2017年09月30日

toujyouka016.jpg 教育の公的支出と出生率

教育に対する公的支出のGDP比と出生率との
関係についての国際比較です。


 
水色の破線で囲んだのは出生率の高い国ぐにです。
北ヨーロッパ3国とイギリス、フランス、
アメリカ合衆国がここに入っています。

ピンク色の破線で囲んだのは、出生率の低い国ぐにです。
日本、ドイツ、韓国がここに入っています。

教育に行政がお金を出さない国は出生率が低い
という因果関係があることになります。
子どもが教育を受けることに経済的負担が大きいことも、
子どもを持つことをためらう要素のひとつということです。

子どもは産むだけでなく育てる必要もあるという、
あたり前のことを示していると言えます。


日本は、福祉を減らして家庭に負担させる
自民党政権のもとで、教育の公的支出も低水準に
抑えられてきたのでした。

「教育の機会不平等・原因と結果」

対GDP比を見ると、日本は3.25%で、
OECD平均の4.54%を大きく下回っています。
加盟国33カ国中下から2番目です。

教育機関への公的支出、日本は33カ国中32位

大学以上に限ると、日本の公的支出のGDP比は
OECD平均の半分以下、突出して最下位です。

大学など高等教育への日本の公的支出は6年連続でOECD最下位

そんな国では「教育に負担がかかるから
子どもを持つのはやめよう」と考える人が増えても
ごもっともなことだと言えます。


アメリカ合衆国は出生率が高いわりに
教育に対する公的支出のGDP比が低めになっています。
アメリカ合衆国は民間の福祉がかなり厚いので、
教育関係の福祉も民間がかなりの部分を
担っているのだろうと思います。


公的支出だけで日本よりGDP比が高いのですから、
民間による支援まで含めたら、アメリカ合衆国の
教育に関する福祉は、かなりの規模ではないかと思います。


韓国は出生率がとくに低いわりには、
教育に対する公的支出のGDP比が高めです。
北ヨーロッパの3国ほどではないですが、
イギリス、フランスと同程度と言えます。

韓国の場合、妊娠、出産、育児の支援とか、
女性が仕事と家庭を両立する環境とか、
家族やジェンダーに関する部分で、
整備が遅れていることが原因ではないかと思います。

韓国は教育に関する公的支出のGDP比は中程度ですが、
「出世に関して裕福な家庭に生まれることが重要」と
考える人の割合がきわめて高いです。
家族やジェンダーに関する支援が遅れていて、
家庭間の格差が大きいということではないかと思います。

「社会的不平等・現実と認識」

教育費支出とライフチャンス意識の相関


ドイツは日本よりは家族やジェンダーに関する
支援が充実していますが、出生率は日本と同程度です。
ドイツは教育に対する公的支出のGDP比が低いことが、
出生率が上がらない原因のひとつなのでしょう。

このあたりは、家族・教育に関する公的支出と
高齢者に関する公的支出の割合を見ると、
さらに相関がはっきりしてきます。
公的支出が家族・教育向けより高齢者向けに
偏って多いと、出生率が低くくなります。

「福祉のバランス 子どもに冷たい日本の福祉」

高齢化対策に対する少子化対策の総体ウェイトと出生率(少子化対策に教育費公的負担を含む)

posted by たんぽぽ at 22:44 | Comment(0) | 教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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