ふたつの法律の制定や改正を求める院内集会がありました。
「選択的夫婦別姓法案」と「政治男女共同参画推進法案」です。
「国際女性デー 国会で集会 夫婦別姓、政治参画訴え」
国連が定める「国際女性デー」の八日、
女性の地位向上につながる二つの法律の制定や改正を
求める集会が、それぞれ国会内で開かれた。
結婚の際に夫婦別姓も選べるようにする民法改正案と、
女性議員を増やす目的の「政治分野における男女共同参画推進法案」で、
いずれも昨年の衆院解散で廃案に。
両集会では「いつまで待たせるのか」という声が高まった。
ここでは選択的夫婦別姓について見ていきたいと思います。
一九九六年に法制審議会が民法改正を答申し、
二〇一五年には最高裁判決が、同姓規定を合憲としながら
制度の在り方は国会で論じるべきだとした。
立命館大の二宮周平教授は「早急に国会で議論し
改正するべきだ」と話した。
法制審議会の答申からすでに22年経過しています。
「早急に国会で議論し改正するべきだ」
「いつまで待たせるのか」ということは、
ずいぶん前から言われていることです。
自民党が政権を取っているかぎり、
選択的夫婦別姓の実現はないと、わたしは思います。
ジェンダー平等に反対の立場から、選択的夫婦別姓に
反対する日本会議が、支持基盤に控えています。
「夫婦別姓の世論調査・自民党の姿勢」
選択的夫婦別姓制度の導入
— 小松隆次郎 (@Kryujiro) 2018年2月10日
「容認」42.5%
「不要」29.3%
この数字の捉え方はいろいろあるとして、現政権下で制度が導入される可能性は極めて低そうです。https://t.co/m5lWzCnI0o
彼らの支持を得ている自民党の議員は
その多くが選択的夫婦別姓に反対するでしょう。
今後の自民党政権が、党内で多数を占めるであろう
彼らの猛烈な反対を押し切って、選択的夫婦別姓の
実現に動くことはないと思います。
ジェンダー平等に反対だから、選択的夫婦別姓を
認めないというのですから、とても「正直」です。
「ジェンダー差別は悪いことだ」という意識が
まがりなりにもあれば、差別していると思われたくなくて、
選択的夫婦別姓を認める可能性もあるだろうと思います。
「差別のための夫婦別姓反対」
『日本会議』(集英社新書)でも書いたが、安倍首相や日本会議系人士がなぜあれほど「夫婦別姓」を拒絶するかについては、日本会議事務総長の椛島有三氏が内輪の機関誌で理由を告白している。夫婦別姓で男女同価値、男女同権を認めることで、女性天皇や女系天皇の容認論に繋がるのがこわいのだという。 pic.twitter.com/aABGDPavZx
— 山崎 雅弘 (@mas__yamazaki) 2018年1月12日
日本会議と彼らが支える自民党は、
「差別してますけど?それがなにか問題ですか?」という
開き直った態度なので、反差別という立場からという
一般的なアプローチをしても、選択的夫婦別姓を
認めることがないだろうと思います。
自民党政権が選択的夫婦別姓を実現させる
可能性があるとしたら、夫婦別姓訴訟で現行の同姓強制に
違憲判決が出た場合だと思います。
2013年に婚外子の相続差別に違憲判決が出たとき、
自民党内の反対派は猛烈に吹き上がりましたが、
それでも最後は法案の成立に応じたのでした。
「違憲判決に反対論噴出」
「違憲判決に反対論噴出」
「違憲判決に挑戦する自民」
同姓強制に違憲判決が出て、選択的夫婦別姓を
認めなければならなくなった場合、彼ら反対派の
吹き上がりかたは、さらに激しいことが予想されます。
それでも最後にはどうにか法案の成立に
応じるのではないかと(たぶん)思います。
よって現在提訴中のふたつの夫婦別姓訴訟で、
違憲判決が出るかどうかが、選択的夫婦別姓が
実現するかどうかの鍵になるでしょう。
「もうひとつの夫婦別姓訴訟」
「夫婦別姓訴訟・青野慶久が提訴」
より確実なのは、現在選択的夫婦別姓の実現を
はっきり公約している政党、具体的には立憲民主党が
政権を取ることだと思います。
「本気で政権を取るから公約」
「立憲民主党・ジェンダー政策」
立憲民主党が政権を取ることは、選択的夫婦別姓の
実現の「必要条件」だと思いますが、
「十分条件」ではないとも思います。
ずっと実現を公約にし続けてきた民主党が、
政権を取ってから一度も法案提出をせず、
実現しないまま終わったお粗末な前例があるからです。
それでも自民党政権がずっと続くよりは、
選択的夫婦別姓が実現する可能性は
はるかに高いと考えられるので、立憲民主党が政権を取るよう、
支援することは大事なことだと言えます。