その内容について解説した記事があります。
基本的には控除が適用される範囲が広がり、
制度は拡大することになります。
「来年から「配偶者控除」改正、おもな変更点を荻原博子が解説」
【1】最大控除は、妻の年収が105万円未満→150万円以下に
【2】控除ゼロは、妻の年収が141万円以上→201万円超に
【3】夫の年収が1,220万円超だと、配偶者控除がゼロに
1. これまでは妻の年収が105万円未満のときに
夫の収入に配偶者控除が適用されました。
来年からは妻の年収が150万円までなら適用されます。
2. これまでは妻の年収が105万円以上になると、
控除額がだんだんと下がり141万円以上でゼロでした。
来年からは妻の年収が150万円以上から
控除額が下がり、ゼロになるのは201万円です。
3. 来年からは夫の年収が1220万円を超える場合は、
妻の年収に関係なく配偶者控除はゼロになります。
これまでは夫の年収がいくらであっても、
妻の年収が103万円を超えた場合は
夫の年収に配偶者控除が適用されました。
1.と2.は制度の拡大で、3.は制度の縮小です。
3.に該当する年収1220万円以上の高所得男性は
あまり多くないでしょうから、ほとんどのケースにおいて
制度拡大の対象ということになります。
夫が控除を受けられる妻の年収の上限を
105万から150万程度に引き上げるのは、
昨年から議論され検討されていました。
そのときの議論内容通りの制度改正だと言えます。
「配偶者控除、存続し要件拡大 世帯主の年収で制限」
17年度の税制改正では配偶者控除を残して
妻の年収要件を「150万円以下」などに引き上げる仕組みを軸に検討する。
パート従業員などとして働く女性の労働時間を増やしてもらう狙いだ。
ただ、年収要件を引き上げても女性からみて
働く時間を抑えた方が得になるケースは残るため、
「働き方改革」の趣旨にそぐわないとの批判が出る可能性もある。
「夫が外で働き妻は専業主婦」という
「家族思想信仰」を維持するために配偶者控除は維持したいが、
パートの労働時間を増やしたい企業の要請にも
答えたいので、適用範囲を広げるという、
ある意味「ご都合主義」的な制度改正だと言えます。
安倍政権は専業主婦の囲い込みの原因となり、
政権が標榜している「女性が輝く」社会に逆行することから、
配偶者控除の廃止を主張し、公約にもして来たのでした。
「配偶者控除の維持を外した」
「各政党のジェンダー政策(2)」
財務省や既得権益層の反発にあうので、
配偶者控除の廃止を毎年「先送り」にしていました。
最終的に控除を適用する範囲を広げるという、
「制度拡大」という逆行に落ち着いたということです。
「配偶者控除の廃止が先送り」(2014年)
「配偶者控除の廃止が先送り」(2015年)
「配偶者控除の廃止が見送り」(2016年)
「配偶者控除の廃止が見送り(2)」
配偶者控除の廃止は自民党・安倍政権のもとでは
実現しないだろうと、わたしは1年前に予想していました。
この予想は当たったことになります。
制度が逆行したので、予想以上だったと言えます。
「配偶者控除の廃止・今後の予想」
今後のわたしの展望ですが、配偶者控除の廃止は、
安倍政権では実現しないのではないかと思います。
自民党政権では実現しないと言っていいかもしれないです。
上述のように廃止の推進派の動きが、
ある程度は活発になることはあるだろうと思います。
それでも反対の既得権益層が強すぎて、
彼らを押し切るにはとてもいたらないことと思います。
民主党政権も配偶者控除の廃止を公約にしながら、
既得権益層の反発を恐れて、毎年先送りにしたのでした。
それでも制度を拡大させるという「逆行」はしませんでした。
自民党・安倍政権は配偶者控除に関しては、
民主党政権よりお粗末ということになりそうです。
「配偶者控除廃止が見送り」(2012年)
「配偶者控除廃止が見送り」(2011年)
「配偶者控除廃止が見送り」(2010年)