2018年02月04日

toujyouka016.jpg 経済合理性から見た非改姓結婚

経済合理性という観点から見て、選択的夫婦別姓の導入は
理にかなっているという記事です。

「夫婦別姓の経済的合理性」

結婚改姓すると、改姓する本人にも、改姓手続きを行なう周囲にも、
金銭的、時間的、精神的な負担が発生します。
結婚改姓しないことでこれらの負担がなくなり、
経済合理性にもかなっているということです。

これまでにも主張されていることでありますが、
ひとつの記事で述べられることはあまりなかったと思います。

 
改姓する本人に、改姓にともなう名義変更で、時間、労力と、
金銭的負担が発生することは、言うまでもないことです。

ここでは経済の視点で選択的夫婦別姓を考えてみたいと思います。

「経済的合理性」という意味では、いかなる理由であれ
自分の姓の変更を強要されずに、希望する人は結婚・離婚に
関係なく一生同じ姓を使い続けることができる、
というのは明らかに理にかなっています。

青野社長の例では、自身の持つ株の名義を変更する際に
約81万円の手数料がかかったということですが、
結婚の際にあらゆる書類や身分証明書の変更をしなくてならないのは、
当然ながら時間と作業、心理面で不利益です。

株式の名義変更に高額の手数料がかかったという
サイボウズ社長の青野慶久氏のケースは、
最近よく例に出されることだと思います。

結婚改姓にともなう名義変更のほとんどは、
数百円から数千円程度の手数料を取られることが多いです。
パスポートの名義変更の手数料は6000円という、
かなり高額なものもあります。

「パスポートの高い手数料」

そうした名義変更がいくつもあるのですから、
手数料の負担はかなりのものになるというものです。


キャリアのために結婚改姓しないのがよい、
ということはよく言われることだと思います。
これも「経済合理性」の観点から考えられるということです。

名前をもって他者はその業績その他を認識するので、
名前が変わると同一人物の業績であることを
判断することが難しくなることになります。

「職業上の不利益」

自分のキャリアであることを容易に証明できなくなる
改姓した本人は、もっとも大きな不利益を
こうむるというのは言うまでもないことです。

「キャリア形成」の面でも同じ名前を
使い続ける方が効率がよい場合が多いでしょう。
晩婚化に伴い、男女ともに結婚前に大きな実績や地位、
資格や資産を得て、論文を執筆し、起業をする人は増えています。

それらのキャリアを築いた氏名が
正式に変わってしまうというのは不都合です。
一般の会社員であれば「通称」として旧姓を使うことで
問題ない場合もあるでしょうが、企業の経営者や役員や
大学教授、著名な活動家などは、正式な契約書や
証券などで本名を使う必要があるため、
旧姓を正式に継続使用できることは合理的です。

国家資格も戸籍の苗字しか記載できないものが多いです。
資格の必要な職種の場合、職場で旧姓使用が
認められていても、資格の名前と一致しないので、
実質旧姓が使えないのと同様になることも多いです。

「旧姓の通称使用の状況」

国家資格と旧姓使用


記事では、キャリア形成という観点から、
配偶者の苗字を名乗ったほうがよい場合も想定しています。
「経済合理性」の観点からも、全員夫婦別姓ではなく、
夫婦別姓も夫婦同姓もどちらも選べる
「選択制」がよいということです。

逆に、キャリア形成において配偶者の姓を
名乗った方がいい場合もあるでしょう。
たとえば夫や妻の家系が社会的に高い地位や名声を
得ている場合には、実家の姓よりも相手を名乗ったほうが
人脈作りや知名度アップに有効かもしれません。
そういう人には、正式に配偶者の姓を名乗る権利があった方がよいでしょう。

ですから、必ず「別姓」というのではなく、
個人の状況に応じて実家の姓か配偶者の姓かを選べる方が
経済面では望ましいと言えます。


資産管理の観点でも、個人識別のために
結婚改姓しないほうが効率がいいことはもちろんです。
ここでも結婚改姓にともなって、手続きが発生するので、
時間、労力、金銭的負担が生じるからです。

私たちが仕事で手掛ける「資産管理」の上では、
「個人識別」という意味で夫婦別姓は効率がよいです。
日本人のお客様は結婚・離婚などによって姓が変わるたびに
有価証券の名義の氏名変更を行うため、
多くの書類と署名を運用会社に提出しなくてはなりません。
姓変更に伴う身分証明書(パスポート)の変更、
それに伴う署名の変更ともなると、場合によっては
司法書士に依頼する必要もあります。

時間や労力の負担は結婚改姓にともなう手続きを
処理する側にも発生することになります。
だれかが結婚するたびに、こんな処理をしていれば、
それこそ生産性が悪くなるというものです。


「夫婦同姓だと苗字が同じことで婚姻関係がわかる、
夫婦別姓だと不正しやすくなる」というのは、
選択的夫婦別姓の反対派がよく主張することです。

生命保険の加入に関しては、苗字が同じことは
婚姻関係の証明とはならないです。
「夫婦同姓だと結婚していることがわかる」と
主張する反対派は、これをどう考えるのかと思います。

逆に、生命保険の加入などにおいて、婚姻関係の証明という
意味では姓が同じことは有効にはなりません。

余談ですが、保険の原則において、相手に生命保険を掛けることのできる
「Insurable Interest(保険をかけられる利害関係)」
というのは契約時にのみ必要なため、
たとえば妻が夫に生命保険をかけてその後離婚したとしても、
解約金や死亡保障をもらう権利は維持され、
受取の際に婚姻関係の証明は不要です。

苗字が同じことが婚姻関係の正式な証明となる
取り引きなんて、現実にどれだけあるのかと思います。
苗字が同じだけで婚姻関係が証明されたとするのは、
ナイーブすぎることは、ちょっと考えればわかりそうなものです。


選択的夫婦別姓の反対派は、導入コストがかかることを、
選択的夫婦別姓導入の反対理由にすることがあります。
そのような導入コストは、最初に導入したときだけです。

「夫婦別姓・導入コスト負担の責任」

ここにあげたような結婚改姓にともなうコストは、
同姓強制が続くかぎり、いつまでも発生し続けることになります。
そう考えればできるだけ早く選択的夫婦別姓を導入して
非改姓結婚を認めたほうが、社会全体のコストも
ずっと少なくてすむというものです。

posted by たんぽぽ at 16:14 | Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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