サイボウズの青野慶久氏による選択的夫婦別姓の反論の
反論エントリを見ると、反対派の主張として、
スウェーデンに関するものを取り上げています。
「選択的夫婦別姓への反論へ(その2)」
「スウェーデンは別姓を認めて失敗した。轍を踏んではいけない」
いまから15年くらい前、ジェンダーフリー・バッシングが
華やかなころ、林道義氏のような反フェミが
選択的夫婦別姓を含めたジェンダー平等政策に反対するために、
スウェーデン・バッシングを派手に展開していました。
スウェーデンはジェンダー平等の達成度が高い国として
しばしば引き合いに出されます。
それで「スウェーデンはこんなにひどい国だ」と強調することで、
ジェンダー平等はディストピアをもたらすから
反対するべきと主張しようということです。
彼らの展開したスウェーデン・バッシングは
根拠のとぼしい言いがかりやデマがほとんどです。
当時からだいぶ反論されましたが、
まだ信じている人は少なくないのかもしれないです。
「デマでも情報を拡散させたものの勝ち」という、
情報リテラシーに関する残念な現実だと思います。
「スウェーデン・バッシング 哀しき他虐史観の産物」
選択的夫婦別姓に関してスウェーデン・バッシングをする
反対論者がよく持ち出すこととして、
「スウェーデンの離婚率は50%で異様に高い。
これは選択的夫婦別姓を導入したために
家族が崩壊したからである」というものがあります。
「離婚率50%」というのは、じつは婚姻率と離婚率を
比較しただけで、本来の離婚率ではないです。
日本では2006年から出生率より死亡率が高くなりましたが、
これを「日本では100%以上の人が死ぬ。
異様に人が死にやすい社会」と言うのと同じです。
本来の離婚率は離婚件数の人口比で示します。
主要国の離婚率の年次推移は以下のようになってます。
スウェーデンの近年の離婚率は2.5前後を
推移していますが、日本を含めた他国と比べて
取り立てて高くはないことがわかります。
「主要国の離婚率推移(1947〜)」
スウェーデンよりも日本のほうが、生活に関する
さまざまな指標で下位になることは、言わずもがなです。
ジェンダー差別によって少子高齢化をもたらし
着実に経済を衰退させている日本こそ、
真のディストピアではないかと思うところです。
「2050年に日本は先進国から脱落するという予測についてのエントリ」
日本とスウェーデンと比較すると、出生率・一人当たりGDP・
幸福度ランキング・子供の幸福度ランキング・男女平等ランキング、
そして政府への信頼度でも日本が下です。
日本の失敗の轍を踏まないようにしているのかもしれませんね。
ここでは日本とスウェーデンの20代の人たちが、
なにに対して不安を感じるかを調べた、
『わが国と諸外国の若者の意識に関する調査』(2013年)の
データを示しておきたいと思います。
「20代の不安の日瑞比較」
20代の不安の日瑞比較。
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2017年8月8日
差が大きいのは,1)職場の人間関係,2)老後の年金,3)仕事と家庭の両立。社会の特性が出ていますな。 pic.twitter.com/BVOM01YoNp
雇用や職場環境に関することが多いですが、
すべての項目においてスウェーデンの20代より
日本の20代のほうが「不安」と答えているかたが多い、
ということは注目することだと思います。