2017年06月26日

toujyouka016.jpg セクハラ野次の後に起きたこと

2014年6月に東京都議会で、セクハラ野次を投げつけられ
塩村あやか議員が、その後どうなったかについて
インタビューした記事があります。
これを見てみたいと思います。

「セクハラやじの後に起きたことは何か。壮大にコケてわかった、東京都議会という「伏魔殿」」
(はてなブックマーク)

東京都議会は「伏魔殿(パンデモニウム)」ですよ。
より具体的には「多数派中心主義」と「ミソジニー」です。

 
やった!パンデモニウムに、はいった!!


「多数派中心主義」は、一人会派に対する
東京都議会の扱いがかなりひどいということがあります。
塩村あやかは、一人会派「東京みんなの改革」を
作っているので、その冷遇を受けることになります。

控え室が物置きを間に合わせで改装したところですし、
1日中だれも控え室に訪れる人がいないことも多いです。
都議会だよりには、一般質問をした議員の質問内容を
掲載しますが、そこに一人会派の議員の
顔写真を載せないということがあります。

質問した全議員の写真を掲載するか、全議員の写真を
掲載しないというならわかるのですが、東京都議会には
「一人会派の写真は掲載しない」という”決まり”があるそうです。

一般質問は、会派ではなく議員個人に時間が
割り当てられているもので、議員に平等に与えられた権利です。
その広報の仕方に差別があるのはおかしい。

一人会派は「議会運営委員会」には入れないとか、
「全員協議会」というものはあって、
これは一人会派も参加できるのでしょうが、
ぜんぜん開かれないといったこともあります。
少数派の主張や提案なんて聞く気がないということです。


「ミソジニー」に関しては、たとえば東京都はずっと
保育園問題に無関心を続けてきたことがあります。
塩村あやか議員の働きかけにより、待機児童問題を
都の最重要課題とすることになったのでした。

当選した2013年は、保育園に子どもを預けられなかった
母親たちが杉並区に異議申し立てをした
「保育園一揆」があった年でした。
「保育は市区町村の事業」と傍観の立場をとってきた
都に何度も訴え、待機児童問題を都の最重要課題と
位置づけることができました。

「保育園一揆」は自民党区議の田中裕太郎のブログが、
2013年2月に炎上した事件です。
そこには「子育ては本来は家庭で行なうもの」という
因習的な家族観にもとづいた認識があったのでした。

「待機児童でブログ炎上」


「多数派中心主義」と「ミソジニー」体質の
東京都議会ですから、セクハラ野次が出てきたのも
無理もないことだ、ということになりそうです。

「2014年6月・東京都議会で起きたセクハラ野次について思ったこと」

一人会派で若い女性の1期目の議員というのは、
そんな彼らにとって格好のターゲットだったのでしょう。
塩村あやか議員は「学級崩壊状態」とも形容しています。

私は女性で、1期生の新人で、少数会派(当時)でした。
もちろん、セクハラは悪いしヤジも悪いですが、
それ以前に、あのとき都議会は「学級崩壊状態」だったのです。
よってたかって、大人数で新人いじめをして笑っていたのです。


東京だけでなく全国から批判がなされ、
外国メディアにまで取り上げられたセクハラ野次ですが、
東京都議会の多数派中心主義は、簡単には改善されないようです。
議会で野次を飛ばすことこそしなくなりましたが、
塩村あやか議員のことを、みんなで無視するようになりました。

小学生のいじめでも、気に入らない子を
「みんなであいつ無視しよう」なんてやることがありますが、
それと同じようなものではないかと思います。

議会でのヤジはなくなりました。
けれども、私に対しては何もしないという方策をとり始めましたね。
情報を教えない、権利を与えない、意見を聞かない、
いい答弁はさせないーーそんなネグレクトみたいな扱いですね。
情報が入ってこないので、何もわからないし、何も起こらない。
何もないってこんなにひどいことなのか、と思い知りました。

日本にはべつの弱者を見つけて叩く弱者が少なくないです。
この自縄自縛にもなりかねない精神・思考構造も、
「多数派中心主義」ゆえに、多数派に乗っからないと、
自分も叩かれるという恐怖もあるのではないかと考えられます。

「弱者」になったときに、その泣きっ面を踏みつけるように
追い打ちをかけてくる人がこんなにもいる。
その人たちは「強者」なのではなく、
「弱者」が「より弱者」を叩いていたりする。
背景にある抑圧や、多数派有利の構造を変えなければ解決しません。


都議会のミソジニーも改善されることはなかったようです。
議連を格好だけ立ち上げて、あとは研修も勉強会も開かず、
知らぬ存ぜぬを決め込んでいるようです。

男女共同参画の議連が5年間消滅していたというのも、
東京都議会がいかにジェンダー平等を軽視しているか、
ということを示していると思います。

騒動に無理やり幕引きをするために、超党派の議員による
「男女共同参画社会推進議員連盟」が約5年ぶりに再発足しました。
この議連には私も入っています。
議連は、再発防止のためセクハラについての研修会をするとし、
そう報道もされましたが、3年が経とうとする現在、
いまだに研修も勉強会も開かれていません。

(東京都の「男女共同参画社会推進議員連盟」について
検索しても、10年以上前のサイトしか見つからない。
最近のウェブサイトは作っていないのかもしれないです。)


「多数派中心主義」と「ミソジニー」、
そして都合が悪くなったらみんなでシカトというのは、
日本社会の醜悪な部分が凝縮されたようです。
それが首都が置かれ、日本でもっとも人口規模の大きい
東京都の議会というのも、象徴的なものを感じます。

東京の有権者の中には、石原慎太郎を4選させたことをはじめ、
都知事選をかなり気にするかたもいるだろうと思います。
そうしたかたは、都議会議員のこのような体質も
ぜひ問題にしていただけたらと思います。

都知事選はもちろんそうですが、議員や議会も
「有権者は自分にふさわしい政治家を持つ」のうちだからです。
(東京都の有権者になったことのないわたしが、
こんなことを言うのも恐縮ですが。)


付記:

塩村あやか議員は、今回の都議会選には出馬せず、
地元の広島に戻って民進党公認で次の衆院選に出馬予定です。

今回の都議選には出馬せず、地元の広島に戻り、
民進党公認で次期衆院選に挑戦する予定だ。

都議会でやるべきことはやりました。
一方で、一人会派としてこれ以上やっていくことに限界も感じました。
都議2期目を目指さないと決めたのには、そうした理由もあります。

都議会選に出ないのは、東京都議会は一人会派では
とてもやっていけないところと感じたからです。
こうして少数派は名実ともに排除されるのでしょう。
排除する側は願ったりだろうと思います。

現在の状況では民進党から出馬することは、
とても有利とは言えないことです。
それにもかかわらずあえて民進党公認というのは、
目先の当選を優先させる「風頼み」でない、
確固たる政治信条にもとづいたものを感じさせます。

posted by たんぽぽ at 07:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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