2018年06月12日

mar0006.gif労働力不足と家族政策の転換

だいぶ前、2014年12月30日エントリで
話題にしたことですが、フランスの家族政策に
ついての記事にある、一連の家族政策の始まりに関する
つぎの指摘について見ておきたいと思います。

「フランスの家族政策(2)」
「【こんにちは!あかちゃん 第24部】少子化乗り越えた フランスから<下>家族を社会の根本に」

家族政策はいつからか。
「農業国であるフランスは、歴史的にも文化的にも家族を大事にしてきた。
第1次大戦で多くの男性が亡くなり、女性が男性の役割を担って
働かなければならなくなり、社会保障が始まった。
第2次大戦後は、その政策に家族の声が反映されるようになる。
フランスでは家族問題を民間でなく公的機関が解決すべきだという世論が強い。
家族は国家にとって基本的な根本問題と認識しているからだ」

 
フランスの家族政策は、第一次世界大戦で多くの男性が
なくなったことで、女性が働く必要が出てきたこと、
それゆえ女性の労働を保証することが発端となっています。

フランスの1937年の人口ピラミッドは次のようです。
20歳前後で、男女とも人口が大きく減っていることが眼につきます。
これは大戦中に出産を控えるかたが多かったためです。

http://fujicco2.tumblr.com/post/105002409727/bgnori

Repartition de la population de la france metroplotaine au 1er janvier depuis 1901

男女ではっきり人口に差があるのが40代です。
女性と比べて男性は人口が少なくなっています。
これは戦争に出征した男たちがなくなったことによります。
かくして労働を男性だけに頼っていては労働力が不足し、
女性が働かないとじゅうぶんな労働力を
確保できないレベルとなったということです。


北ヨーロッパの国ぐには、どこもジェンダー平等の
先進国となったのは、人口が少ないゆえに、
男性だけでは労働力がふじゅうぶんで、女性も働かないと
社会が維持できないことが大きいのでした。

「男性だけでは労働力が不足する」というのは、
どこの社会でも家族政策やジェンダー政策を転換させ、
女性の権利保障やジェンダー平等を目指すようになる
大きなモチベーションとなるようです。

これは、女性も働かないと労働力が不足するという
事態におちいらないと、どこの社会も女性の権利保障や
ジェンダー平等を目指さないとも言えます。
権利、平等という理念はとても大事ですが、
それだけで動く社会はなかなかないのでしょう。


日本は深刻な労働力の不足に悩むくらいの人口減少に
見舞われたことは、これまでなかったのでした。
太平洋戦争による壊滅も、人口崩壊が起きたと呼べる
レベルの人口減少は起きていないです。
戦時人口政策による人口増加策が効いたのもあるのでしょう。
敗戦直後にベビーブームが起きたくらいです。

高度経済成長期には人手不足はありました。
それでもこの時代の家族政策は「夫が外で働き、
妻が専業主婦が理想の家族」というものです。
労働力の担い手は基本的に男性しか考えておらず、
女性の労働力を必要とするほどの
深刻な「人手不足」ではなかったということです。


21世紀になって、日本社会はおそらくはじめて、
深刻な労働力の不足に直面しつつあるということです。
前世紀末からの出生率減少を放置したため、
少子高齢化が進み、少ない労働者世代の人口で、
多くなった高齢者を社会的に支える必要があるからです。

「日本の人口の長期変化」


「高齢者ひとりを支える人数」


日本もついに、男性だけでは労働力はふじゅうぶんであり、
女性の労働力を必要とする社会が訪れることになります。


ここで通常であれば、それまでの因習・反動的な
家族・ジェンダー観から抜け出して、女性の権利保障や
ジェンダー平等を目指す方向に向かうことになります。
問題は日本にもそれができるかどうかです。

現時点では、日本社会は女性の権利保障や
ジェンダー平等を目指しているとは、とても言えない状況です。
それは前時代からの既得権益がいまだ強いこともあるでしょう。
2010年代の現在でなお、日本は先進国として
まがりなりにも羽振りを効かせていられるので、
社会全体における危機感が薄いこともあるのでしょう。

「少子化に無関心な世間」

都道府県、市町村別の将来人口推計が発表され、
驚きをもって受けとめられたようだ。
身近なもので示されたことで実感したというのは分かるが、
昨年1月に発表された全国的な推計と
同じものなのだから、今更といった感じはする。
人口の激減は、専門家には10年も前から分かっていたことで、
やはり、世間は、手遅れになってからでないと、実感できないものらしい。

日本は2050年には高齢化社会に悩まされ、
世界一悲惨な国になるという予測があります。
この予測はどのくらい緩和できるでしょうか?

「2050年の世界一悲惨な国」

その中でも、世界で最も悲惨な2050年を迎えるのが
「超々高齢化社会」に苦しむ日本である。
〈2050年までには、被扶養者数と労働年齢の成人数が肩を並べるだろう。
過去を振り返っても、このような状況に直面した社会は存在しない。
中位数年齢(*注)が52.7歳まで上昇した日本は、
世界史上最も高齢化の進んだ社会となるはずだ〉

posted by たんぽぽ at 00:11 | Comment(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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