おふたりが、実質的な「亡命」をしたお話をしました。
そのニュースを踏まえて、日本から難民が出る時代が
本格的に来る可能性がある、という指摘をするかたがいます。
(わたしも同様のことを思っていました。)
「日本から「難民」が出る時代に?
伊藤詩織さんと辛淑玉さんのケースに見る日本における迫害と人権侵害」
(はてなブックマーク)
「難民」として保護されるのは、どんなかたかというと、
本国にいると「迫害」されるかたです。
「迫害」には国際的に明確な基準はないですが、
ひとつの基準として、日本が難民条約に加入するための
審議における、政府委員によるつぎの答弁があります。
日本が難民条約に加入するか否かを審議していた
1981年5月29日の国会で政府委員が、迫害とは
たとえば生活手段を剥奪される結果生存に
著しい障害が生じるというような場合とか、
あるいは不当な拘禁、軟禁あるいは強制労働等、
その当該個人の身体の自由が害されるおそれがある場合が
『迫害』の具体的な事例かと思うわけであります。
と答弁しています(法務委員会議録第十七号昭和五十六年五月二十九日六頁。
また栗山尚一外務審議官(当時)も1981年6月2日の外務委員会で同様の発言)。
伊藤詩織さんと辛淑玉さんのおふたりは、
まさに「生活手段を剥奪される結果生存に著しい障害が生じ」る、
「身体の自由が害されるおそれがある」という
条件に合っているということです。
つまり他国で同じような扱いを受けていたら、
日本は「難民」と認定することを、伊藤詩織さんと辛淑玉さんの
おふたりは、日本国内で受けていたということです。
日本出身の難民は以前から一定の数だけいました。
政情が安定していて、人権水準が高いと
考えられている先進国からも、難民は出ています。
それゆえ「難民が出る」というだけでは、
迫害や人権侵害が横行する国とは思われないでしょう。
ところが伊藤詩織さんと辛淑玉さんのケースで、
そうも言っていられなくなったようです。
日本はいよいよ「迫害や人権侵害を行なう国家、
もしくはそれらの放置や黙認をする国家」と
諸外国から思われることになりかねないということです。
現在の日本の状況を考えれば、今後も伊藤詩織さんや
辛淑玉さんと同じように、他国に「亡命」するかたが
出てくることは、残念ですがじゅうぶん考えられます。
「思われる」ではなく、日本は実際に「迫害や人権侵害の
放置や黙認をしている国家」ということになります。
他国から「亡命」して来る人が多い国と言われると、
政情が不安定な国や、人権軽視の非民主的な国を
イメージするかたもいらっしゃると思います。
諸外国の日本に対するイメージが、そうなるということです。
4月1日エントリで少し触れましたが、
もともと日本は諸外国から、差別的な国と思われています。
働く女性にとって劣悪な環境であることは知られているし、
日本人男性は家事をろくにしないから、
カレシや夫にしてはならない、という外国人も多いです。
「日本は最低の先進国」
「日本は最低の先進国(2)」
「本当は怖い?日本の男性」
「本当は怖い?日本の男性(2)」
アメリカ合衆国とイギリスの外国への渡航の注意は、
日本は性犯罪が深刻であることに触れられています。
(ほかの国にも日本に対する同様な注意はあるかもしれないです。)
「日本への渡航の際の注意」
「アメリカ国務省に記載されている日本渡航時の注意」
今確認したけど凄いね。「痴漢」はごく一般的だとか六本木と歌舞伎町はレイプを含む犯罪へのリスクが高いとか英政府オフィシャルサイトに記述があるよ。https://t.co/nHWJ18hLoG
— I'm With Her (@Ikbenmethaar) 2018年3月3日
“Japanese law places a high burden of proof on the victim to demonstrate that the sexual relations were not consensual and committed through assault, intimidation or force.”
— 山川真智子 (@ymkw2018) 2018年3月4日
日本で性犯罪の犠牲者がそれを証明するのはかなり困難って、英政府が書いててびっくりです。
日本にくわしい外国人の中には、ジェンダー差別、
排外主義、外国人差別、労働者のひどい扱いがあるので、
日本には住みたくないと考えるかたも多いです。
「日本に移住したくない理由」
すでに、イギリスの渡航注意には、性犯罪が多い要注意国と書かれている、とか以前教えてもらいましたよ。私が個人的におしゃべりしたウォール街の若い女性たちからは、差別的らしいから東京では働きたくない、とバッサリ言われました。こういう記事、驚くより、やっぱりという反応の方が多そう。
— TrinityNYC (@TrinityNYC) 2018年3月3日
すでに諸外国からこのように認識されている状況で、
「日本はついに難民が出るようにまでなったか」と、
認識されるようになるということです。
付記:
「難民」でなくても、自発的に日本から出て行くかたが
今後は増える可能性も、わたしは考えています。
ロシアでは2010年代のはじめから、国外への移住が増えています。
経済力の後退と、反人道的な政策が原因です。
今後の日本は、ロシアのあとを追うように、
国外へ移住するかたが出る国になるのではないかということです。
「ロシアの凋落と日本の未来」
ロシアはヨーロッパの中心部と地続きですし、
それほど遠くもないので、外国への移住に対する
心理的、経済的な抵抗は、日本とは違うだろうと思います。
それでも、現時点ですでに外国に移住している、
もしくは可能なら移住したいと考える日本人はいます。
「Ambitious female scientists leave Japan to escape ‘male domination’」
少なくとも自分の視界がとどく範囲では、最上質な日本の若い人たちが外国に移住してしまっている。しかも祖国の社会を憎悪している。
— James F. (@gamayauber01) 2015年10月14日
わし、他にそういう国、知りまへんねん。
どうして、こんなになるまで社会を改革して来てしまったのだろう?
ビルマ並みの国、と言われてるやん。