2017年07月09日

toujyouka016.jpg 婚外子の割合と出生率の関係

舞田敏彦氏の『データえっせい』の6月20日エントリは、
婚外子の国際比較です。

「婚外子の国際比較」

エントリに出ているデータのいくつかは、
わたしのブログでもすでにお話していますが、
ここではまだ見ていないデータを見てみることにします。

ここで初めて見るデータ(おそらくこのような相関を
調べたかたはほかにいないのではないかと思う)は、
婚外子の割合と、特殊合計出生率の相関関係です。

 
横軸に婚外子の割合、縦軸は出生率です。
婚外子のデータはOECDの「Family database」、
出生率のデータは厚生労働省の『人口統計資料集2017』が出典です。


図を見ればはっきりと相関があることがわかります。
婚外子の割合が高い国ほど出生率が高いです。


出生率の高い国としてよく言及される
フランスとスウェーデンは、婚外子の割合も高く、
図の右上のほうにプロットが来ています。
アメリカ合衆国とイギリスも、プロットは上のほうです。

ドイツは婚外子の割合は中程度ですが出生率が低いので、
真ん中の下のほうにプロットが来ています。
出生率が低くそして婚外子の割合が飛び抜けて低い
日本と韓国は、左下の端のほうにプロットが寄っています。


出生率が高い国は一般に、家族に対する社会制度や
公的支援が充実していて、子どもを産み育てることに対する
経済的、時間的負担がかからないようになっています。

また家族に対する制度や支援の充実している国は、
家族に関する制度や支援を、婚外子か婚内子かにかかわらず
同様に受けられるようになっているのでしょう。

社会が家族を積極的に支援するというスタンスが、
家族制度の充実と婚外子の差別をしない意識の、
両方に現れるのだろうと思います。
かくして婚外子の割合が高い国は出生率が高くなる、
という相関が出てくるのだろうと思います。


図に出ているOECD加盟国の大半は、嫡出概念がすでに廃止され、
法的には婚外子と婚内子の区別がなくなっています。

あとは前時代の名残りの婚外子を差別する制度が
どれだけ残っているかとか、人びとの意識の中に
婚外子を差別する意識がどれだけ残っているか、
という問題になっているのではないかと思います。



付記:

最初のエントリでは、学生結婚の割合、婚外子の割合の国際比較、
そして婚外子を持つことに対する抵抗感に言及があります。
そして最後にこのエントリでお話した、出生率と婚外子の
割合についての、相関の図に触れています。

「学生結婚の割合の国際比較」



「婚外子の割合・OECD加盟国比較」



「婚外子に対する意識の日瑞比較」



posted by たんぽぽ at 20:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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