選択的夫婦別姓についての内閣府の調査
「家族の法制に関する世論調査」ですが、
メディアでもひととおり取り上げられています。
「夫婦別姓、賛成派は42% 反対29%、内閣府調査」
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「選択的夫婦別姓「容認」4割超 「必要ない」は3割切る」
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「夫婦別姓「容認」が4割超 法改正「不要」3割切る 内閣府調査」
「夫婦別姓容認、4割超に増加=希望者は少数−内閣府調査」
「夫婦別姓、賛成42%、反対上回る 内閣府世論調査」
「「選択的夫婦別姓」 容認が反対を上回る 内閣府世論調査」
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どのメディアも選択的夫婦別姓の導入に
「賛成」が過去最高、「反対」が過去最低となったこと、
そして「賛成」が「反対」を上回ったことに触れています。
「賛成」が増えたのは、サイボウズの青野慶久氏が、
選択的夫婦別姓の訴訟を起こしたこともありそうです。
世論調査を実施したのは12月、訴訟を起こす表明をしたのは
11月ですから、提訴が世論に影響したことは考えられます。
内閣府の最新の調査より。選択的夫婦別姓について世論が大きく動きました。みなさんのご協力のおかげです。国会議員を動かすところまであと一息!/ 夫婦別姓容認、4割超に増加=希望者は少数−内閣府調査:時事ドットコム https://t.co/I6Zj9AfGZZ
— 青野慶久 (@aono) 2018年2月10日
「賛成」が過去最高といっても42%ですから、
過去最高だった2001年の水準とほとんど変わらないです。
世論を喚起したのに賛成が4割程度というのは、
まだまだ理解が浸透していないということかもしれないです。
時事通信の記事の見出しにだけある(産経も書かなかった)
「希望者は少数」について、少し言及しておきます。
なぜわざわざ「少数」だとことわるのかです。
このような文脈で「少数」であることをことわるのは、
たいていよい意味でないと思います。
夫婦別姓容認、4割超に増加=希望者は少数―内閣府調査(時事通信) - Yahoo!ニュース https://t.co/tpVBIpORJp @YahooNewsTopics
— みけもも (@fumofumo2shippo) 2018年2月10日
選択的夫婦別姓の導入に賛成する人は多いのに、
希望する人がそのうちの2割に満たないのはおかしい、
制度の賛成派と夫婦別姓の希望者の人数に
乖離が大きすぎる、と言いたいのでしょうか?
選択的夫婦別姓制度の導入に賛成するかどうかと、
自分が夫婦別姓を希望するかは別問題です。
選択的夫婦別姓制度の導入に賛成するから、
自分も夫婦別姓を希望するとは限らないです。
(逆の「夫婦別姓を希望するかたは選択的夫婦別姓制度の
導入に賛成する」は成り立ちます。)
制度の賛成と希望者の割合がかけ離れているのは、
自分の選択と社会の制度のありかたを
別問題と考えていること、そして自分と関係ない他人の選択を
尊重できる人がそれだけ多いということです。
この意味では好ましいことだと言えます。
夫婦別姓を希望する人たちは「少数」だから、
選択的夫婦別姓を認めなくていいし、
彼らの選択を否定してよいということでしょうか?
「選択的」夫婦別姓ですから、夫婦同姓を選択したい人は、
これまで通り夫婦同姓を選択することができます。
夫婦別姓を選択できるようになったところで、
多数派の権利にまったく抵触しない少数派の権利です。
それは希望する人の多い少ないに関わらず、認めることです。
「夫婦別姓・少数派の権利と世論調査」
多数の利益になんら抵触しなくても、
「少数だから」という理由でその権利を否定してよいと考える、
「多数決で少数派の権利を否定する」というのは
ある意味「日本的」かもしれないです。
記事の中で印象に残った言葉がありました。(以下)
— Festuca (@festuca_glauca) 2018年1月21日
世論調査で「選択的夫婦別姓に賛成が何パーセント、反対が何パーセント」というのは意味がないと私たちは思っているんです。人権の問題なので、「多数の人が別姓をよくないと思うからダメです」ということではないはずです。 https://t.co/fxT30tf8Jd
持って生まれた権利!うわー、差別ですね!ヤダワァ(゜o゜)
— みけもも (@fumofumo2shippo) 2018年2月10日
この国は本当に差別に寛容な国ですね…少数派を踏みにじって、当然という価値観が支配的な気がします。
2月14日エントリで、夫婦別姓を希望する人は
全体の15-20%と考えられると、わたしは推測しました。
夫婦別姓の希望者は本当に無視できる「少数」か
という疑問もありますが、ここでは置いておきます。
「家族の法制に関する世論調査」