選択的夫婦別姓には利権が絡むとか、犯罪の温床になる
などと言っていた、選択的夫婦別姓の反対派の
「メルシーキャット」がこんなことを言ってます。
女性の権利が認められ、ジェンダー平等が
進んでいったことにより、家庭崩壊が進んだり、
離婚を増えたりした、などと信じているということです。
ありがちなフェミニズム悪玉論だと思います。
家族やジェンダーに関して因習・反動的な人の認識は、
ほぼこれと同様と考えられるので、これを考察することにします。
「家族崩壊」は具体的になにを指すかわからないです。
ここでは数値データで示せる「離婚」を見ることにします。
日本の離婚件数と離婚率の推移は次のようです。
1960年代の前半から離婚が増え続けています。
「メルシーキャット」が信じているように、
1980年代の後半から離婚が増えたのでないことがわかります。
「婚姻率・離婚率変移をグラフ化してみる(1899年以降版)(最新)」
1960-1970年代は「メルシーキャット」に言わせると
「男女のパワーバランス」が崩れていなかった時代です。
男女雇用均等法や男女共同参画はなかったころです。
よってこの時期に離婚が増えたのは、男女雇用均等法や
男女共同参画が原因でないことはあきらかです。
離婚が増え始めたと「メルシーキャット」が
思っている1980年代の後半は、離婚件数と離婚率が
減少していることは、注意することかもしれないです。
これは婚姻件数、婚姻率の減少と連動したためです。
結婚していないと離婚はできないということです。
それなら1960-1970年代も婚姻に連動して、
離婚が増えたとは考えられないかと、思うかもしれないです。
1960年代の婚姻件数、婚姻率はほぼ一定です。
団塊の世代が多く結婚した1970年に前後して、
一時的に上昇しますが、それ以降は急速に減少します。
婚姻が急速に減った1970年代も、離婚は増えていました。
1960-70年代に離婚が増加したのは、
婚姻の増加と連動したからではないとわかります。
そのあとの離婚件数、離婚率の推移ですが、
1990年ごろからふたたび増加するようになります。
2002年が離婚件数、離婚率のピークとなり、
それ以後は現在にいたるまで減少を続けています。
男女共同参画は1999年に基本法が制定されて登場しました。
よって1990年代の離婚の増加は関係がないです。
「男女共同参画社会基本法」
「男女共同参画社会」
男女雇用均等法は1985年に制定、1986年から施行されます。
ちょうどこのころからしばらくのあいだ、
離婚件数、離婚率が減少することを、あらためて指摘しておきます。
「男女雇用機会均等法」
「男女雇用機会均等法」
1986年に施行された最初の男女雇用均等法は、
経済界の人たちや役人たちが、異様な危機意識をあらわして
「均等法亡国論」を唱えたことの影響もあって、
だいぶ「骨抜き」にされた内容でした。
1999年に大幅な改正をされたものが施行されます。
男女雇用均等法に実効性が出てきたのは、
このときからだと考えてよいと思います。
21世紀に入ってからも数回改正され、内容が強化されていきます。
男女共同参画と男女雇用均等法は、
いずれも21世紀に入ってからのものと考えてよいでしょう。
それは日本の離婚率と離婚件数が、
減少を続けている時代であるということです。
21世紀に入ると婚姻件数、婚姻率も減少するので、
ここでも婚姻件数と離婚件数が連動したと考えられます。
それでも男女雇用均等法の改正、強化のたびに、
離婚の減少ペースが鈍くなることはないです。
よって男女共同参画や男女雇用均等法は、
離婚を増やしていないとは言えるでしょう。