2017年11月26日

toujyouka016.jpg 宮中晩餐会に同性パートナー反対?

自民党の竹下亘総務会長が、皇室の宮中晩餐会に
同性のパートナーが出席することは反対だと言って、
少し物議をかもしています。

「「宮中晩餐会の同性パートナー出席、反対」自民・竹下氏」
(はてなブックマーク)
「自民 竹下氏 同性パートナー反対発言「反省している」」
(はてなブックマーク)

 
理由は「日本の伝統に合わない」です。
批判されて「日本人のメンタリティに合わない」と言い換えています。
同性愛差別が日本の伝統やメンタリティだというのかと思います。

自民党の竹下亘総務会長は23日、天皇、皇后両陛下が
国賓を迎えて開く宮中晩餐(ばんさん)会をめぐり、
「(国賓の)パートナーが同性だった場合、
私は(晩餐会への出席には)反対だ。
日本国の伝統には合わないと思う」と述べた。
「私のまわりにも同性のパートナーを持っている人はおり、
普通におつきあいしているが、皇室に関係する場合に
日本人のメンタリティーとしてどうかという思いがあって、
あのような発言となった」と釈明しました。


4年以上前、2013年6月にフランスのオランド大統領が
事実婚の妻バレリー・トリルベレールを大統領夫人として
宮中晩餐会に招待したことがありました。

「事実婚でも大統領夫人待遇」
「事実婚でも夫人待遇 仏大統領来日で外務省」

これも竹下亘は、宮内庁が判断に悩んで当然
というくらいには問題だと考えているようです。

竹下氏は講演で、まず異性間の事実婚に言及。
オランド前仏大統領が来日した際、事実婚相手の女性を
宮中晩餐会に伴ったことについて、
「奥さんではないパートナーだという女性が
天皇、皇后両陛下と並んで座るわけだから、
どう対応しようかと宮内庁は悩んだ」と指摘した。


同性愛が日本の伝統に反するという事実はないですから、
ここでいう「日本の伝統」の正体は例によって、
戦後の民法によって定められた家族観が「正しい家族」という、
「家族思想」に対する信仰だと思います。
この「信仰」に同性愛は含まれないので、
宮中晩餐会への出席に反対することになるということです。

事実婚も「家族思想信仰」にはないです。
婚姻届けを出して法的に認められるのが
「正しい結婚」というのがこの「信仰」です。
それゆえ事実婚の妻も上述のように問題にするのでしょう。

よって「日本の伝統」ではないですが、
「日本人のメンタリティ」というのは、
残念ながら「合っている」とも言えるかもしれないです。
「家族思想信仰」は少なくない日本人の中に、
宗教の代わりの心のよすがとして染みついているからです。


竹下亘は「日本国として近い将来
突きつけられる課題」なんて言っています。
同性のパートナーを皇室のパーティに招くくらいで、
なにを大げさに構えているのかと思います。

そのうえで同性同士のケースに触れ、
「そのパートナーが同性だった場合、どう対応するか。
日本国として必ず近い将来、突きつけられる
課題ではないか」と述べた。

このように異様に大問題であるかのように扱うことも、
かかる同性愛差別は「家族思想」に対する
「信仰」にもとづいたものだと考えられるゆえんです。

「家族思想」にとらわれた人は、「信仰」に反する
家族のスタイルが入り込むことに、過剰防衛になるからです。
それは選択的夫婦別姓を認めただけで、
家族が崩壊するとか国家が崩壊するとか大騒ぎする人が
いることからも、察せられると思います。


竹下亘は「私のまわりにも同性のパートナーを
持っている人はおり、普通におつきあいしているが、」
などとも言っています。
「友達に同性愛者がいるから自分は同性愛者を
差別していない」という、差別主義者によくあるロジックです。

これは「自分の友人知人でも同性愛者は皇室のパーティに
参加させないよ」と言っていることにもなるので、
友人知人との人間関係という観点からも問題があるでしょう。



付記1:

菅官房長官がこの件についてコメントしていますが、
「肝心なことを言わない」というものです。

竹下亘の発言は政治家個人のものとして、
政府とは無関係としながら、政府や菅官房長官自身は
同性のパートナーを国賓として迎え入れることに
どう考えているのかは、「コメントは控えたい」です。

菅官房長官は午後の記者会見で、「どのような発言をしたか
詳細は承知しておらず、政治家個人としての見解を述べたものなので、
政府の立場でコメントは控えたい」と述べました。

そのうえで、菅官房長官は記者団が「国賓のパートナーが
同性だった場合、政府としてどのような対応をとるのか」と
質問したのに対し「仮定の話なのでコメントは控えたい。
そのようなことがあった場合にはしかるべき対応を
することになるだろう」と述べました。

同性のパートナーでも国賓として迎え入れるのが当然と
はっきり言わない時点で、察するところだと思います。



付記2:

天皇や皇室に関係することは、日本社会の中でももっとも差別が
やりやすいところではないかと、わたしは思っています。
天皇制を支持する人に差別主義者が多いことに加えて、
天皇、皇室ということで「伝統」を盾にとったりして、
「特別扱い」しやすいこともあるのだと思います。

国際社会を見ても女性が君主になれる国が当たり前
という時代になっているのに、女性天皇や女系天皇、
あるいは女性宮家にいまだにはばかりなく
反対できるというのも、その現れだと思います。


天皇や皇室に関することで差別がかくもまかり通るのは、
日本の天皇制は立場が安泰ということが
大きいのではないかと、わたしは思っています。

天皇制を廃止する議論も、日本では滅多に起きないです。
財政は国家予算だから、皇室運営にお金で困ることもないです。
独善的なことをしても、それで立場が揺らぐことがないので、
差別も安心してできるということだと思います。

天皇制を維持するために、国内や国際社会の世論からの支持を
必死になって取り付ける必要があるくらいにならないと、
なかなか差別的なことをやめるようには
ならないのではないかと、わたしは思っています。

posted by たんぽぽ at 21:17 | Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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