少子高齢化とそれにともなう生産性の低下で、
2050年には日本は先進国から脱落するという予測を
「21世紀政策研究所」が発表したのでした。
「グローバルJAPAN−2050年シミュレーションと総合戦略−」
さらに日本の国力の衰退が目立ってくるのは、
2030年ごろからということも、はっきりしてきました。
この報告書はほかの国との比較も出ています。
これを見ると日本が今後、いかに凋落をしていくかが、
よりはっきりと視覚的に訴えると思います。
報告書中の図は、中国、アメリカ合衆国、EU、インド、日本の
5カ国(国家間機関)の比較が出ています。
はじめに総GDPの推移の予測を見てみます。
![主要国比較 GDP](https://c1.staticflickr.com/5/4226/34949098781_d62467ff61.jpg)
これを見ると、中国のGDPの成長が目覚ましく、
2030年にはアメリカ合衆国を追い越すと予想しています。
2050年もアメリカ合衆国と同水準のGDPです。
インドも順調にGDPが成長していて、
アメリカ合衆国より早いペースで増加しています。
EUは成長の程度がゆるやかで、2050年にはアメリカ合衆国と
だいぶ差がつきますが、それでも増加を続けています。
日本だけは2050年までほぼ横ばいに近い推移であり、
ほかの4カ国(国家間機関)から取り残されていく様子が
とてもはっきりと現れています。
このグラフの日本の予測は、生産性が先進国の平均並みに
回復するという、「基本1」を仮定してます。
もっと現実的にありそうな、失なわれた20年レベルの
生産性が続く「基本2」を仮定すると、
このグラフよりGDPはさらに下回ることになります。
その場合、2050年の予測値は3兆5460億PPPドルですが、
このグラフに描くと「誤差程度」の違いと言えます。
つぎにGDP年平均成長率を見てみます。
アメリカ合衆国とEUは低成長ながら、
2050年までほぼ一定となっていると言えます。
これらの国ぐには、すでに発展を遂げた成熟した社会であり、
それを今後も維持するということだと思います。
![主要国比較 GDP年平均成長率(実質)](https://c1.staticflickr.com/5/4218/34915907992_74040eb03a.jpg)
中国とインドは2010年代は高い成長率ですが、
2040年代には、成長率がだいぶ下がって、
アメリカ合衆国やEUに近くなります。
開発途上国から発展を遂げた成熟した社会へと、
しだいに移行していくということだと思います。
日本は5月27日エントリでもお話したように、
2030年代からマイナス成長です。
これは前述のように「基本1」を仮定しています。
現実味のある「基本2」を仮定すると、
2020年代からマイナス成長となります。
日本は先進国から脱落して、衰退していく
社会であることを示しているのでしょう。
ここでも成長率がプラスであるほかの4カ国(国家間機関)から、
取り残されていく様子がわかると言えます。
最後にひとりあたりGDPの推移を見てみます。
これは調査対象の5カ国(国家間機関)のいずれも
2050年まで順調に上昇を続けています。
![主要国比較 一人当たりGDP](https://c1.staticflickr.com/5/4253/34949137911_213a047a2b.jpg)
日本はEUとほぼ同程度のひとりあたりGDPの水準を、
2050年まで維持することになります。
これは「基本1」を仮定していますが、
「基本2」を仮定すると、36523PPPドルになります。
EUを少し下回ることになりますが、
それでも深刻に取り残されるわけではないです。
中国、インドは経済成長が目覚ましいのですが、
ひとりあたりGDPでは、日本は「基本2」のケースでも、
中国の2倍程度、インドの4倍程度あります。
中国が総GDPでアメリカ合衆国を追い越すと言っても、
それは人口が多いことによる、ということです。
日本はひとりあたりGDPは2050年になっても
深刻に落ち込まないのに、総GDPやGDP成長率では
ほかの国との差があからさまになるのは、
とりもなおさず少子高齢化による人口減少です。
今後は少子高齢化でこのままでは経済力が低下する、
家族・ジェンダー政策の転換が必要だと
言われ始めたのは1980年代からでした。
政府が本格的に対策を示したのは、1990年代のはじめです。
「顧みられない家族政策」
「少子化対策の無策と愚策」
「少子化対策・過去の愚策」
家族やジェンダーに因習・反動的な人たちは、
自分たちの信奉する家族観、ジェンダー観と
真っ向から対立するので、効果的な家族・ジェンダー政策の
無視・拒絶・否定を続けました。
その影響もあって政治も、効果的な家族・ジェンダー政策の導入を、
ずっとおこたってきたのでした。
かくして2010年代の現在、「労働力率が先進国の平均並み」とか、
「女性の労働力率がスウェーデン並み」という、
現在の日本ではありえない理想状態を仮定しても、
人口減少にともなう生産性の低下と経済力の後退は、
避けられないという状況になったのでした。
「失なわれた20年」と言いますが、
もっとも失なわれたのは家族・ジェンダー政策であり、
その結果もたらされた人口減少、少子高齢化だと思います。
2017年現在、「失なわれた30年」になりつつあります。
「歴史的失策」としか言いようがないです。
日本は少子化が進むと80年代から予測されていて、自民党はそれを放置し続けただけでなく、伝統的家族主義のような悪化する要因を振りまいたのだから、自民党の過去の政策を検証して反省点をしっかりとあぶりださないと、日本政治が今後も予測されている問題に向き合うことはないのではと。
— kazukazu88 (@kazukazu881) 2015年6月22日
ずっと指摘され続けていた自分たちの歴史的失策をあたかも何も対策ができない「災害」のように他人事のように語る自民党とそれを許し続ける日本の人々とメディア。
— kazukazu88 (@kazukazu881) 2015年6月22日