2017年11月08日

toujyouka016.jpg ジェンダーギャップ・管理職

日本のジェンダーギャップ指数は経済分野も格差が大きく、
全体の順位が低くなる原因となっています。

「ジェンダーギャップ指数2017年」
「The Global Gender Gap Report 2017, Japan」
「日本の男女格差114位 議員数・所得 遠い平等」(全文)

経済分野の中でも、とくに格差が大きいのが「管理職
(legislators, senior officials and managers)」です。

 
2017年の「管理職」のスコアは0.142で、順位は116位です。
2016年の「管理職」はスコアが0.128なので、
そこから0.014ポイント増えています。
それでも他国の格差改善のレベルのほうが大きかったようで、
2016年の順位の113位から3ランク下がっています。

global gender gap report 2017, Japan, country score card


ジェンダーギャップ指数のデータを見ると、
2017年の「管理職」の女性の割合は12.4%、男性は87.8%です。
女性管理職は1割をちょっと超える程度です。
これはほかの調査と同程度の数値になっています。

少し古いですが、総務省統計局『世界の統計2014』は
2010年近辺のデータを示してあります。

「専門職と管理職の女性比率」


労働政策研究・研修機構の「2014データブック
国際労働比較」はもう少しデータが新しいです。

「コラム・女性力活用の課題」

管理職に占める女性の割合(2012年)

これらの資料によれば、日本の女性管理職の割合は
10%程度であり、欧米の民主主義国だけでなく
アジアの国と比べても、圧倒的に少ないことがわかります。


日本で女性の管理職が増えない大きな原因は、
「長時間労働」という55年体制時代の労働習慣が
いまだに根強く残っていることだと思います。

「WLBと女性管理職の割合」
「女性管理職と長時間労働」

日本社会は高度経済成長期に、専業主婦の妻に
家のことを任せきりできる男性社員中心の
労働習慣を定着させました。
長時間労働も従業員は会社のことだけに専念できる
男性社員ばかりという前提だから導入できたものです。

女性は仕事を持っていても家事をする必要があり、
配偶者に家のことを任せきりにできないことが多いです。
それゆえ業績評価のために長時間労働を
要求される状況では、管理職を目指すことができない
女性も多いし、その前に自分から管理職コースを
望まなくなる女性も出てくることになります。

長時間労働をした女性しか、出世できていない!
男女で比較してみると、管理職要件に長時間労働がかかわる度合いは
女性のほうが男性より高いのです。残業できない雇用者は、
そのほとんどが女性ですが、最初から一般職など
管理職昇進機会の極めて少ない職に就けてしまうからです。
今の労働時間のまま、女性の管理職登用が進められれば、
すべてを犠牲にできる(もしくはアウトソーシングできる)
スーパーウーマンだけが抜擢されることになります。
育児や介護している女性は、時間の制約があるので、
そのコースには乗れません


2年ほど前ですが、自民党・安倍政権は、
2020年までに女性管理職を30%にするという、
2003年以来の数値目標を断念しています。

「女性管理職30%の目標断念」

実現がきわめて困難になってきたからです。
2010年代になってだいぶ経っても10%台の前半ですから、
こんな数値目標を達成することはとても無理と言えます。

女性管理職を増やす数値目標は、より現実的にするために、
業種別に設定することになりました。
これらは10%-20%程度なのでとても多いと言えないです。
そしてこの数値でも達成できるか怪しいです。

「女性管理職の新数値目標」

指導的地位の女性割合

日本のジェンダーギャップ指数が改善される日は、
まだまだ当分先のことになりそうです。


付記:

2014年のジェンダーギャップ指数が
発表されたときのエントリ。

「管理職のジェンダー格差」

posted by たんぽぽ at 06:46 | Comment(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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