内閣府の世論調査ですが、自民党はやはりというか、
制度の導入はしたがらないようです。
「選択的夫婦別姓「容認」4割超 「必要ない」は3割切る」
(はてなブックマーク)
「夫婦別姓「意見、大きく分かれている」 法相が慎重姿勢」
(はてなブックマーク)
「国民の意見が大きく分かれている」でお茶を濁して、
選択的夫婦別姓の導入を先送りするのでしょう。
夫婦別姓を選べる「選択的夫婦別姓制度」の導入を
容認すると答えた人が4割を超えて過去最高となった
内閣府の世論調査について、上川陽子法相は13日の閣議後会見で
「国民の意見が大きく分かれている状況であることも事実だ」
などと述べ、制度導入には慎重な姿勢を示した。
2月16日エントリで見ましたが、18-59歳の幅広い世代で
賛成が50%程度あり、反対は15%程度しかないです。
とくに結婚がもっとも目前のことになっている30-34歳で、
反対派の割合は最低となり、10%に満たないです。
これならば問題なく「賛成多数」と言えるでしょう。
どこが「国民の意見が大きく分かれている状況である」
ということになるのかと思います。
「家族の法制に関する世論調査(2)」
内閣府の調査データをグラフ化。今回の選択的夫婦別姓訴訟では、「赤」が反対で、「青」と「紫」が賛成になる。60歳以上はほぼ関係ない法改正だが、どの辺を見て「国民の意見が大きく分かれている」と言うのか教えてほしいぞ、総理&法務大臣。 pic.twitter.com/OsMFpeEk66
— 青野慶久 (@aono) 2018年2月14日
反対が多くなるのは70代以上です。
結婚が現実の課題であるという人が
少ない人たちだけが、反対していることになります。
「国民の意見が大きく分かれている」とまがりなりにも
言えるのは、当事者性の薄いこの世代を入れたときです。
上川陽子法相は「制度導入について「調査結果を
きめこまかく分析し」なんて言っています。
「きめこまかく分析」したらどうなるというのでしょうか?
結婚の当事者世代で選択的夫婦別姓に賛成多数、
反対するのは結婚が自分と関係ない人が多い世代だけ、
というここでお話したようなことが、
「きめこまかく分析」した結果だと思います。
「全体の賛成と反対の数字で見る以上に、
選択的夫婦別姓の導入が急務」という結論になると思います。
すでに何度かお話していることですが、
選択的夫婦別姓は多数派(夫婦同姓を選択したい人)の
権利になんら抵触しない少数派の権利です。
希望者の割合にかかわらず導入することが本来です。
「夫婦別姓・少数派の権利と世論調査」
記事の中で印象に残った言葉がありました。(以下)
— Festuca (@festuca_glauca) 2018年1月21日
世論調査で「選択的夫婦別姓に賛成が何パーセント、反対が何パーセント」というのは意味がないと私たちは思っているんです。人権の問題なので、「多数の人が別姓をよくないと思うからダメです」ということではないはずです。 https://t.co/fxT30tf8Jd
それを「意見が分かれている」と言って否定するのは、
「自分とまったく関係ない他人の人権を侵害したい意見は、
現実に人権侵害されている人たちの意見より大事」と言って、
否定することになります。
自民党のかかる選択的夫婦別姓の導入に対する
否定的な態度は、わたしの予想どおりでした。
自民党・安倍政権は選択的夫婦別姓なんて、
世論調査の結果に関係なく認めたくないのだと思います。
「国民の意見が大きく分かれている」ではなく、
「私たちは反対する」ということです。
「はじめに反対ありき」で、その結論に都合がいいように、
世論調査その他の情報を利用しているのでしょう。
選択的夫婦別姓制度の導入
— 小松隆次郎 (@Kryujiro) 2018年2月10日
「容認」42.5%
「不要」29.3%
この数字の捉え方はいろいろあるとして、現政権下で制度が導入される可能性は極めて低そうです。https://t.co/m5lWzCnI0o
過去2回の世論調査は賛成と反対が拮抗でした。
このときは安心して「世論調査で反対が多いから、
選択的夫婦別姓は導入しない」と言えたのでした。
今回は賛成が多いので「国民の意見が分かれている」
なんて歯切れが悪い言いかたなのでしょう。
それでも「これは日本社会の根幹に関わる問題だから、
世論調査なんて重要でない」などと言ってのけるほど、
つらの皮は厚くなかったようです。
今後の世論調査でふたたび反対が多くなる可能性は、
すっかりなくなったとは言えないと思います。
反対が多数になれば、そのときはまた世論調査を理由にして、
選択的夫婦別姓の導入を否定する必要があります。
今後いくら世論調査を繰り返しても、
反対はもう多数派にならないことがはっきりするまでは、
世論調査を無視するわけにはいかないのでしょう。
上川陽子法相は「反対(不要)と旧姓の通称使用を
あわせると53・7%」とも言っています。
「反対」だけでは多数派になれないので、
ここに「通称使用」を加えることにしたと思われます。
夫婦別姓→「反対(不要)と旧姓の通称使用をあわせると53・7%」と指摘。制度導入について「調査結果をきめこまかく分析し、引き続き国民の意見を幅広く聞き、国会の議論の推移をよく注視しながら、慎重に対応を検討」 https://t.co/eqcCtDzlAh
— みけもも (@fumofumo2shippo) 2018年2月13日
「通称使用は反対派のうちだ」というのは、
自民党の選択的夫婦別姓の反対派がよく使う「理屈」です。
彼女たちは「通称使用で解決する」主張しているので、
「通称使用」も「反対」のうちになるようです。
上川陽子法相はこの「理屈」に乗るのかもしれないです。
「「通称使用」派は反対派のお仲間?」
世論調査で「通称使用」と答えた中には、
選択的夫婦別姓に絶対反対ではなく、次善の策として
選択的夫婦別姓を認めてよいという人もいるでしょう。
反対派で「通称使用でじゅうぶんだ」という人は、
選択的夫婦別姓はなにがなんでも反対で、
次善の策としてもまったく認めないでしょう。
よって「通称使用」と答えたかたの中には、
反対派と同意見ではないかたもかなりの数いると思います。
「通称使用」を単純にすべて「反対」に
加えるというのは、理不尽だと思います。