2018年02月07日

toujyouka016.jpg 夫婦別姓・少数派の権利と世論調査

憲法と社会問題を考えるウェブマガジン『マガジン9』で、
選択的夫婦別姓が取り上げられました。
これを見てみたいと思います。

「「選択的夫婦別姓」はなぜ今もって認められないのか?−−別姓訴訟と24条」
「家族内の個人の自由と尊厳を守る。そんな24条が、平和な社会を支える」

 

2015年に現行の夫婦同姓強制は「合憲」という
判決が出た、夫婦別姓訴訟の最高裁大法廷回付や、
自民党の憲法改正草案の24条に関することを中心に、
いろいろなことが書いてあります。

わたしのブログでもお話してきたことも
たくさんありますが、ひとつの記事にまとまっているのは、
なかなかなかったと思います。


ここでは次のことに触れておきたいと思います。
本来なら世論調査の結果に関係なく、
選択的夫婦別姓を認めることだ、という指摘です。
(大事なことですが、あまり話題にならないと思います。)

打越 本当は、世論調査で「選択的夫婦別姓に
賛成が何パーセント、反対が何パーセント」というのは
意味がないと私たちは思っているんです。
人権の問題なので、「多数の人が別姓をよくないと
思うからダメです」ということではないはずです。

「別姓にしたい」という個人が少数派でも、
その人の選択を認めない現在の法律は合理性があるのか、
違憲ではないのか、を問うているのですから。
これは国連女性差別撤廃委員会からも指摘されていることです。

選択的夫婦別姓は基本的人権の問題ですから、
少数派であっても、認めなければならないことです。
「基本的人権を多数決で否定してはならない」ということです。
このあたり前のことがわからない人たちが、
残念ながら少なくないと思います。



2009年の女子差別撤廃委員の日本審査でも、
「世論調査を理由に選択的夫婦別姓の導入を
先送りするな」と勧告されていました。

「差別的法規」

また、世論調査の結果ばかりを理由にしてはならず、
法体系の一部として、条約の条項と整合が取れるよう、
国内法を整備しなければならないこと、したがって民法改正は、
条約に批准した国が義務としてなすべきである、ということを、
委員会は指摘しておきます。

「少数派の権利を多数が賛成しているか」ではなく
「少数派であってもその権利を認めないことに
合理性や法的整合性はあるのか」ということが、
問題になっているということです。

少数派の権利を多数決で決めていたら、
その権利はいつまでも認められないことになりかねないです。
世論調査で反対が多いなら、世論の多くが差別している
ということですから、それこそ積極的に法律を改正して、
差別を禁止する必要があるとも言えます。


現実には、選択的夫婦別姓の導入に反対する
理由として、政府・自民党が内閣府の世論調査を
持ち出すのは「定番」になっています。

「夫婦別姓・世論調査の歴史」

一度だけ世論調査で賛成が反対を上回ったことがありました。
2001年の内閣府の世論調査ときです。
このとき政府・自民党は世論調査の結果について
「だんまり」を決め込みました。

そして2007年の世論調査で賛成と反対が
ほぼ同数となると、「世論調査で反対が多い」と
声高だかに唱えて、政府・自民党は選択的夫婦別姓の
導入に反対する理由としたのでした。

世論調査で反対が多いときだけ、
世論調査を理由にするという卑劣さです。
世論調査でさえたんなる「言いわけ」であり、
選択的夫婦別姓に反対したい本当の理由は
ほかにあるのであろうことがうかがえます。

夫婦別姓についての世論調査の結果/ 各国の夫婦の姓


posted by たんぽぽ at 23:22 | Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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