松尾匡氏へのインタビュー記事をご紹介しました。
「問題だらけの経済政策 2017 衆院選」
最初に消費税増税についてくわしい言及があります。
これによると現時点でも景気回復はふじゅうぶんで
消費税増税によって景気が落ち込むとあります。
「自民も民進も間違っています。いま消費税を上げるべきでない。
むしろ景気拡大が不十分なら消費税の減税こそが必要です。
代わりに法人税や財産所得を含めた所得税の累進率を上げればいい」
「消費税は貧しい人ほど、実質的に負担が重くなります。
消費税増税は、生活に必要な材を作る部門全体を縮小させる。
つまり大衆の生活条件を抑制するのです。
3年前の2014年9月に経済学者のクルーグマンが、
消費税を10%に引き上げたら、日本経済は破綻する
というコメントをしていました。
この警告は現在でも有効ということになります。
「「日本経済は消費税10%で完全に終わります」」
消費税率を5%から8%に引き上げたときも、
経済はだいぶ悪影響を受けました。
安倍政権はこの4月に消費税を5%から8%に増税し、
さらに来年にはこれを10%に増税することすら示唆しているからです。
消費増税は、日本経済にとっていま最もやってはいけない政策です。
今年4月の増税が決定するまで、私は日本経済は多くのことが
うまくいっていると楽観的に見てきましたが、
状況が完全に変わってしまったのです。
具体的にはたとえば、消費税の増税によって、
物価の上昇と実質賃金の低下を同時に引き起こしています。
今後10%に引き上げた場合も、同様かこれ以上の
景気の悪化を引き起こす可能性があります。
「金融緩和の中間層への波及」
テレビ・新聞では報道されないアベノミクスの正体! ٩(๑`ȏ´๑)۶ RT @ykabasawa: 上がる物価と下がる実質賃金
— SAM ☮ (@2525slow) 2014年11月15日
アベノミクスにより経済悪化 pic.twitter.com/wAPa1gUv7L
安倍政権は2019年10月に予定どおり
消費税率を10%に引き上げることを公約にしています。
税の増収分の使い道を切り替えて、
少子高齢化対策に当てるためです。
「首相「北の脅威への対応と少子化、最大の争点」」
「少子高齢化を乗り越えていく」ため、
2019年10月の消費税率10%への引き上げに伴う
増収分の使途を変更し、高齢者中心の社会保障制度を
「全世代型」に転換する方針を示した。
使い道は妥当だが消費税の増税分で財源をまかなっても
失敗するというのが、最初にご紹介した記事の指摘です。
http://lacrima09.web.fc2.com/figs2/economic-2017vote.html
自民党も、消費税増税分の一部を教育無償化などに
振り向けると方向転換しています。
「選挙に勝つためとはいえ、安倍さんは国民の
望むものをよくわかっていると思います。
ただ、消費増税分を財源位するのは矛盾しています。
デフレから脱却していない状態で
消費税を上げると、景気が減速ずる。
家計が苦しくなって、子作りや教育にお金をかける余裕がなくなる。
その状態で国が教育に予算を振り向けても、
効果は思ったほど出ないでしょう」
消費税増税で社会福祉予算をまかなうのは、
むかしうまくいかなかった民主党政権の政策
「税と社会保障の一体改革」に近いと思います。
今度はそれを安倍政権が実行するのでしょうか?
立憲民主党の公約は、消費税率10%への引き上げは凍結です。
現在の景気状態では、消費税の増税は
国民生活を圧迫し経済に悪影響、という判断は
妥当ということになるでしょう。
「生活の現場から暮らしを立て直します」
将来的な国民負担を議論することは必要ですが、
直ちに、消費税率10%へ引き上げることはできません。
枝野幸男は9月1日の代表選で、消費税の10%への
引き上げを凍結することを公約にしていました。
現在の立憲民主党の公約も、これに準じているものと思います。
「民進党代表選・社会保障」
枝野氏が最優先課題として訴えるのが介護職員と保育士の待遇改善。
社会保障政策ではなく「景気対策」と位置付けるのが特徴だ。
対する枝野氏は「足元の経済状況や、税の使い方に対する
国民の信頼を考えると、到底できる現状にはない」と反論。