理由についてお話した、8月27日エントリに対して、
こんなエントリをいただきました。
「入試向きではない」
学び舎の教科書が一般の中学校であまり広まらないようで、
それは高校入試問題を解くことを念頭に
置いたものではないからだそうです。
「入学試験」とは直接関係ないと思います。
灘にしても麻布にしても、中高一貫校なので、
高校入試に配慮する必要はありません。
また、灘中学の和田孫博校長によると、
この教科書が普通の中学であまり広まらなかった理由は、
高校入試向けではないからであるようです;
さらにくわしい事情が、灘中学の和田孫博校長によって
次のように述べられています。
「謂れのない圧力の中で」
担当教員たちの話では、この教科書を編集したのは
現役の教員やOBで、既存の教科書が高校受験を意識して
要約に走りすぎたり重要語句を強調して
覚えやすくしたりしているのに対し、
歴史の基本である読んで考えることに主眼を置いた教科書、
写真や絵画や地図などを見ることで疑問や親しみが持てる
教科書を作ろうと新規参入したとのことであった。
これからの教育のキーワードともなっている
「アクティブ・ラーニング」は、学習者が主体的に問題を発見し、思考し、
他の学習者と協働してより深い学習に達することを
目指すものであるが、そういう意味ではこの教科書はまさに
アクティブ・ラーニングに向いていると言えよう。
逆に高校入試に向けた受験勉強には向いていないので、
採択校のほとんどが、私立や国立の
中高一貫校や大学附属の中学校であった。
それもあって、先ほどの葉書のように
「エリート校が採択」という思い込みを持たれたのかもしれない。
8月27日エントリで、学び舎の教科書の採択理由として
わたしは「入学試験問題を解くために、正統な歴史を
教える必要がある。入学試験に出ないことを
勉強する余裕なんてない」と書いていました。
高校入試はこの際関係ないということです。
中高一貫校であれば、大学入試は必ず受験することを
意識しているでしょうから、大学受験まで考えたら
「入試問題を解くために正統な歴史を
学習する必要がある」とは言えそうです。
上記引用の和田孫博氏のPDFファイルを見たところ、
学び舎の歴史教科書が「レベルが高い」のはたしかそうです。
「学習者が主体的に問題を発見し、思考し、
他の学習者と協働してより深い学習に達することを目指す」
という「アクティブ・ラーンニング」は、
かなり理解できている子でないと、難しいだろうと思うからです。
高校入試問題を解くことを意識した教科書ではなく、
かつ「アクティブ・ラーンニング」という
レベルの高い学習を意識していることから、
中高一貫で高校入試の必要のない有名進学校で
採択されたということではないかと思われます。
「有名エリート校がなぜ採択したのでしょうか」という、
例の「抗議」のはがきの「質問」に対する答えは、
「有名エリート校にふさわしいレベルの教科書だから」
ということでよさそうです。