もう少し具体的には、家族やジェンダー、ライフスタイルに
おける個人主義や自由主義になるでしょう。
このような認識の人は、日本ではまだまだ多そうです。
実際には、個人主義や自由主義にもとづいた家族政策を
採用する国のほうが、出生率が高い傾向があります。
個人主義や自由主義を否定し、国や社会が特定の家族観を
個人に当てはめる社会ほど、出生率は低下する傾向があります。
「個人主義や自由主義が少子高齢化を招く」という認識は
現実とはまったく正反対ということです。
もう一つの方は「少子高齢化社会の行く末は不幸である」を1つの前提としており、個人主義的あるいは自由主義的な暮らしが必然的に少子高齢化を招くことを根拠としています。 https://t.co/90QVZh2l1Z
— どう🌱ぐや (@1098marimo) 2018年5月18日
個人主義的・自由主義的な考えたや生活スタイルが少子化を招くからですね。
— どう🌱ぐや (@1098marimo) 2018年5月18日
個人主義や自由主義にもとづいた家族政策を
行なっている国としては、フランスがあると思います。
「フランスの家族政策」
「【こんにちは!あかちゃん 第24部】少子化乗り越えた フランスから<下>家族を社会の根本に」
フランスで法律で権利保障される家族の対象は、
事実婚、婚外子、PACS、同性結婚と、時代の変化によって
新しい家族のありかたが現れるごとに、拡大しています。
家族に関する法的環境の整備は、自由主義的ということです。
「フランスの家族政策には三つの柱がある。一つは法的環境の整備。
事実婚や婚外子の容認、異性同性のカップルに結婚と同等の
権利を与える「連帯市民協約(PACS)」の法制化、
同性婚解禁と、時代とともに進化している。
フランスの家族政策は「個人のための国や企業」という
考えであり、個人主義にもとづいていると言えます。
「どのような家族を持つかは、各個人が決めること」という
認識のもと「どんな個人の家族に関する要求にも対応できる
環境整備が国や企業の役目」というスタンスです。
「子どもを1人持つか3人持つかは、カップルが決めること。
その決断がしやすい環境を、国や企業がどう整備するかだ。
何が子どもを持つブレーキになっているか、カップルに寄り添って、
不都合や不安をどう解消するかを考え、取り組んだ結果だ」
フランスの特殊合計出生率は、人口オーナス期に
入っているOECD加盟国の中では最高水準です。
2009年から2012年まで、4年連続で出生率が2を超えました。
「フランスの高い出生率」
「フランス:プチベビーブーム 4年連続、出生率「2」超え」
フランスで昨年の合計特殊出生率
(1人の女性が一生に産む子どもの数)が2.01となり、
人口維持の目安となる「2」を4年連続で上回った。
2010年代に入ってからもフランスの出生率は、
高い水準が続いています。(2015年は1.92)
2010年ごろまでは少子化問題がないと言えた、
アメリカ合衆国の出生率より高くなっています。
「5 国際比較 諸外国の合計特殊出生率の推移」

フランスはまさに自由主義的で個人主義的な
家族政策を採り続けたことで、出生率が高い状態が続き、
少子化問題を解消してきたことになるでしょう。
日本はフランスとは対称的で、家族観が硬直しています。
具体的には、戦後民法が規定する「家族のありかた」と
高度経済成長期に定着した「夫が外で働き妻が専業主婦が
理想の家族」という因習・反動的な家族観です。
「家族主義が家族を壊す」
「「選択的夫婦別姓」訴訟から考える「家族主義が家族を壊す」現実―― 水無田気流」
立命館大学教授・筒井淳也氏が『仕事と家族』(中公新書)で
指摘するように、世界的に見れば家族観が硬直化、
かつ家族成員間の相互扶助負担の重い国ほど少子化が進行するなど、
客観的に見れば「家族主義は家族を壊す」点が指摘できる。
夫婦別姓は戦後民法で規定されなかったものです。
それゆえ日本における「あるべき」家族観に含まれないので、
選択的夫婦別姓は認めてならないものとなります。
「家族思想という信仰」
日本は因習・反動的な家族観で硬直しているため、
雇用とジェンダー、マリッジステートとの結びつきも強いです。
ほかのジェンダー規範の強い国と比べても
日本はとりわけ結びつきが強いほうとなっています。
「結婚・ジェンダーと雇用問題」
「非正規雇用の待遇 性別と働き方にジェンダーバイアス」
性別と働き方の関連性が日本は特に強いことを、
岩上真珠氏の論文は海外との比較によって明らかにしている。
韓国やイタリアは性別規範の強い国として有名だが、
これらと比べても日本は性別と雇用形態の結びつきが強い。
男性は未婚、女性は既婚に非正規雇用が多い
といったように婚姻と雇用形態の結びつきも強い。
それは国や社会が「あるべき」とする硬直した家族観に
当てはまるよう、個人の生きかたを枠にはめこむことになります。
「男性は未婚、女性は既婚に非正規雇用が多い」
というのはそのうちのひとつです。
「就労形態と未婚率の関係」
正規・非正規別の未婚率年齢曲線。男性は非正規の未婚率が高い。私の年齢層(30代後半)では,40ポイント近くもの差がある。一方,女性はその反対。正社員のほうが未婚率が高いのですな。こういうジェンダー差がみられる社会って,他にあるんか。 pic.twitter.com/f5hAmd2MtW
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2014年1月13日
日本はいわば「国や社会が家族のありかたを決めて、
それに個人がしたがうようにする」というものです。
「国や社会のための個人」という考えかたであり、
個人主義や自由主義とは対極的になります。
日本の特殊合計出生率は近年は増加傾向にあるとはいえ
(2015年は1.45)、人口オーナス期に入っている
OECD加盟国の中では、依然として低いほうです。
「個人主義や自由主義に反する家族主義を
続けたことで出生率が低迷する」ということでしょう。