2017年12月06日

toujyouka016.jpg 夫婦別姓とスウェーデン叩き

メインブログの11月18日エントリでご紹介した、
サイボウズの青野慶久氏による選択的夫婦別姓の反論の
反論エントリを見ると、反対派の主張として、
スウェーデンに関するものを取り上げています。

「選択的夫婦別姓への反論へ(その2)」

「スウェーデンは別姓を認めて失敗した。轍を踏んではいけない」

 
いまから15年くらい前、ジェンダーフリー・バッシングが
華やかなころ、林道義氏のような反フェミが
選択的夫婦別姓を含めたジェンダー平等政策に反対するために、
スウェーデン・バッシングを派手に展開していました。

スウェーデンはジェンダー平等の達成度が高い国として
しばしば引き合いに出されます。
それで「スウェーデンはこんなにひどい国だ」と強調することで、
ジェンダー平等はディストピアをもたらすから
反対するべきと主張しようということです。

彼らの展開したスウェーデン・バッシングは
根拠のとぼしい言いがかりやデマがほとんどです。
当時からだいぶ反論されましたが、
まだ信じている人は少なくないのかもしれないです。
「デマでも情報を拡散させたものの勝ち」という、
情報リテラシーに関する残念な現実だと思います。

「スウェーデン・バッシング 哀しき他虐史観の産物」


選択的夫婦別姓に関してスウェーデン・バッシングをする
反対論者がよく持ち出すこととして、
「スウェーデンの離婚率は50%で異様に高い。
これは選択的夫婦別姓を導入したために
家族が崩壊したからである」というものがあります。

「離婚率50%」というのは、じつは婚姻率と離婚率を
比較しただけで、本来の離婚率ではないです。
日本では2006年から出生率より死亡率が高くなりましたが、
これを「日本では100%以上の人が死ぬ。
異様に人が死にやすい社会」と言うのと同じです。

本来の離婚率は離婚件数の人口比で示します。
主要国の離婚率の年次推移は以下のようになってます。
スウェーデンの近年の離婚率は2.5前後を
推移していますが、日本を含めた他国と比べて
取り立てて高くはないことがわかります。

「主要国の離婚率推移(1947〜)」

主要国の離婚率推移(1947〜)



スウェーデンよりも日本のほうが、生活に関する
さまざまな指標で下位になることは、言わずもがなです。
ジェンダー差別によって少子高齢化をもたらし
着実に経済を衰退させている日本こそ、
真のディストピアではないかと思うところです。

「2050年に日本は先進国から脱落するという予測についてのエントリ」

日本とスウェーデンと比較すると、出生率・一人当たりGDP・
幸福度ランキング・子供の幸福度ランキング・男女平等ランキング、
そして政府への信頼度でも日本が下です。
日本の失敗の轍を踏まないようにしているのかもしれませんね。


ここでは日本とスウェーデンの20代の人たちが、
なにに対して不安を感じるかを調べた、
『わが国と諸外国の若者の意識に関する調査』(2013年)の
データを示しておきたいと思います。

「20代の不安の日瑞比較」



雇用や職場環境に関することが多いですが、
すべての項目においてスウェーデンの20代より
日本の20代のほうが「不安」と答えているかたが多い、
ということは注目することだと思います。

posted by たんぽぽ at 06:26 | Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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