少子化が進行するもうひとつの条件、
「家族成員間の相互扶助負担の重い」というのも、
まさに日本の現状だと思います。
「「選択的夫婦別姓」訴訟から考える「家族主義が家族を壊す」現実―― 水無田気流」
立命館大学教授・筒井淳也氏が『仕事と家族』(中公新書)で
指摘するように、世界的に見れば家族観が硬直化、
かつ家族成員間の相互扶助負担の重い国ほど少子化が進行するなど、
客観的に見れば「家族主義は家族を壊す」点が指摘できる。
社会福祉、公的支援をどんどん減らして、
個人や家族に負担させるのが自民党の基本理念です。
民主党政権が導入した、子ども手当てや高校無償化に
ことごとく反対し、自民党が政権を取ってからは、
制限を設けたり規模の縮小をしてきました。
自民党の改憲案は、24条に「家族は互いに助け
合わなければならない」という文章を加えています。
これも社会福祉を削減して、家族間に負担させることを、
やりやすくするためとも考えられています。
「憲法24条と社会保障」
「自民改憲草案・家族の助け合い」
安倍自民党が提示した憲法改正草案の24条には、
「家族は、互いに助け合わなければならない」という
条文が追加されている。わざわざ憲法に書くようなことかと
疑問をもつ内容だが、実はちゃんと意味がある。
要するに、生活保護や年金などの社会保障を国に求めず、
家族が面倒をみろと明言しているのだ。
そのような福祉に対する理念を標榜する自民党が
大部分の時間、政権を取っているのですから、
日本では福祉が貧しく「家族成員間の相互扶助負担の重い」
国になるのも当然の帰結と言えます。
家族関係の社会支出のGDP比の国際比較を見ると、
フランス、イギリス、スウェーデンといった
ヨーロッパの国ぐにと比べたとき、
日本の低水準がはっきりしています。
「家族関係社会支出(各国対GDP比)」

アメリカ合衆国は出生率が高いにもかかわらず、
日本より低水準ですが、民間の支援が充実しているので、
それを加えると、ヨーロッパの国ぐにと比べて
遜色はないのではないかと思います。
アメリカの民間団体の慈善は本当に巨大ですし、組織も盤石ですよね。大企業も色々支援しますし、人的支援も大きい。あれを見ると、いつも日本を顧みてがっかりします。 https://t.co/bAk42ScO2K
— mika_beryl (@mika_berry) 2016年2月29日
ええ、その通りだと思います。先進国で福祉関連支出はアメリカの次に低いのですが、もう民間慈善の規模が全く違いますので、それを含めると、間違いなく日本は最低レベルです。 https://t.co/HiEKQi7RGQ
— mika_beryl (@mika_berry) 2016年2月29日
自民党は教育も「自助、共助、公助の精神」と称して、
家庭に負担させることが基本理念です。
教育関係の公的支出も日本はOECD加盟国の中で最低レベルす。
「教育の公的支出と出生率」
「教育の機会不平等・原因と結果」


かくして日本は大学の授業料が高く、
奨学金も貧しいOECD加盟国唯一の国です。
「学費は高いわ援助はないわ・・・日本の高等教育@OECD」
家族や教育に対する公的支援が少なくなると、
なぜ少子化が進行するかは、言うまでもないでしょう。
子どもを産み育てることに、個人の経済的負担が多くなるので、
子どもを持てる人が限られてくるからです。