国際比較をした図があるので、見てみたいと思います。
出典はOECDの「Family Database(家族のデータベース)」です。
婚外子の国際比較。結婚と出産をセットで考えるって,普遍的ではないのね。pic.twitter.com/82quc0gnki
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2017年6月20日
婚外子の割合については、もっと国の数が少ない
国際比較の図は、何度も示したことがあります。
この図はOECD加盟国全部なので、圧巻な図となっています。
婚外子の割合がもっとも高いのはチリで69.6%、
ついでアイスランド66.9%、メキシコ61.8%となっています。
これらの国は60%を超えていて、3分の2に近いです。
チリとメキシコはラテンアメリカの国ですが、
ラテンアメリカには婚外子を忌避しない
独自の文化事情があるのかもしれないです。
ほかの国のデータも見てみたいところです。
(ラテンアメリカのOECD加盟国はこの2国だけ。)
出生率が回復していることでよく話題になる
フランスは55.0%、スウェーデンは54.5%で、
これらの国は50%を超えています。
スウェーデンでは平均初婚年齢(法律婚)より
平均第一子出産年齢のほうが低いです。
これは子どもをひとり持っても結婚しないのが
一般的だからということになるでしょう。
子どもが大きくなったり、ふたり目三人目を持つと、
税制や手当ての面で有利になるので、
法律婚をするかたが出てくる、ということだと思います。
欧米の民主主義国では嫡出概念はすでに廃止され、
婚外子と婚内子の区別はなくなっています。
婚外子に対する差別や否定的な社会通念が
すっかりなくなると、差別や偏見を理由に婚外子を
持つことをためらう人がいなくなります。
そのような国では、上述のように税制や手当ての扱いで
法律婚しないほうが有利なケースの割合まで、
婚外子の割合が増えることになるのでしょう。
日本の婚外子の割合は、わたしのブログをご覧のかたであれば、
よくご存知と思いますが、ほかの国と比べて問題なく少ないです。
わずか2.2%で、ほとんどのOECD加盟国とけたで違います。
日本でこのように婚外子が少ないのは、
日本では民法で規定された法律婚をするのが
正しい家族のありかたという家族思想が、
宗教のようにいまだ強固に根付いているからでしょう。
「家族思想という信仰」
それゆえ法律婚の枠内にない「異教徒」である婚外子は、
忌避され差別されることになります。
またこのような意識が社会制度にも反映されて、
婚外子に対して不利な社会の仕組みができている、
ということも考えられます。
欧米の民主主義国は嫡出概念を廃止している中、
日本は依然として嫡出概念を意識した
前時代的な家族観が蔓延しているということです。
「婚外子の割合の推移・国際比較」
もっとも少ないのは韓国で2.1%です。
日本との差は0.1ポイントなので、
ほとんど誤差範囲と思ってよいでしょう。
日本と韓国で下から1位と2位を占めるという、
家族・ジェンダー問題に関しての、
いつもどおりの状況になっています。
下から3番目はトルコで2.6%です。
日本、韓国よりちょっと多い程度です。
婚外子の割合はこの3国で同じくらいであり、
ほかのOECD加盟国から大きく離れていると言えます。