へ憲法改正」のウソ→
改憲なしで実現した高校授業料無償化を廃止したのが安倍政権」
(はてなブックマーク)
「教育無償化に、憲法改正は必要か」
また具体的な改正項目として、戦争の放棄などを定めた憲法9条に、
自衛隊に関する条文を追加するほか、高等教育の無償化などを例示しました。
さらに安倍総理大臣は「70年前、現行憲法の下で制度化された、
小中学校9年間の義務教育制度、普通教育の無償化は、
戦後の発展の大きな原動力となった。
70年の時を経て、高等教育についても全ての国民に
真に開かれたものとしなければならない」と述べ、
高等教育の無償化なども改正項目として例示しました。
「教育無償化」は義務教育以外にも授業料を取らない範囲を
広げていこうという考え方で、日本維新の会が去年発表した
憲法改正原案に盛り込んでいます。
教育に関する権利は、日本国憲法の26条で定められています。
2項に「義務教育は、これを無償とする」という記述があります。
これを「教育はすべて無償」という主旨の文章に、
変えることになるのだと思います。
「日本国憲法 (昭和二十一年十一月三日憲法)」
第二十六条 すべて国民は、法律の定めるところにより、
その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
○2 すべて国民は、法律の定めるところにより、
その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。
義務教育は、これを無償とする。
「改憲で教育無償化」の議論について指摘することの
ひとつ目は、教育の無償化は憲法を改正しなくても、
通常の立法だけで問題なくできるということです。
現に民主党政権時代の高校の授業料の無償化は、
憲法改正によらず、通常の立法だけで実現しています。
もちろんこれをご覧のかたは、みんな覚えているでしょう。
「高校無償化のメモ」
「高校無償化の効果」
「民主党3年間の成果」
【民主党政権で変わってきたこと その1】公立高校の実質無償化を2010年度に実現。経済的理由による高校中退者数が、09年1569人から11年951人に減少。中退者の学び直しも1000人以上増加。<コメント>自民党は終始バラマキと批判。政権をとれば廃止するのか。
— 福山哲郎 (@fuku_tetsu) 2012年11月21日
「民主党だからできたこと」
高等教育を含めてすべての教育を無償化することを
憲法で定めるなら、それはそれですばらしいことです。
国会や行政に対して教育無償化の一定の強制力になるし、
無償化の実現が遅れていれば違憲訴訟を起こせるなど、
メリットもいくつも考えられます。
それでも教育の無償化が本当に大事だと思うなら、
いますぐにでも通常の法律を整備することで、
教育の無償化をどんどん推進することだと言えます。
憲法改正は時間がかかることですし、
あえて推進するなら法律の整備と同時進行でしょう。
http://www.asahi.com/articles/ASK5C4J02K5CUTIL018.html
高校無償化についてはすでに民主党政権で立法によって実施済み。
首都大学東京の木村草太教授(憲法学)も
「法律で必要十分だ。自民党が日本維新の会が出している
教育無償化の法案に賛成すればいいだけだ」と指摘する。
憲法に書けば、無償化が実現しない場合に違憲訴訟が起こせるなど、
時の政権への強制力が増すことも考えられるが、
木村教授は「本当に無償化が必要だと思うのなら、
時間がかかる憲法改正ではなく、今すぐ法律でやるべきだ」と話す。
指摘することのふたつ目は、自民党は一貫して
教育の無償化や軽減化に反対してきたことです。
自民党は野党時代に、民主党の高校無償化を、
子ども手当、高速道路の無償化、農家の戸別補償とともに、
「ばらまき4K」と決めつけて、反対してきました。
https://mainichi.jp/articles/20170510/ddm/041/010/135000c
谷垣禎一総裁らの野党時代、旧民主政権が2010年に
スタートさせた公立高校授業料無償化に対して、
子ども手当▽高速道路無料化▽(農家への)戸別所得補償−−と合わせて、
頭文字を取り「バラマキ4K政策」と批判。
「将来の子供たちにツケを回している」
「財政破綻国家に転落する」と訴えていた。
自民党の公式HPには、当時の主張が今も掲載されている。
政権奪還後の14年には、高校授業料無償化に
所得制限を設けて内容を後退させた。
これは現在も自民党の公式サイトに出ています。
「Jimin NEWS > 高校授業料無償化の問題点!」
自民党は2012年の暮れに政権を取ると、
翌年2013年に、民主党政権時代の高校無償化に
所得制限を設ける法案を成立させ、制度を後退させました。
これもみなさんよく覚えていると思います。
「高校無償化に所得制限」
「高校無償化に所得制限(2)」
民主党政権が導入した高校授業料の実質無償化を見直して、
世帯の年収を基準に所得制限を設けることを
盛り込んだ法律の改正案が、15日の衆議院本会議で
自民党と公明党などの賛成多数で可決され、参議院に送られました。
高校授業料の無償化制度に所得制限を設ける法律が
27日、参院本会議で可決、成立した。
全生徒対象の現制度を変え、来春の新入生からは
世帯年収910万円未満の生徒だけに限る。
安倍政権が「高等教育についても全ての国民に
真に開かれたものとしなければならない」と
本気で思っているなら、前述のように憲法改正の前に、
通常の立法で教育の無償化を、可能なかぎり推進することです。
さしあたって、みずから所得制限を設けた
高校無償化の所得制限を、もう一度廃止するところから
始めてはいかがかと思います。
自民党はウェブサイトにも「「自助」「共助」「公助」の
精神が基本」などと書いているように、社会福祉を削って、
個人に負担させることを「是」としています。
教育の機会均等の補償や負担軽減についても
ずっと無理解だったことは、民主党の高校無償化に対して
「ばらまき」と口汚くののしって反対を続けてきた
ことだけでも、じゅうぶん現れています。
そこへもってきて憲法改正の議論のときに、
きゅうに「教育の無償化」と言い出したわけです。
安倍首相は自衛隊の憲法上の位置付けと
いっしょに言及していますが、憲法改正とくに国民の多くから
反発のありそうな9条の改正を、受け入れやすくするための
「バーター」でしょうか?
http://www.huffingtonpost.jp/hiroki-komazaki/education-constitution_b_16456814.html
国民に関心のない自衛隊の合憲化を実現するための、
バーターとしての(国民が関心のある)教育無償化。
一部の護憲派に対してはムチとなる9条改正に対する
「アメ」としての教育無償化。
これが、ここにきて教育無償化が突然浮上してきた
内実ではないでしょうか。
安倍首相がやろうとしていることは、
1. 教育の無償化は通常の立法でも実現できるのに、
あえて「憲法改正」を持ち出す。
2. いままで教育の無償化にさんざん反対してきたのに、
憲法改正の議論できゅうに「教育の無償化」を持ち出す。
http://blogos.com/article/221527/
「改憲目当てに教育無償化をただ利用しているにすぎない」と言われても無理もないことです。
結局のところ安倍晋三は憲法改正がしたいのであって、その人質に教育の無償化を囲っているということですね。
順序が逆なんですね。
本当に教育、高等教育、専門教育の必要性を感じているのなら、奨学金制度や学資保険制度、教育ローンなんかの抜本的な見直しをする方が先なんではないかと思うんですけど。
全国一斉の学力テストで成績レベルに応じて「要教育1」とか介護保険みたいにレベル分けして支援するなんてのもアリかもしれない。思いつきですけど。
まぁなんにせよ、本当に教育が必要だと思うんなら、憲法改正の他にやりようは、やるべきことはいくらでもあるとは思いますね。
教育の無償化を憲法改正に利用しているであろうことは、
このブログをご覧になるかたでしたら、
すぐに察しがつくことだと思います。
世の中にはこの程度の小細工でも、
信用する人が少なからずいそうです。
小細工であることはわかってはいるけれど、
安倍政権に批判的な人を攻撃したくて、
あれやこれやと面倒な議論を仕掛ける人も、
たくさんいそうです。
こちらにコメントありがとうございます。
>結局のところ安倍晋三は憲法改正がしたいのであって、
>その人質に教育の無償化を囲っているということですね
本当にやりたいのは、いっしょに言及した9条のほうでしょうね。
教育の無償化は、いっしょに出せばほかの条文の改正も
支持が得られるのではないかと、思ったのでしょう。
>本当に教育、高等教育、専門教育の必要性を感じているのなら、
民主党政権で実現した高校の無償化に
所得制限をつけたのは安倍政権ですしね。
いままで教育の無償化や負担軽減に
さんざん反対してきたのは、なんだったのかと思います。
日本の国立大学は授業料が異様に高いし、
奨学金は実質的にローンしかないですし。
こうした教育に対する貧弱な支援をずっと放置してきたのは、
歴代の自民党政権です。
教育の無償化が本気だと言うのなら、
具体的な行動で示してほしいです。
憲法改正のときに持ち出すだけでなく、
これら貧弱な現状を、いますぐにでも改善を図れと思います。
そうすれば教育の無償化を憲法で定めることも、
支持が得られるかもしれないです。