招くと信じているかたを取り上げました。
ご主張の通り、個人主義や自由主義を否定することで
人口が増加した社会も存在したことはあります。
それは共産主義国や全体主義国です。
これらは「国や社会のために個人がいる」という考えであり、
個人主義や自由主義を徹底的に否定します。
またこれらの政体は、人口が多いことを国力の源と考えるので、
その家族政策により人口が増えることはあります。
もう一つの方は「少子高齢化社会の行く末は不幸である」を1つの前提としており、個人主義的あるいは自由主義的な暮らしが必然的に少子高齢化を招くことを根拠としています。 https://t.co/90QVZh2l1Z
— どう🌱ぐや (@1098marimo) 2018年5月18日
個人主義的・自由主義的な考えたや生活スタイルが少子化を招くからですね。
— どう🌱ぐや (@1098marimo) 2018年5月18日
共産主義時代のルーマニアのチャウシェスク政権は、
個人主義と自由主義を否定した「お国のために子どもを産め」
という考えの家族政策で、人口を増やしたと言えるでしょう。
「「お国のために産め」の末路」
チャウシェスク政権は1966年から、「国力の増強は人口を
増やすことだ」と確信し、人口増加政策を導入することになります。
そのために個人、とくに女性の性やライフスタイルに、
国策でどんどん介入することになります。
子どもを5人以上産むことが強く推奨され、
14-15歳の中学生にも出産が奨励されました。
子どもを5人以上産んだ人は、多くの子育て支援が受けられましたが、
子どもが4人以下の家庭には課税されました。
いつまでも妊娠しない女性には、高い「禁欲税」が課されました。
人口政策にかかわる政府関係者は、定期的に女性がいる
職場をまわって妊娠検査をしていました。
性教育や避妊は禁止され、1966年からは妊娠中絶が禁止になりました。
中絶の禁止はとりわけ熾烈であり、中絶ができないために死亡したり
重病におちいる女性がたくさん出てきました。
危険な闇の中絶も横行することになります。
「『4ヶ月、3週と2日』― ルーマニア社会主義共和国で 1987年 ― 」
このように、国家や宗教、独善的モラル、民族的慣習などが、
本来、女性自身が自己決定すべき性(妊娠・出産・中絶)に
強制的に介入することが許されてはならない、と私は考えます。
しかし、世界では意図しない妊娠や望まない妊娠に直面し、
「安全でない中絶」によって生命にかかわる影響を
受けている少女や女性は、年間1900万人にのぼり、うち7万人が死亡。
何十万人もが安全でない中絶手術の後障害で、生涯苦しんでいるといいます
ルーマニアでは一連の政策で人口は増えていきました。
ところが1989年にチャウシェスク政権が崩壊すると、
それまであった子育て支援を行なえなくなります。
これにより親が育てられなくなって捨てられた子どもが、
社会にあふれることになりました。
行き場のなくなった子どもたちは、首都ブカレストの
下水道の中などで暮らすことになりました。
彼らは「マンホール・チルドレン」と言われて、
共産主義政権が崩壊して25年以上経ったいまも、
下水道で暮らす人たちはまだたくさんいます。
「ルーマニアの闇、下水道で暮らす「マンホール・チルドレン」と呼ばれるチャウシェスクの孤児たち」
ルーマニアの首都ブカレストには、
1万人以上のホームレスがいると言われている。
そのほとんどは旧共産主義時代の独裁者である
ニコラエ・チャウシェスクの政策の中で生まれてきた子供達だ。
チャウシェスクは「国力とはすなわち人口なり」とし、
子供をたくさん産んだ者に奨学金を出し、
人口を増加させる政策を実行した。
ところが政権崩壊に伴い奨学金が出せなくなる。
こうした子供たちは、親から充分に食べさせてもらえず、
家を飛び出す、あるいは捨てられて街頭で生活していくこととなった。
行き場をなくした当時の子どもたちは、
大人となり、更に子を育みながら、首都ブカレストに
張り巡らされた下水道の中で暮らしている。
その為「マンホール・チルドレン」と呼ばれている。
個人主義や自由主義を否定する不健全な
人口政策で子ども増やしたところで、産まれた子どもを
支えるだけの社会的基盤が追いつかない、
ということなのだろうと、わたしは思います。
共産主義政権が続いているあいだは、
その強権的な力で社会のリソースを回して、
子どもの福祉を維持することはできるのでしょう。
共産主義政権が倒れると、社会のリソースを回す力がなくなり、
福祉はたちまち崩壊して、社会で支えられない
子どもたちであふれるということです。
共産主義政権もそうですが、一般に個人主義や自由主義を
否定する社会は、その不健全さゆえにそれほど長続きせず
いずれ崩壊するのが必至だと思います。
チャウシェスク政権の人口政策は破綻して
「マンホール・チルドレン」を多数生み出したのは、
ある意味必然だったということです。
少子高齢化を防ぎ、一定以上の人口を維持するのは
なんのためかといえば、経済力その他の社会的基盤を確保し、
将来にわたって社会の安定を維持するためです。
「お国のために個人がいる」という人口政策で
人口を増やしたところで、その政権が崩壊して
社会で支えきれない子どもであふれるようになれば、
社会基盤は崩れ、混乱して不安定な社会となります。
これではなんのために人口を増やしたかわからないというものです。
チャウシェスク政権が崩壊して四半世紀以上たった現在も、
たくさんの「マンホール・チルドレン」という
深刻な重荷が社会に残っているくらいです。
こんなことになるなら、人口が減るにまかせたほうが
まだましなのではないかと思います。
「個人主義や自由主義が少子化を招く」とか
「個人主義や自由主義を否定する、とくに女性の権利を
制限すれば人口が増える」などと信じている人たちは、
本当にこのような「本末転倒」としか言いようのない事態を
望ましいと考えているのかと思います。