応急措置を女性たちが行なったこと、
そして彼女たちに対して「女性は土俵から降りて」という
アナウンスが流れたことお話をしました。
「舞鶴市長、くも膜下出血で入院 相撲巡業であいさつ中倒れる」
「救命中「女性は土俵から下りて」 大相撲巡業、市長倒れ」
「救命女性「なぜ…」疑問漏らす 「土俵下りて」アナウンスに対し」
これを見てわたしが思うのは、その場にいた男性たちが、
ぜんぜん役に立っていない(!)ことです。
飯尾部長によると、土俵上で話していた多々見市長が
突然、後ろの方にそのまま倒れたため
花道から駆け寄り、土俵に上がった。
周りを複数の人が取り囲み、「動かさない方がいい」という声も耳にした。
客席の方から女性が駆け付け、周囲からの
「医療関係者ですか」という問い掛けに
「看護師です。心臓マッサージができます」と話したという。
取り囲んでいた男性の間に入り、手慣れた様子で処置を始めた。
動画みた。腹が立ったから解説するね。
— ユカ(248/370) (@ykfrsu) 2018年4月5日
まず人が倒れてるのに取り囲むだけで何もしない男たち。緊急事態に慌てて駆けつけた女性がこの無能な男らを押しのけ、倒れた人の意識を確認。胸骨圧迫まで2秒くらい?プロです。
救命女性に「女性は土俵から降りて下さい」とアナウンス https://t.co/7MATbxIX0A
男性たちは集まってきても、倒れている舞鶴市長の
まわりを取り囲むだけで、なにもしていないです。
彼らは倒れている市長を「動かさない方がいい」とも言っていて、
なにをどうしたらいいかわからないものと思います。
そこへ応急措置を行なうために、彼ら男性たちを
かきわけるようにして、女性たちがやってきたのでした。
彼女たちの行動が的確で迅速だったことは、
4月18日エントリで触れたとおりです。
(心臓病であろうと無かろうと)人が倒れている→自分・周囲の安全確保→呼びかけに反応がない→人を集める→救急要請やAEDの準備・さらに人を集める→普通の呼吸をしていなければ胸骨圧迫開始。これがBLS(一次救命処置)の流れです。
— やまもとReduce exposure! (@Yamamoto0509) 2018年4月6日
ネットで流れている女性たちの行動は超適切でした。
場内では「女性は土俵から降りてください」
「男性が上がってください」というアナウンスが流れました。
相撲協会は男性に土俵の上で応急措置を行なって
ほしかったということですが、的確で迅速な
対応のできる男性は、現れなかったのでした。
複数の観客や動画投稿サイトの映像によると、
観客席から女性2人が土俵に上がって心臓マッサージなどをし、
さらに女性2人が加わろうとした際に
「女性の方は土俵から下りてください」などのアナウンスが
少なくとも3回流れ、「男性がお上がりください」もあった。
ようは「差別主義者の男性は役に立たない」
「緊急時によい仕事をするのは有能な女性」という
「いかにも」な現実が、この一件で凝縮されたかたちで、
あからさまにあらわれたということです。
しかし今回の相撲の一件で「有能な女性は非常時に仕事をきちんとするが、差別する無能なおっさんは役立たず」っていう割と日本社会の縮図みたいなのがあぶり出されているよね
— takeuchi@Wakanda4ever (@takeuchi_gr) 2018年4月5日
「差別主義者は役に立たない」というより、
まともな能力がないから、差別がある社会構造を利用して
のさばろうとする、ということかもしれないです。
かかる差別主義者のあおりを食うことになるのが、
現実の問題解決をした有能な被差別マイノリティです。
今回の舞鶴市長の件は、応急処置をした女性たちは
大勢の観客が見ているところでしたし、
そのとき様子が動画にも映っていたので、
さほど不当な評価はなされなかったと思います。
証拠が残らず可視化されない状況なら、
女性たちの仕事は評価されないだけならまだましで、
ろくに役に立たなかった男性たちの業績のように
扱われることもあるだろうと思います。
4月18日エントリで、差別的因習は非効率的で
非生産的であるということに、すこし触れました。
それはさしたる能力もない人間が、不当に幅を利かせる
余地を与えることや、それによって実際に有能な人材が
追いやられることもあると思います。
「反フェミ」やジェンダー差別主義者は、
「女だけではなにもできない、結局男性の力が必要だ」
などと信じていて、その認識にもとづいて
差別を正当化するご高説をうそぶくことあります。
なにもできないのはじつは差別主義者の男性であること、
彼ら男性が有能に見えるのは、女性が作った業績を
差別構造を利用して奪っているからではないかということを、
かえりみる必要があるのではないかと思います。