「金のない男性を成功した女性は養え」という、
「弱者男性」や「非もて男」がよく持ち出す主張について
考察したエントリを、引き続き見ていきます。
「なぜ「弱者男性」の敵が「フェミニスト」なのか」
今回は
2. (弱者男性の)フェミニスト像
を考えます。
弱者男性のフェミニスト像は、大きくふたつあるようです。
a. 高学歴、高所得の女性
a.についてですが、高学歴や高収入でなくても
フェミニストと呼べると思われるなかたは、
いくらでもいるだろうと思います。
弱者男性が想定するフェミニストは、高学歴で高所得の
女性らしいですが、まずその前提がどうなのかと思います。
高学歴や高収入の女性は発言する機会が多いので
眼に入りやすいということなのでしょう。
それでフェミニストとはそういう人ばかり、
という認識を持つのだろうと思います。
自分が見えるものだけで全体を規定するという狭隘さです。
確かに、発言機会を与えられる女性はそういうタイプが多いと思います。
弱者男性や非もては基本的に自分のことしか考えないので、
他者に対する想像力もほとんど働かないと思われます。
それで自分が見ていないものがたくさんあることを、
想定も調べもしないのだろうと思います。
a.に関してはもうひとつ、「女のくせに自分より
学歴や収入が高いのは気に入らない」という、
差別意識もあるのではないかと、私は思っています。
それで高学歴で高収入の女性に対して
噛み付きたくなるのもあるのかもしれないです。
b. 体制に批判的な女性全般
これは「女性の権利っぽいことを言っている」だけで、
みんな「フェミ」のカテゴリに入れるという、
フェミニズムに無理解かつ反感を持っている人たちに
ありがちなことだと言えます。
彼女達は女性の社会参画の一環としてその主張をしますが、
家族を大事に思う女性からすれば、
「少子化解消=育児支援」というワードで
辛うじて繋がっているだけで、同意見ではありません。
発言者が女性であり、体制批判をしているからといって、
そういった人達までフェミニストとして
括られていることに疑問を感じます。
このような見えかたがするのは、
フェミニズムを「わかっていない」ので、
「女性の権利っぽいことを言っている」人たちは
みんな「フェミっぽく見える」ということがあるでしょう。
また「フェミニズム」をネガティブなレッテルと考え、
気に入らないものすべてにこのレッテルを貼ることで、
攻撃しやすくしていることもあると思います。
差別主義者や反反差別の人たちが、
自分たちの気に入らない主張をする人たちに対して
「サヨク」というレッテルをネガティブな意味で貼って
ひとくくりにして攻撃するのと同じことです。
「レッテルを貼ってひとくくりにする」のは、
対象を理解する手間を大幅に軽減するので知的に楽です。
そして「おれたち(us)」と「あいつら(them)」の
二項対立を描きやすくして、対象を攻撃しやすくします。
「気に入らないので攻撃したい」ときの常套手段です。
a.はフェミニストの範囲が理不尽に狭いし、
b.はフェミニストの範囲が理不尽に広いことになります。
a. 高学歴、高所得の女性
b. 体制に批判的な女性全般
認識がある意味反対であると言えますが、
どちらもフェニミズムに対する無理解と敵視が
もとになっているし、実際ありがちだと思います。
a.とb.の両方の認識を同時に持っている人も
たくさんいるのだろうと思います。