2018年05月04日

toujyouka016.jpg 女性は土俵から降りて・その後

「女性は土俵から降りて」のアナウンスに対して、
日本相撲協会が舞鶴市長の救命に当たった女性3人に
感謝状と謝罪をする意向を示しました。
女性3人は「当然のことをした」と言って、感謝状を辞退です。

「舞鶴・土俵 八角理事長、救命女性に直接お礼と謝罪の意向」
(はてなブックマーク)

「土俵で救命措置の女性、感謝状を固辞「当然のことした」」
(はてなブックマーク)

 
4日に開催された京都府舞鶴市での大相撲春巡業で
多々見良三市長が倒れた際、救命処置の女性が
土俵から下りるよう場内放送で促された問題で、
日本相撲協会は5日、八角理事長(元横綱・北勝海)が
今後可能になれば市長へのお見舞いと、
女性へのお礼と謝罪を直接行う意向であることを明らかにした。
実行委は5日午後、心臓マッサージの中心になった女性に
感謝状を贈りたいと連絡したが、「当たり前のことをしただけ。
そっとしておいてほしい」と固辞したという。

相撲協会が救命活動に当たった女性3人に対して、
お礼とおわびを述べるのは当然だと思います。
彼女たち3人がいなければ、舞鶴市長はいまごろは
死んでいたかもしれないですし、彼女たちに対して
「土俵から降りろ」というのは、救命活動をやめろと
言っているのと同じことになるからです。

女性3人が感謝状を辞退したのは、彼女たちからすれば
医療従事者として当然のことをしたというだけなので、
べつだん感謝されることではないと考えるのも、
ごもっともと言えるでしょう。
(お礼は辞退しても、おわびは受け取ってよさそうに思いますが。)

土俵で救命措置の女性、感謝状を固辞「当然のことした」:朝日新聞デジタル

親が看護師(当時看護婦)だったため「当然のことした」というのは、この方にとって自然なコメントだったと思う。こういう時にブコメの曲解ひどさわかる。

2018/04/06 18:16


わたしの憶測ですが、女性3人が感謝状を辞退したのは、
ここで感謝状を受け取ると、ジェンダー差別の現状の
追認になりかねないという判断が入ったのも
あるのではないかと、少し思っています。

つまり「自分たちは人命救助に当たったから
特別に土俵に上がることが認められたが、
あくまで土俵は女人禁制が原則」という、
メッセージを発することになる、ということです。

女性3人のコメント「そっとしておいてほしい」は意味深です。
この件でこれ以上話題になりたくないという
意思表示であることはたしかでしょう。

もしかすると自分たちがこれ以上有名になると、
理不尽なバッシングを受けることになる
可能性を懸念したのかもしれないです。
ジェンダー問題をめぐるきょうびの日本社会を見れば、
このような警戒をすることは考えられます。



日本相撲協会が今後取るべき対応は、
「土俵は女人禁制」という因習を廃止することでしょう。
人命救助に当たった看護師の女性3人に対しても、
それがもっとも誠実な対応になると思います。
ところが相撲協会は、その方向には向かわないようです。


舞鶴市長が倒れた2日後の4月6日には、
中川智子宝塚市長が「女性だから」という理由で、
土俵に上がってあいさつすることを断られています。

「相撲協会 女性市長の土俵上あいさつ拒否 大相撲宝塚巡業」
「女性理由に土俵下であいさつ「悔しい」 兵庫・宝塚市長」

4月8日に静岡で行なわれたちびっこ相撲に、
女児は参加しないよう、相撲協会は要求しています。
参加予定だった女児5人は、参加できずじまいでした。

「静岡)「ちびっこ相撲」に女児参加できず、「残念」の声」


4月28日には日本相撲協会は「土俵は女人禁制」の因習を
今後も続けることを、あらためて確認です。
そのようなジェンダー差別的因習のせいで、
人の命にかかわる事態にまでなったというのに、
まだこんな調子なのかと思います。

「女人禁制で相撲協会が指針「土俵上がらぬ、受け継がれ」」
(はてなブックマーク)

今後は「女人禁制」と言いつつ、人命救助のときは
女性でも土俵に上がることを、特例的に認める
ということになるのかもしれないです。
本当にそうなったら、ふだんは女性を排除しておいて、
助けてもらうときだけ女性にも来させるという虫のよさです。




posted by たんぽぽ at 23:04 | Comment(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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