2018年04月18日

toujyouka016.jpg 救助中の女性に「土俵から降りて」

4月4日に大相撲舞鶴場所が行なわれたのですが、
土俵の上であいさつしている多々見良三舞鶴市長が、
突然倒れるということがありました。

そのとき応急処置に3人の女性が当たったのですが、
「女性の方は土俵から下りてください」という
アナウンスが何回か流れたのでした。

「舞鶴市長、くも膜下出血で入院 相撲巡業であいさつ中倒れる」
「救命中「女性は土俵から下りて」 大相撲巡業、市長倒れ」
「救命女性「なぜ…」疑問漏らす 「土俵下りて」アナウンスに対し」

 
土俵上で話していた多々見市長が突然、後ろの方に
そのまま倒れたため花道から駆け寄り、土俵に上がった。
周りを複数の人が取り囲み、「動かさない方がいい」という声も耳にした。

客席の方から女性が駆け付け、周囲からの
「医療関係者ですか」という問い掛けに
「看護師です。心臓マッサージができます」と話したという。
取り囲んでいた男性の間に入り、手慣れた様子で処置を始めた。

その後、自動体外式除細動器(AED)を持った
消防署員が来て、女性たちは処置を交代した。
「女性の方は土俵から下りてください」という場内アナウンスに、
女性は「人命救助をしているのになぜそんなことを言うのか」
という趣旨の発言をしていたという。

相撲の世界では「穢れがあるから」という理由で、
女性を土俵に乗せないという差別的因習を続けています。
その因習を杓子定規に当てはめて、人命救助にあたる女性に
「土俵から降りてください」と要求したということです。

この女性たちが心臓マッサージをしなければ、
舞鶴市長はいまごろは死んでいただろうというのに、
なにを理不尽もはななだしいことを言うのかと思います。
人間の命よりも「女性を土俵に乗せない」という
差別的因習のほうが、大事なのかと思います。

相撲関係者が出てきて、応急処置にあたっている
女性たちを無理に土俵から降ろすなんて、
ばかなことをしなかったのは、まだ救いでしょうか。


土俵の上で女性たちが応急処置を続けられたのは、
医療関係者(看護師)だと言ったからかもしれないです。
医療関係者でなければ、処置を中断させて
土俵から降ろしたのかもしれないです。



心臓マッサージを行なった女性たちの行動は、
いたって的確かつ迅速でした。
医療関係者ゆえの手ぎわのよさなのでしょう。


応急処置に当たった女性たちは、3人とも医療関係者のようです。
もしかすると同じ職場の同僚だったのかもしれないです。



この件に関して言うことはたくさんあると思います。
わたしはここでは、つぎの指摘をしておくことにします。

差別的因習は理不尽で不健全というだけでなく、
往々にして非効率で非生産的でもあるということです。
差別的因習のない集団や社会から遅れを取るだけでなく、
大きな損失をこうむる可能性も出てきます。

今回の舞鶴市長の件は、差別的因習にこだわっていたら、
現に人命を失なっているところでした。
こうむる損失が大きいことはあきらかです。
差別的因習のもたらす非効率や非生産性は、
ときに危険でさえあるということです。

差別主義者の中には、差別をなくすと効率や生産性が
悪くなると信じていて、効率や生産性を楯にして
差別の正当化と温存をはかろうとすることがあります。
そんな考えはまず間違っていると考えていいでしょう。

posted by たんぽぽ at 23:39 | Comment(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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