選挙ドットコム編集部が行なった、東京都議会選挙に
当たって各政党を対象にした、さまざまな政策の
スタンスについてのアンケートです。
「【都議選2017】築地・受動喫煙・知事への評価…「 政党・団体アンケート回答比較」」
今回は教育政策(私立高校の無償化)を見ていきます。
前回の保育政策と今回の教育政策で、
ブログエントリで詳しく見るのは、終わりにすると思います。
(ほかの政策は各自でご覧くださいね。)
「【都議選2017】各党 政策比較「教育政策」」
各党の回答は、自民、共産、公明、民進、生活ネット、維新は
どこも「賛成」と答えています。
選挙ドットコムでは、「築地市場の豊洲移転」「受動喫煙」「小池知事への評価」など、都議選の争点へのスタンスや都議選でどような政策を訴えるのかに関するアンケートを、回答をまとめました。
— 選挙ドットコム (@go2senkyo) 2017年6月27日
【都議選2017】政党・団体アンケート回答比較https://t.co/t3GK7UlNmh pic.twitter.com/D7uGlzbjQY
自民党は国政では、教育の機会均等にもっとも不熱心です。
家庭に負担させることを原則として、教育に対する
公的支援には否定的、民主党政権が主導した
高校無償化も反対を続け、政権を取ると所得制限を
設けることで、制度を後退させました。
「教育の機会不平等・原因と結果」
「高校無償化に所得制限(2)」
東京都の自民党は国政の自民党よりは
教育の機会均等に理解があるということでしょうか?
それともアンケートなので体裁のいいことを
書いているということなのでしょうか?
具体的なコメントですが、民進党は民主党政権時代に
高校の授業料の無償化を実現したことに、言及があります。
「(国政の)民主党政権時に公立学校の授業料無償化を実現」
(民進党)したものの「私立高校における授業料無償化の
取り組みは積み残しとなっている」(民進党)
これは問題なく民主党政権の成果でしょう。
「民主党3年間の成果」
【民主党政権で変わってきたこと その1】公立高校の実質無償化を2010年度に実現。経済的理由による高校中退者数が、09年1569人から11年951人に減少。中退者の学び直しも1000人以上増加。<コメント>自民党は終始バラマキと批判。政権をとれば廃止するのか。
— 福山哲郎 (@fuku_tetsu) 2012年11月21日
社民党は(議席は取れなかったですが)
国連人権A規約への言及があります。
社民党は「国際人権規約A規約の締結国として
日本政府の国際公約」としたうえで「就学援助の対象を
高校生までに広げます」と回答しています。
これは13条の、教育に関してすべての者に
権利を保証するという規定のことです。
2項の(b)で、高校教育をすべて無償にすることを、
締結国に義務づけています。
「国連人権A規約と高校無償化」
2 この規約の締約国は、1の権利の完全な実現を
達成するため、次のことを認める。
(b) 種々の形態の中等教育(技術的及び職業的中等教育を含む。)は、
すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、
一般的に利用可能であり、かつ、すべての者に対して
機会が与えられるものとすること。
共産党は数字を出して、説得力のあるものとなっています。
「東京では約6割の高校生が私立高校」(共産党)に進学し、
初年度の負担額は平均で「入学金25万円、授業料44万円、
施設費など21万円、合計90万4,000円」(共産党)になり、
東京都生活文化局のサイトにこの数字は出ています。
おそらく年度が異なっているため
共産党のあげている数字と若干差がありますが、
ほとんど同じと言ってよいでしょう。
「学校の運営経費に占める公費負担」
授業料等初年度納付金の公私比較(平成27年度)
都立高校
授業料:無償化
入学金:5,650円
計:5,650円
都内私立高校
授業料:439,071円
入学金:249,474円
施設費等:210,241円
計:898,785円(*)
*各費目の金額の算出については、小数点第1位を四捨五入したため、
各費目の合計と数値が一致しない。
維新の会は教育の投資効果や、他国との比較、
格差問題にまで言及があって、なかなか覇気があると思います。
「エネルギー等資源の乏しいわが国にあって、教育レベルの
高い国民は誇るべき一番の資源」(日本維新の会)であり、
「国家の繁栄のためにも、都民個々の幸福追求のためにも、
教育予算の対GDP比を他の先進国並みに引き上げ、
経済格差が教育格差とならぬよう教育機会平等社会を
実現する」(日本維新の会)と回答し、
「大学など高等教育への日本の公的支出は6年連続でOECD最下位、」
教育機関の公的支出はOECD加盟国中下から2番目です。
これは小学校から大学まで全部を含めてなので、
大学にかぎるともっと日本の下位は目立ちます。
格差問題に関して言えば、OECDは格差是正のために
教育の機会均等が必要としています。
経済格差は教育格差のもとになり得るのですが、
貧困が連鎖することで、そうしてできた教育格差が、
さらなる経済格差を作り出す原因になるからです。
「格差が経済成長を阻害」
「貧困の連鎖と経済的損失」
都民ファーストはなぜか「どちらとも言えない」と回答しています。
なぜに積極性がないのかというと、
「小池都政により私立高校の授業料の実質無償化、ということだからです。
給付型奨学金の創設・拡充は出来ている」と述べ、
「それはもうやった」ということです。
これはこちらに詳しく出ている、2017年度からの
都内在住の私立高校性の約3割を対象に、
授業料を実質的に無償化する政策のことだと思います。
「東京都 私立高校授業料無償化」
東京都在住の私立高校生が対象です。
東京都に住んでいない人は東京の私立の学校に
通っていても対象とならないといえますね。
逆に東京都内に住んでいれば東京以外の私立高校へ
通っていても無償化の対象になります!
この東京都の補助には、所得制限があります。
目安となる世帯年収は760万円未満(夫婦と子供2人のモデル世帯の場合)。
世帯年収とは夫婦の稼ぎ合計です。
国からの高校無償化は世帯年収910万円未満の
家庭の高校生に11万8000円が補助されます。
よって東京都からの補助は最高32万4000円となります。
年間授業料の平均額にあたる44万2000円を上限に国と合わせて補助。
現時点での状況は、国からの高校無償化による補助と、
東京都からの補助を合わせて、次のようになるでしょう。
保護者の世帯年収が760万円未満→44万2000円までは
(国と都からの)助成金が出る予定(国の分を合わせて)
保護者の世帯年収が760万円以上910万円未満→
11万8800円の助成金が国から出る(昨年までと同じ)
保護者の世帯年収が910万円以上→何もでない
東京都に住んでいる人が対象
私立高校の授業料負担の軽減は、政策がすでに導入されてはいますが、
所得制限があって、対象の私立高校性は全体の3割程度です。
また授業料のほかにも、私立高校は入学金や
施設費その他の負担が大きいです。
まだまだ制度を拡充する余地はあるでしょう。