2017年09月10日

toujyouka016.jpg 弱者男性を高収入女性が養え?

「金のない男性を成功した女性は養え」という、
「弱者男性」や「非もて男」がよく持ち出す主張について
考察したエントリがあります。

「なぜ「弱者男性」の敵が「フェミニスト」なのか」

むかし「きもくて金のないおっさん」が、
物議をかもしたときに書かれたエントリです。

 
はじめに「弱者男性」の主張を見ておきます。
上述のエントリでは、次のようだとしています。

女性は少々難があっても男性に引き上げてもらえる。
でも、「キモい金なしオッサン」は誰にも引き取ってもらえない。
しかも、女性の社会参画が進むほど、
そういった弱者男性は居場所を奪われていく。
男女平等を訴えるなら、成功した女性が弱者男性を引き受けるべきだ。

「きもくて金のないおっさん」の議論に関して、
同種の主張をする「弱者男性」はやはり出てきました。

「弱者男性を養わない理由」

子育てによる労力負担を考えると、男女平等と少子化対策、
格差問題に対する対処を全て並立するようにするには、
キャリアに乗り始めた若い女性が覚悟を決めて低収入男性を
専業主夫化するつもりで養う、という答えくらいしかないんですね。
これはフェミニスト側の海外事例研究でもあった議論です。


最初のエントリでは「弱者男性を救済するのが女性」となるのは
おかしいということについて、3つの点を挙げています。

1. なぜ、弱者男性の救済者は女性でなくてはいけないのか?
2. (弱者男性の)フェミニスト像
3. 架空の対立関係

ここでは1.を見てみたいと思います。


まず「弱者男性」を救済するのはなぜ女性なのか、
男性が救済してもいいではないか?という疑問があります。

女性や人権問題を訴える人だけが、困窮者を救済する
義務を背負っているわけではありません。
男性同士で助け合っても良いわけです。
なぜ女性にだけ救済を求めるのでしょうか?

「貧困女性を男性が養うべき」などと言っている
フェミニストなんていないと思います。
それなのになぜ貧困男性を女性が養わなければならないのか、
それがどうして「男女平等」なのか、という疑問が次にあります。

フェミニストの多くは、「金持ちの男性は貧困女性を
扶養すべき」と言っているわけではなく、
賃金や機会の不平等について改善を求めています。

「貧困男性」の貧困も雇用や福祉の問題であり、
雇用状態の改善や福祉の充実で解決することではないか、
貧困女性はそのような要求しているのに、
という疑問がさらに出てくることになります。

なぜ弱者男性の立場では、社会を通り越し、
女性に対して「金持ち女性は貧困男性を扶養すべき」と
いった要求をするのでしょうか。
女性と同じように、社会に対して是正を求めていくべきだと思います。


貧困問題は雇用の改善や福祉の充実で解決することが
本来ですが、それらは政府や行政の役目です。
「金のない」という状況を改善したいなら、
政治や社会にそのような政策を行なうことを訴えることでしょう。

「高収入の女性は金がない男を養え」という考えは、
本来なら国や行政で解決する雇用や福祉の問題を、
高収入女性の個人の負担に肩代わりさせることでもあります。

それは「生活保護や年金などの社会保障を国に求めず、
家族が面倒をみろ」というのとおなじような発想です。
個人の負担に転嫁して社会保障を削減していく
「小さな政府主義」的な、危険な発想でもあります。

「弱者男性と社会保障問題」


「高収入の女性は金がない男を養え」というのは、
理不尽なばかりか、ジェンダー差別的でもあります。
貧困問題は本来社会が解決することだったり、
男性にもサポートできることなのに、
女性にだけ解決の義務や責任を課すことになるからです。

弱者に対してのサポートは男女どちらが行っても良いのに
(または協力していくべきなのに)、女性が行うべきだと
決め打ちして要求していることです。
それこそ性差別です。

「親の介護は妻がやれ」という思想と大差なく、
女性にだけ義務を課すとしたら性差別に成り得ます。

ところが「高収入の女性は金がない男を養え」という主張は、
少なくない「弱者男性」や「非もて」からの支持があるようです。
なぜこれが支持されるのかと思います。


ひとつは、彼らはジェンダー差別的なことに加えて、
強者男性や政治、社会など自分より強いものにものが言えないので
自分より立場が弱く攻撃しやすい女性を叩くことに走る
ということではないかと、わたしは考えています。

「弱者男性」は男性としての既得権を
自分が得られないことに不満を持っています。
そして自分たちが搾取する対象になるはずだった女性を
「仮想加害者」に見立てて攻撃するので、
ジェンダー差別的ということになります。

自分より強い相手にものもうせないこともあるせいか、
彼らは女性にばかりねちねち絡む特徴があります。
フェミニズムを仮想敵にして攻撃したり、
「高収入の女性は金がない男を養え」というのも、
女に絡むことの一形態ということだろうと思います。

「女性を攻撃する弱者男性」
「ねちねちねちねち絡む人」


もうひとつ、彼ら「弱者男性」や「非もて」は、
雇用や福祉の問題ににそれほど見識がない
ということではないかと、わたしは少し思っています。
こうした社会問題に、彼らはあまり興味がなさそうな感じです。

貧困対策というと「家族に面倒見てもらう」くらいの
発想しか出てこないのかもしれないです。
自分は男性なので女性としか結婚できないから
(同性愛なんて念頭にないでしょう)、
「高収入の女は貧困男性を養え」なのでしょう。

posted by たんぽぽ at 17:33 | Comment(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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