2017年07月08日

toujyouka016.jpg 都議会選・楽観する民進党

7月2日の東京都議選で、わずか5議席にとどまった
民進党ですが、なぜか敗北の悲壮感がないらしく
前向きな雰囲気で満たされているというニュースがあります。

「わずか5議席の民進党にホッとした空気が流れた2つの理由」
(はてなブックマーク)

党都連会長の松原仁・衆院議員が午後9時過ぎに姿を見せた。
「民進党こそ安倍政権の暴走を止められるという期待、
支援の輪が広がっている。手応えはあった」と
なぜかポジティブな言葉を選んだ。

 

現有の7議席から議席をふたつ減らした民進党は、
議席の数に関して言えば、自民党の暴走を止めることに、
まったく貢献はなかったことになります。

それにもかかわらず「民進党こそ安倍政権の暴走を
止められるという期待、支援の輪が広がっている。手応えはあった」
なんて、どこを見て言っているのかと思います。
都議会選で支持の輪が広がらなかったのは、
だれがどう見てもあきらかだと思います。

バズフィードの記事では
主役にも、脇役にも、悪役にもなれない選挙戦だった。
と書いていますが、民進党は完全に「端役」だったと思います。

都議会選に関して議席の数という観点から言えば、
安倍政権の暴走を止められると期待され支援されたのは、
追加公認を合わせて55議席を得た都民ファーストでしょう。


議席が減っているにもかかわらず民進党には
なぜかくも楽観のムードに包まれるのか、
理由はふたつあって

1. 壊滅をまぬがれた
2. 自民党が大敗した

があります。


ひとつめの理由は明確だ。
当初、都議選を前に離党者が相次ぎ、離党ドミノと揶揄された。
民進党の獲得議席は現有7議席に対し、0や1という数字も報じられた。

選挙前の予想では、民進党の獲得議席は0-1でしたから、
5議席も取れて、東京が「第二の大阪」にならずにすんだのは、
「大健闘」であり「幸運」だと思います。

民進党の都連幹部は、この政治状況を「民進党にとっては
逆風どころか、神風が吹いていた」と例えた。

自民党・安倍政権が猛批判にさらされた状況での選挙は、
たしかに「神風」レベルの幸運だと思います。
それでもそのような圧倒的に有利な政治状況でも、
現有議席を減らした事実はきわめて深刻なことだと
考える必要もあると思います。

「神風」が吹いても現有議席以上の議席を取れない、
民進党の党勢はそのくらい落ち込んでいる
ということにほかならないです。
なぜ民進党には「神風」が吹いていたのに、
議席を減らしたのかを考えるところだと思います。


議席は多く残ったほうが、党の再生はしやすいです。
今回の「神風」は、党の再生のための機会を
まだ残してもらえたと考えることであり、
安心することではまったくないのだと思います。

わずか8年、2回の選挙で、過半数近くを占めた第1党から
少数政党にまで落ちぶれたことは、
「歴史的敗北」だと言わざるをえないと思います。

ラジオのレポーターは「2009年には54議席を獲得した
都市型政党の面影はありません」と現場の様子を
伝えるべく、リハーサルを繰り返していた。


2つ目の理由は自民党の大敗だ。幹部からも繰り返し語られた。
つまり自民党大敗の理由の一つに、
民進党の追及があったと言うこともできる。
これが彼らの安堵感につながっている。

自民党が大きく議席を減らしたのは、
国政における失策の影響が大きいとは思います。
森友や加計にしても、稲田朋美防衛大臣の失言にしても、
民進党が国会でこれらを追求したことは大きいです。

こうしたことを意識して、「民進党が安倍政権の暴走を
止められるという期待」と言っているのでしょうが、
都議会選では、民進党は議席の上で自民党を圧迫して
いないことは陽を見るよりあきらかです。

これは民進党がいくら国会でよい質疑をしても、
ほかに期待できる政治勢力があると、自民党に対する批判票は
全部そちらへ流れるということです。
直接的な政策や実績で評価を得られないばかりか、
批判票さえ集められないとあっては、かなり致命的です。

自民党が都議会選で大きく議席を減らしたのですから、
民進党による国会での与党・自民党に対する追求は、
このまま続ければよいことになるでしょう。
あとは自分たちの政権追求の「実績」を
いかにして自分たちへの支持や票に結びつけるかを
考える必要があることになります。


民進党のみょうに楽観的なムードを見て、
わたしは「共産党の選挙総括のようだ」と思いましたよ。


議席の上ではぜんぜん健闘していないのに、
あたかも自分たちが与党を追い詰めたかのような
「夜郎自大」的認識や、「神風」レベルの幸運な
政治状況だと言っておきながら、結局自分たちの議席が
増やせないというのは、ひとむかし前の共産党が
選挙のたびに繰り返していたことです。

議席の減少という隠しようのない敗北と向き合うことなく、
自分たちは大健闘したかのように悦に入っていては、
今後も党の再生なんておぼつかないと思います。


民進党の獲得議席が5となったとき、
選挙前の予想を大きく上回ったのはとてもよかったけれど、
民進党の関係者は「自分たちはたいして改善しなくても、
与党に逆風が吹けばなんとかなる」なんて
安心したりしないかと、心配になったのでした。


民進党はもともと二大政党制だから、
自民党に行った振り子はいずれ自分たちのところへ
戻ってくると、楽観的に考えている人が多いです。

「民主党の現状・識者に聞く」
「「民主党の現状 識者に聞く 地味に汗をかく人少ない」
民主党政権検証のため、下野後に多くの議員に会ったが、
二大政党制を根拠に「自民党に行った振り子はいつか戻ってくる」
という楽観的な空気を何度も感じた」

そのせいもあってか、選挙は「風まかせ」になり、
自力で支持基盤を堅める努力に熱心でない候補者が多いです。

「民主党・風頼みの選挙」
「二大政党制の正念場 民主「風頼み」、政策対案示せず」

今回の選挙戦では、大規模な駅前での街頭演説などを増やす
「ターミナル駅作戦」を展開したが、
「風頼み」の体質からも脱しきれていない。


それで今回の東京都議会選挙の結果を見て、
上述のようなことがわたしは心配になったのですが、
バズフィードの記事の様子では、この心配通りになりそうです。

今回の都議会選挙の結果は、二大政党制に安心して
みずから支持を広げる努力をしないと、
与党にいくら強い逆風が吹いても、自分たちに支持は
集まらないし、振り子なんていつまでも
帰ってこないことを、むしろはっきり示したと思います。

posted by たんぽぽ at 21:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | 選挙 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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