2017年06月13日

toujyouka016.jpg 2050年に先進国から脱落?(4)

少子高齢化とそれにともなう生産性の低下で、
2050年には日本は先進国から脱落するという
「21世紀政策研究所」が発表した予測についての
エントリをストーリファイにしました。

「2050年に日本は先進国から脱落するという予測についてのエントリ」

 
日本は労働生産性が、OECD加盟国の中では低いほうです。
単位時間あたりでも、労働者ひとりあたりでもほぼ同様です。
その大きな原因として、女性労働者の多くを
生産性の低い部門に回していることがあります。

「女性の活躍度と労働生産性」

GEMと就業者の年間労働時間1時間当たりのGDPの関係


女性労働者は非正規雇用の割合が高く、
その大半は生産性の低い部門で低賃金のパート・アルバイトです。
これが全体の労働生産性を引き下げることになります。

「賃金格差と低い労働生産性」
「日本はどうして賃金が上がらないのか」

日本の労働生産性の低さは、失業率が他の欧米諸国に比べて
低いためだとよく解説されるが、果たしてそうだろうか。
終身雇用制と年功序列が完全にはなくならず、
さらに正規雇用と非正規雇用が固定化したため、
低賃金の労働力が生産性の低い分野に流入した。
日本は若者や女性を虐げ、外国人労働者を排除してきたため、
時代の変化とグローバル化に完全に乗り遅れてしまった。

正規雇用であっても、女性労働者は生産性の低い部門に
回されることが多く、日本の企業には女性の正規雇用が多いほど
生産性が低くなる傾向が、やはりあります。

「労働生産性と男女共同参画の論文を読んで思ったこと」
「労働生産性と男女共同参画(3)」
「労働生産性と男女共同参画―なぜ日本企業はダメなのか、」

発見のBは、次のモデル2の分析とも関連するのだが、注釈を要する。
浅野・川口(Asano and Kawaguchi 2007, 川口2007)は、
女性の男性と比べた相対生産性、は同一企業内では、
男性と比べた相対賃金とほぼ同様に低く、
また生産性の低い企業ほど女性を雇用する傾向があるので、こ
の選択バイアスを考慮しないと、男性と比べた相対生産性は
相対賃金以上に低くでる傾向があることを報告している。


今後日本のGDPが低下する大きな原因は、少子高齢化と人口減少です。
これは既婚男性中心の従来的な労働環境を改善せず、
女性が子どもを持っても仕事を続けやすい環境を
整備することを、おこたり続けたことによる、
というのは言うまでもないことでしょう。

「2050年に先進国から脱落?(2)」

GDP成長率(実質) 2030年代以降、すべてのシナリオでマイナス成長

「日本の人口の長期変化」



日本の労働環境は、女性を労働生産性の低い部門に
回すことによって、労働生産性を引き下げるという
直接的なマイナスの寄与を与えています。
さらに、女性が子どもを持ちにくい環境を放置することで
少子高齢化を招いて生産性を引き下げるという、
中長期的なマイナスの寄与を与えることになります。

日本の経済はジェンダー差別によって、
2回カウンタを受けていることになるでしょう。
これが「オンナコドモは黙っていろ」という人たちが
やり続けていることを、「オンナコドモのことは
くだらない」という人たちが放置してきた結果です。

「日本は経済大国」というのは、保守的な人たちにとって、
もっとも大きな精神的支柱ではないかと思います。
彼らにとっておそらくもっとも大切なものが、
おそらく彼らがもっとも軽視する人たちを
差別したことで、損なわれていくということです。


かかる「歴史的失策」の負債は現時点ですでに膨大です。
差別を続けることの「つけ」はいかに大きいか、
ということを示していると思います。
歴史を振り返っても、不健全なことを長く続けて
没落しない社会は、まず存在しないと思ってよいです。

「顧みられない家族政策」



posted by たんぽぽ at 22:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | 更新記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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