5月2日の朝日新聞の憲法改正に関する世論調査では、
同性結婚の是非についても調査しています。
これを見てみたいと思います。
「改憲、割れる賛否・論点 朝日新聞社世論調査」
「同性婚 若い層・女性に容認派多く」
>世代差
同性結婚の賛否についての、世代依存の図が出ています。
このようにはっきりしていて、若年層ほど「認めるべき」が多く、
高齢層ほど「認めるべきでない」が多くなっています。
選択的夫婦別姓の是非も、同様に若年層ほど
理解者が多いという世代依存がありますが、
これほどきわだった差ではないです。
世代間で同性結婚に対する容認度の差が大きいのは、
日本と韓国だけの特徴です。
どこの国でも若年層ほど容認度が高い傾向はありますが、
日本と韓国ほどきわだってはいないです。
『世界価値観調査』(2010-2014)が行った、
同性愛に対する容認度の年齢層別は、次のようです。
日本と韓国はほかの国ぐにと比べて勾配が大きく、
世代間の容認度の差が大きいことがわかります。
「年齢層別の同性愛許容度」
年齢別の同性愛への許容度。なるほど,日本は傾斜が急だ。韓国も。 pic.twitter.com/mgfPfvtwPI
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2015年2月12日
この調査は「同性愛を許容するか」であって、
「同性結婚を認めるか」ではないですが、
(同性間で愛し合うだけならいいが、結婚は認めない、
という人もいるだろうから)朝日の世論調査と
ほぼ同じ傾向を示しています。
2013年に行なわれた、ピュー・リサーチ・センターの
国際調査でも、日本は世代間で同性愛に対する
許容度の差が大きいことが示されています。
「同性愛を受け入れつつある」
「同性愛への姿勢に世界で温度差、日本は年齢で隔たり=調査」
日本では、同性愛を支持するとの回答は全体では54%だが、
30歳未満では83%、50歳以上では約40%と、
年齢による開きが顕著となっている。
若年層ほど同性結婚や同性愛に理解を示す人が
多いのは、世代が下るほど同性愛に対する
偏見が少ない、ということで理解できることです。
日本と韓国にかぎって世代間の理解度の差が
とくに大きいのはなぜなのかは、はっきりわからないです。
>ジェンダー差
朝日新聞の世論調査では、ジェンダー差も調べています。
図には出ていませんが、記事中で言及があります。
女性の賛成派54%、男性の賛成派44%で、
女性のほうが同性結婚を認める人が多く、
男性とは10ポイント差がついています。
女性では「認めるべきだ」が54%と過半数を占めたが、
男性では「認めるべきだ」44%、「認めるべきではない」46%と
意見が割れている。
同性愛や同性結婚に対する容認度に関しては、
ジェンダー差が大きいのも日本の特徴です。
上述のピュー・リサーチ・センターの調査によると、
女性で同性愛を支持するのは61%、男性は47%で、
朝日の世論調査とほぼ同程度の傾向となっています。
「同性愛への姿勢 日本では年齢・ジェンダーで差異が」
ロイターの日本語ニュースでは言及されていませんが、
ピューの英文記事では日本におけるジェンダー・ギャップも指摘されています。
それによると日本では女性の61%が同性愛を支持すると
回答したのに対し、男性では47%だったのだそうです。
日本以外にもいくつかの国で、目立ったジェンダー差が見られます。
同性愛に対する容認度が高いのは、いずれの国も女性です。
男性のほうが目立って容認度の大きい国はないようです。
同性愛に対する容認度のジェンダー差も、
世界中のどこでも見られることではなく、
やはりいくつかの国にかぎられる現象となっています。
他に似たような傾向を示している国は、
ベネズエラ(女性59%、男性44%)やギリシャ(女性59%、男性47%)、
イスラエル(女性48%、男性31%)など。
これは別に全世界的な傾向ではなく、「調査した国のほとんどでは、
同性愛に対する考え方に有意の男女差はなかった」と
ピュー・リサーチ・センターは報告しています。
男性より女性のほうが同性愛に対して理解を示すのは、
社会的マイノリティゆえに、ほかのマイノリティにも理解を
示せるということで、いちおう理解はできそうです。
それでも女性のほうが男性より同性愛に理解を示すのは、
一部の国にかぎられた現象なので、
ほかの要因も考える必要はあると思いますが、
それはなんなのかは、いまのところわからないです。