2018年03月23日

toujyouka016.jpg 国際女性の日・ふたつの院内集会(2)

3月12日エントリの続き。

3月8日の「国際女性の日」に行なわれた、
ジェンダーに関するふたつの院内集会のうち、
「政治男女共同参画推進法案」を見てみたいと思います。

「国際女性デー 国会で集会 夫婦別姓、政治参画訴え」

 
政治男女共同参画推進法案の成立を求める集会は、女性団体が主催。

講演した中北浩爾一橋大大学院教授は、
地方議会、国会とも女性議員が少なく、政党幹部を男性が
占めている状況を「まるで男性専用車両」と表現し、
「民主主義をゆがめている」と指摘した。

同法案を早急に制定し、候補者や議席の一定比率を
女性に割り当てるクオータ(割り当て)制を
政党が導入することが大事だと分析した。
法案を作成した超党派国会議連の中川正春会長は
「早期の審議入りを目指す」と決意を述べた。

衆議院の女性議員の割合は10.1%、参議院は23.1%です。
衆議院では男性議員は女性議員の9倍ほど、
参議院でも4倍以上いることになります。

「衆院選・女性当選者の割合」
「女性当選者・過去最高」

男性と女性の人口比はほぼ1:1ですから、
これは深刻な格差としか言いようがないです。
こんな状況では女性有権者の意見が、
じゅうぶん代弁されないのも無理もないというものです。
「民主主義をゆがめている」という指摘もごもっともです。

「まるで男性専用車両」というのは、
「女性専用車両」を意識しているのでしょうが、
ある種の男性が女性専用車両に猛反発することも、
念頭にあるのかもしれないです。


政治男女共同参画推進法案は、上述のように議員が圧倒的に
男性が多い状況を改善し、男女同数に近づけるためのものです。
理念を掲げる推進法案と、実効性のある公職選挙法改正の
ふたつの法律からなっています。

1. 候補者ができる限り男女同数であることを
目指すとの理念を掲げる推進法案
2. 衆院比例区の候補を男女交互に当選させる方法を
選択できる公職選挙法改正法案

2.は衆院選の比例代表で、選挙区との重複立候補を
している候補者を男女のグループにわけて、
男女が交互に当選するようにします。

「女性議員増へ法案準備 「衆院比例」名簿 男女交互掲載」

具体的には、衆院選比例代表の仕組みを改める。
重複立候補者を男女のグループに分け、
それぞれのグループ内で惜敗率(小選挙区での当選者の
得票数に対する割合)が高い順に当選者を決める。
ただ、女性の当選者数が増えるように、
男女が交互に当選できるようにする。

議連改革案で男女交互の名簿が実現



1.の実効性のない推進法案だけですが、
2016年12月に自民党が了承して法案提出していました。
このときは日程の都合で審議できず、
翌年の通常国会に持ち越されることになりました。

「女性議員増法案・自民が了承」

それから1年以上経過して、どうなったかと
思っていたのですが、いまだに成立していませんでした。
昨年の通常国会(2017年6月に閉会)でも審議されずに終わりました。
その後は成立に向けた動きは、とくにないようです。

「女性政治参画法案など先送り 今国会、事実上の閉幕」
「女性議員増法案、先送りに 対立余波で内閣委2カ月「休業」」


2.の実効性のある公職選挙法の改正ですが、
こちらは自民党で了承にいたらなかったです。

「政治男女均等法案・自民反発」
「女性議員増法案提出できず」
「「女性議員増へ足並み乱れ 超党派、法案提出できず 女性団体「政争の具、もうやめて」」」

自民党はこの政治共同参画法案に反対の議員が多く、
2016年に自民党内の部会で議論になったとき、
彼ら反対派議員たちは猛反発をしました。

ところが、5月25日の自民党部会では慎重論が続出。
おもに男性議員から「『男女同数』という言葉はいかがか。
『男女の均衡』とか柔らかい言葉に直すべきだ」
「今日、初めて法案を見た。選挙のアピール合戦として
取り扱う話ではない」といった反対論が相次いだ

「男女同数」が気に入らないというのですから、
彼ら自民党議員たちはどれだけジェンダー平等が大嫌いで、
ジェンダー差別が大好きなのかと思います。

このような自民党議員たちによって、
実効性のある2.の法案提出は見送られます。
理念を掲げるだけの1.の法案は、「同数」を「均等」に
変えることで、ジェンダー平等が大嫌いな
自民党議員たちはどうにか了承に応じたのでした。

結局、自民は(2)の公選法改正案の提出を見送る方針を決定。
(1)の推進法案については、「男女同数」という文言を
「男女の均衡」と修正する考えを示した。
その後、超党派議連の役員会で「同数」を
求める声も出たため、「同数」と「均衡」の
折束案として「均等」とすることで、いったんは落ち着いた。


かかる自民党議員たちの、ジェンダー平等嫌いと、
ジェンダー差別の愛好は、どこから来るのかと思うところです。
彼らの背後に控える日本会議が、ジェンダー平等に反対し、
ジェンダー差別を主張していることは、大きいと思います。

「差別のための夫婦別姓反対」



posted by たんぽぽ at 23:51 | Comment(0) | 法律一般・訴訟 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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