2017年05月28日

toujyouka016.jpg 教育の機会不平等・原因と結果

ご存知のように、自民党は「「自助」「共助」「公助」の
精神が基本」などと言って、社会福祉を削って、
家庭に負担させることを「是」としています。

教育に関しても同様で、民主党政権で実現した
高校無償化に所得制限をつけて制度を後退させるなど、
教育の機会均等の実現に反対してきました。
その結果どうなっているのかを、少し見ておくことにします。

「憲法改正で教育の無償化?」

 
高校授業料無償化の問題点!


かなりあからさまであろう「成果」のひとつは、
大学や高等教育への日本の公的支出は、
OECD加盟国中最低となっていることです。

2013年はOECD平均の半分以下、飛び抜けて低いです。
「過度の平等主義や均一主義」どころか、
はななだしい機会不平等の放置です。

「安倍首相「教育無償化へ憲法改正」のウソ→
改憲なしで実現した高校授業料無償化を廃止したのが安倍政権」


「大学など高等教育への日本の公的支出は6年連続でOECD最下位、
33カ国平均の半分以下と突出して低い大学への公的支出は
日本の「競争力」低下と連動している」


大学など高等教育への日本の公的支出は6年連続でOECD最下位


さらに日本は奨学金も貧しく、給付の奨学金がほとんどなく、
大半が後で返す必要があるものであり、
国際的には「学生ローン」とされているものです。


かくして日本は大学の授業料が高く、
奨学金も貧しいOECD加盟国唯一の国となっています。
日本はOECD加盟国の中で飛び抜けて
大学教育にお金がかかる国、ということです。

「学費は高いわ援助はないわ・・・日本の高等教育@OECD」

Average tuition fees (USD) vs. the percentage of students receiving public subsidies for higher education, 2008-09


このような自民党が作り出している、教育の機会不平等が
もたらす結果のひとつに、大学進学率のジェンダー差があります。
日本は男子より女子のほうが、大学進学率が低い
ほとんど唯一の国となっています。

「大学進学率のジェンダー比較」


大学教育に対する経済的負担が大きすぎるので、
教育の経済的リソースを、息子に優先させて
娘には使わないようにする家庭も出てくるということです。
子どもが男の子ならちょっと無理してでも
大学に入れようとするが、女の子なら進学の支援に
消極的になる親が出てくるといった具合です。

社会福祉、教育の機会均等に対して
政治が無理解なことで、割りを食うのは、
めぐりめぐって結局女子ということです。
教育に対する公的支出が少なく、家庭の負担が大きい
ということは、貧困問題であると同時に、
ジェンダー問題でもあるということです。

自民党の「「自助」「共助」「公助」の精神」は、
貧困家庭を支援しないことで経済格差を助長するだけでなく、
ジェンダー差別を助長してもいることになります。


日本が教育の機会均等の実現にかくも無理解なのは、
実際はかなり不平等な社会なのに、
北ヨーロッパ並みの公平な社会だと
思い込んでいる人が多いこともあるだろうと思います。

前述のように、教育への公的支出はOECD加盟国中
飛び抜けて最下位なのに、親の学歴や経済力に
関係なく機会が開かれていると思っている人は、
北ヨーロッパ並みに多いという、
いささかあきれる事態になっています。

「社会的不平等・現実と認識」
「生まれが「モノ」をいう社会」

生まれがモノをいう社会

自民党の福祉削減が支持される背景は、
このような国民一般に見られる、
日本は公平な社会だという、事実から大きく乖離した
うぬぼれもあるということだと思います。

posted by たんぽぽ at 23:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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