婚外子の国際比較です。
「婚外子の国際比較」
エントリに出ているデータのいくつかは、
わたしのブログでもすでにお話していますが、
ここではまだ見ていないデータを見てみることにします。
ここで初めて見るデータ(おそらくこのような相関を
調べたかたはほかにいないのではないかと思う)は、
婚外子の割合と、特殊合計出生率の相関関係です。
横軸に婚外子の割合、縦軸は出生率です。
婚外子のデータはOECDの「Family database」、
出生率のデータは厚生労働省の『人口統計資料集2017』が出典です。
ブログ更新。データえっせい: 婚外子の国際比較 https://t.co/NzlSKVmjwF 結婚は時代遅れのもの。 pic.twitter.com/EgeaINk9uz
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2017年6月20日
図を見ればはっきりと相関があることがわかります。
婚外子の割合が高い国ほど出生率が高いです。
出生率の高い国としてよく言及される
フランスとスウェーデンは、婚外子の割合も高く、
図の右上のほうにプロットが来ています。
アメリカ合衆国とイギリスも、プロットは上のほうです。
ドイツは婚外子の割合は中程度ですが出生率が低いので、
真ん中の下のほうにプロットが来ています。
出生率が低くそして婚外子の割合が飛び抜けて低い
日本と韓国は、左下の端のほうにプロットが寄っています。
出生率が高い国は一般に、家族に対する社会制度や
公的支援が充実していて、子どもを産み育てることに対する
経済的、時間的負担がかからないようになっています。
また家族に対する制度や支援の充実している国は、
家族に関する制度や支援を、婚外子か婚内子かにかかわらず
同様に受けられるようになっているのでしょう。
社会が家族を積極的に支援するというスタンスが、
家族制度の充実と婚外子の差別をしない意識の、
両方に現れるのだろうと思います。
かくして婚外子の割合が高い国は出生率が高くなる、
という相関が出てくるのだろうと思います。
図に出ているOECD加盟国の大半は、嫡出概念がすでに廃止され、
法的には婚外子と婚内子の区別がなくなっています。
あとは前時代の名残りの婚外子を差別する制度が
どれだけ残っているかとか、人びとの意識の中に
婚外子を差別する意識がどれだけ残っているか、
という問題になっているのではないかと思います。
付記:
最初のエントリでは、学生結婚の割合、婚外子の割合の国際比較、
そして婚外子を持つことに対する抵抗感に言及があります。
そして最後にこのエントリでお話した、出生率と婚外子の
割合についての、相関の図に触れています。
「学生結婚の割合の国際比較」
国際比較はこうだけどね。 pic.twitter.com/9tafqiZBA7
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2017年6月19日
「婚外子の割合・OECD加盟国比較」
婚外子の国際比較。結婚と出産をセットで考えるって,普遍的ではないのね。pic.twitter.com/82quc0gnki
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2017年6月20日
「婚外子に対する意識の日瑞比較」
婚外子に対する意識の日瑞比較。全然違う。 pic.twitter.com/aETHpONCyj
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2017年6月20日