日本のジェンダーギャップ指数の順位が低いのは、
政治分野でとくに格差が大きいという問題です。
「ジェンダーギャップ指数2017年」
「The Global Gender Gap Report 2017, Japan」
「日本の男女格差114位 議員数・所得 遠い平等」(全文)
女性議員の多い国について次の指摘があります。
教育に多くの予算をかけているということです。
慶応大の小林良彰教授(政治学)が
125カ国について調べたところ、女性議員比率が高い国ほど、
民主主義の度合いやGDPに占める教育費の割合が高く、
軍事費の割合が低い傾向がみられたという。
国会議員は当然専門知識を持つ専門職です。
よって女性議員が多くなるためには、女子にも高等教育を
受ける機会が開かれている必要があるでしょう。
そのためには教育に多くの国家予算が使われている必要がある、
ということではないかと思います。
教育に予算が使われないと、教育を受ける金銭的負担は、
個人や各家庭で受け持つことになります。
一般に教育にかけられる経済的リソースがかぎられると、
多くの家庭は高等教育を受けさせるのは
女子より男子を優先させる傾向があります。
かくして女子は高等教育を受ける機会が少なくなり、
専門的知識を必要とする国会議員になれる女性も
必然的に少なくなるということです。
日本の教育への公的支出のGDP比は3.25%で、
OECD加盟国33カ国の中では下から2番目です。(OECD平均は4.54%)
大学以上にかぎると0.56%であり、OECD平均1.13%の
半分以下で、他国から飛び抜けていて最下位です。
ここには「自助の精神」と称して、教育に対する
公的支出を減らし、家庭に負担させてきた
自民党の長年の方針や政策があることになります。
まさしく教育に予算をかけていない国の典型ということです。
「教育の機会不平等・原因と結果」
「教育の公的支出と出生率」


教育の負担を家庭で持つ必要が多くなると、
子どもが男の子ならちょっと無理してでも
大学に入れようとするが、女の子なら進学の支援に
消極的になる親が出てくることになります。
日本の高校はそのあたりを見越して、
入学試験で男子に「下駄」を履かせて
合格させているところも珍しくないくらいです。
教育機関が能力主義に反して、恣意的に男子を優先的に
合格させているということです。
「学校で下駄を履く男の子」
「入試で下駄を履く男の子」
こうして女子が高等教育を受ける機会は
ますます狭まっていくことになります。
実際日本は大学進学率が「女子<男子」となっている
ほとんど唯一の国になっています。
「大学進学率のジェンダー比較」
こちらも国際女性の日にちなんでOECDが出していた、高等教育における男女別の就学率。目に見えて男性の方が女性よりも大学に行っているのは日本ぐらい。もっと国際女性の日が日本国内でも盛り上がってほしいよね。 pic.twitter.com/7ifr0neyBu
— 畠山勝太/サルタック (@ShotaHatakeyama) 2016年3月8日
日本は女子が大学教育を受ける機会が狭いゆえに
専門的知識を多く必要とする女性議員の割合も
低くなると考えられることになります。