よく話題になる「非もて男性」問題がまた勃発していました。
女性が自由意思を持てるようになって、
望まない男と結婚しなくてもよくなった、
だからフェミニズムは正しかった、という主張があるのですが、
それを見て「非もて」男たちがフェミニズムに
逆恨みするという、よくある図式です。
「「フェミニズムのおかげで無理やり結婚させられなくなってよかった」→
少子化、非モテ排除。自由恋愛によって衰退する日本は…」
(はてなブックマーク)
発端になったツイートを見てみたいと思います。
これらはとくにおかしなことは言っていないでしょう。
「フェミニズムが女性を自由にしたせいでオレらが結婚できなくなった」と主張するTwitter弁士を見かけるたび、「昔だったら社会の圧力でこいつらと結婚させられてた女性が救われたんなら、やっぱりフェミニズムは正しかったんでは…?」と思う。
— 高 史明(TAKA, Fumiaki) (@Fumiaki_Taka) 2017年6月17日
もてない女性にとっての脅威は「結婚できないこと」より、
「望まない男性と結婚させられること」です。
フェミニズムが女性の権利意識や自由意志を
保証するようになって、望まない男性との結婚を減らしたなら、
やはり「正しかった」ということになるでしょう。
モテない男が想定している最悪が「一生結婚できない」なのに対して、モテない女が想定している最悪は「意に沿わぬ相手と結婚させられる」なのではないかと思う。だから、モテない男が女叩き、フェミバッシングに走る傾向が強いのに対して、モテない女はそれほどでもなく、むしろフェミニズムを求める。
— 宇野ゆうか (@YuhkaUno) 2015年3月27日
女性が望まない結婚をしなくなったというか、
国民皆結婚が崩れていったのは、高度経済成長が終わって
「結婚したらいまよりいい暮らしができる」という
女性にとっての経済的インセンティブが
薄れたことのほうが大きいかもしれないです。
「非婚・未婚と経済問題」
「未婚率が低かった時代」
「ブサイクでお金がない何の取り柄もない自分にも女をあてがえ」と言い出したら、「ブサイクでお金がなくて何の取り柄もない上に性格まで悪い男」でしょ。選ばれるわけないじゃん。せめて他人の自由を尊重することを覚えようよ…。
— 高 史明(TAKA, Fumiaki) (@Fumiaki_Taka) 2017年6月17日
なんの取り柄もなく、もてる努力もしないのに、
「自分にも結婚させろ」「女をあてがえ」と考えるところが、
「非もて」男の浅はかで厚顔無恥なところであり、
人間性と人権意識を疑うところだと思います。
人間性と人権意識がまともでないから、
ますます女性から忌避されてもてなくなるのですが、
そうなっても「非もて」男は自分を
「被害者」としか思わないということです。
実質は「利益をむさぼれなくなった既得権益者」です。
もてる男性は、それだけの資質があります。
ほとんどもとから備わっていることもあるでしょうが、
努力して身につけているものもあります。
「非もて」諸氏はもてたいなら、それだけの資質を
身につける努力をすることです。
ここで自身を磨く努力をせず「女に自由意志、
男を選ぶ権利がなければ、自分のような男とでも
結婚するしかなくなるのに」と考えるのが「非もて」男です。
「女の意思」なんて考えるのはめんどくさい、
自分はなにもせず楽をしていい思いをしようという、
虫のいいことを考えているということです。
解説が必要なツイートとも思われないんだけど、
— 高 史明(TAKA, Fumiaki) (@Fumiaki_Taka) 2017年6月18日
努力しても結婚できるほど豊かになれない社会を呪う←分かる
顔以外の自分の長所も理解してと叫ぶ←分かる
結婚しない(できない)ことでバカにされたくない←分かる
自分が結婚できない原因の(と彼らがみなす)女性の自由を恨む←これはバカにする
「非もて」男はなぜ女性に逆恨みするのかですが、
「非もて」も一種の「弱者男性」だからだと思います。
その「弱者男性」にありがちな「女性を仮想加害者に
見立てて攻撃する」という特徴が出ていると考えられます。
「女性を攻撃する弱者男性」
「男性差別論者の精神構造」
「非もて」も一般の「弱者男性」と同じように、
「男性としての既得権を持ちたい」と思っているのでしょう。
そしてその「既得権」によって搾取できるはずだった対象を、
「仮想加害者」に見立てるということです。
「非もて」の場合、その「既得権」はまさに
「女性の自由意志に反して自分と結婚させる」です。
彼らは既存のジェンダー規範はそのままで
強者カテゴリの利益を得たいということです。
「フェミニズムが結婚できない男を作ったせいで少子高齢化で国力が衰退してるんですけど、ずいぶん素晴らしいですね」という反論が多数来てて、「だから国力のために女を産む機械にしろと言い出す連中から女性を解放したんならいいことじゃんっつってんだろ」と思ってます。
— 高 史明(TAKA, Fumiaki) (@Fumiaki_Taka) 2017年6月18日
これははじめに特定のカテゴリの人たち(この場合女性)を
犠牲にしなければ、国力が維持できないなら、
そんな不健全な国力など衰退したほうがいい、
という答えかたがあると思います。
「フェミニズムのおかげで無理やり結婚させられなくなってよかった」→少子化、非モテ排除。自由恋愛によって衰退する日本は… - Togetterまとめ女が望まない結婚をしなくてよくなったせいで滅びるような国なら滅びるべき。国の存続のために女は人生を捧げよって?胸糞悪い
2017/06/20 14:40
「フェミニズムのおかげで無理やり結婚させられなくなってよかった」→少子化、非モテ排除。自由恋愛によって衰退する日本は… - Togetterまとめ社会は人のためにあるのであって、社会のために人がある訳ではない。人を犠牲にしないと維持できない社会はその役割を終えて滅びるか、自己破壊をしながら役割を変えるかどちらかしか選べない。
2017/06/20 21:50
現実問題として、特定の成員を犠牲にすることで
成り立つ社会こそ、どんどん衰退していくことが多いです。
女性の自由意志を認める社会は、それが原因で
衰退することはないと考えてよいでしょう。
日本が人口減少とそれによる少子高齢化で
衰退していくのは、女性が仕事をしていても
子どもを産み育てやすい環境を整備しないことが大原因です。
「顧みられない家族政策」
「少子化対策の無策と愚策」
「少子化対策・過去の愚策」
日本の経済が衰退していく原因は、
女性を低賃金の非正規雇用や、正規雇用でも
生産性の低い部門に回すことで、
日本社会の生産性を低いものとしているからです。
「2050年に先進国から脱落?(2)」
「2050年に先進国から脱落?(3)」
「2050年に先進国から脱落?(4)」
経済が低迷し、雇用と収入が不安定だから、
結婚しない人が増えて子どもを持つ人も増えず、
少子化と人口減少をもたらすことになるということです。
結婚しないのは経済的事情であって、
自由恋愛のせいではないです。
「結婚願望と交際経験の減少」
「結婚願望と交際経験の減少(2)」
日本社会に蔓延する「ミソジニー」や「反フェミ」こそ、
日本の国力が衰退に向かっている大要因です。
これらはもてないことを女性の自由意志のせいにする
「非もて」も一翼を担っていることになります。
フェミニズムに日本を衰退させるだけの力があるなら、
日本のジェンダーギャップ指数は2016年に111位なんて
お粗末すぎる事態にはなっていないでしょう。
「フェミニズムのおかげで無理やり結婚させられなくなってよかった」→少子化、非モテ排除。自由恋愛によって衰退する日本は… - Togetterまとめ
- [ togetter]
ま、日本を衰退させられるほどフェミニズムに影響力あったらもっと本邦女性の地位は向上してるよ、で終わってしまう話。
2017/06/20 20:04
フェミニズムにこれくらい力がないからこそ、
「ミソジニー」や「反フェミ」が跋扈することになり、
少子高齢化や生産性の低迷を招いて、
日本は衰退に向かっているのだと思います。