記事で指摘されている少子化が進行する条件ですが、
これらの逆の社会となっているのがフランスだと思います。
「「選択的夫婦別姓」訴訟から考える「家族主義が家族を壊す」現実―― 水無田気流」
立命館大学教授・筒井淳也氏が『仕事と家族』(中公新書)で
指摘するように、世界的に見れば家族観が硬直化、
かつ家族成員間の相互扶助負担の重い国ほど少子化が進行するなど、
客観的に見れば「家族主義は家族を壊す」点が指摘できる。
フランスの家族政策については、わたしのブログでも
これまでに何度かお話をしています。
「フランスの家族政策」
「フランスの家族政策(2)」
「フランスの出生率上昇の理由」
「フランスの出生率上昇の理由(2)」
「家族観」に関しては、フランスでは家族のかたちが
時代とともに変化していくことに応じて、
それに合わせた法律の改正を行なっています。
「【こんにちは!あかちゃん 第24部】少子化乗り越えた フランスから<下>家族を社会の根本に」
「フランスの家族政策には三つの柱がある。
一つは法的環境の整備。
事実婚や婚外子の容認、異性同性のカップルに結婚と同等の
権利を与える「連帯市民協約(PACS)」の法制化、
同性婚解禁と、時代とともに進化している。
事実婚、婚外子の容認、同性結婚の法制化と、
新しい「家族のかたち」が登場し、家族観が変化するたびに、
法整備を行ない社会が対応するようにしています。
「家族成員間の相互扶助負担」に関しては、
フランスは子育てに関する公的支援が充実しています。
家族成員間の相互扶助負担は少ないということです。
「【こんにちは!あかちゃん 第24部】少子化乗り越えた フランスから<上>手厚い家族給付制度」
フランスの子育てを支えるのは、手厚い家族給付制度と税制上の優遇策だ。
家族給付制度は家族保険料(雇用主が給与総額の5・4%負担)や
社会保障目的税(税率7・5%)、国や県による拠出金を財源に、
所得にかかわらず2人目から出る家族手当、
3歳までの乳幼児受入手当、新学年手当など、
子育て世帯を幅広くサポートしている。
実際、フランスでの生活経験のあるかたで、
フランスにいたから子どもを持てた、日本にいたら子どもを
持てなかった、というかたもいらっしゃります。
「フランスにいたから産めた」
娘の妊娠を診断したフランス人医師に祝福されても喜べなかった私が「でも未婚だし就職前でお金もないし」と言うと「それが何?」と怪訝そうに言われ彼我の差を痛感!検診も出産も全て無料な上出産前から多額の児童手当を受給。あの時フランスにいたからこそ産めた娘も24歳!フランス万歳🙌🇫🇷!
— 島岡まな (@manna2010able) 2017年7月17日
フランスの家族政策にはもうひとつ「柱」があります。
子どもを持つことによる時間的負担の軽減、
つまり家庭と職業を両立できる環境の整備です。
三つ目は保育サービス。家庭と職業を両立させて両親が働けるよう、
子どもを受け入れるさまざまなネットワークを整備している」
このように見てくると、家族のかたちが時代とともに
変化する現実を直視し、現実の家族に合わせて
法制度や制度設計を行なってきたのがフランスだと言えます。
家族のかたちが変化している現実を否認し、
「あるべき家族」を国家や社会が決めて、法制度や制度設計も
「あるべき家族」にしか対応しないのが日本ということです。
「独善的な「家族は大事」」
家族についてのスタンスを見ていると、
日本とフランスはまったく対照的だと思います。
日本のアンチテーゼがフランスという感じです。
それは日本とフランスの出生率の差として
眼に見えるかたちで現れるのだと思います。
