2018年06月25日

toujyouka016.jpg 東大生の家庭の年収分布

2015年2月2日の「データえっせい」に、大学生の家庭の年収分布、
とくに東大生の家庭について注目した記事があります。
2年以上前の記事でいまさらの感がありますが、
今回はこれを見てみたいと思います。

「東大生の家庭の年収分布」

データの出典や作りかたは記事をご覧いただくとして、
結果を見てみたいと思います。

 
「一般群」は世帯主が40-50代の世帯の年収を示しています。
「学部生」はすべての大学の学部生の家庭です。

学部学生の家庭の年収分布

学部学生の家庭の平均年収(%)

「一般群」と「学部生」の年収分布を比較すると、
やはり「学部生」は「一般群」より高収入側に寄っています。
年収900万円以上のカテゴリは「学部生」は31.8%で、
「一般群」の25.7%の1.24倍と、ひとまわり多いです。
やはり大学に入るには、子どもの教育に対する
経済的投資が相応に必要だ、ということになります。

それでも年収が中程度は「一般群」と「学部生」とで、
さほど差は顕著ではないと言えるかもしれないです。
年収300-400万円のカテゴリで0.88倍、
「一般群<学部生」になるのは年収500-600万円からです。

平均的な年収がある家庭であれば、どこでもいいから
大学に入るということであれば、経済的な問題に関しては、
多少のハンディはありますが、それほど深刻な壁はなさそうです。


差が深刻なのは年収300万円以下のカテゴリです。
「一般群」が19.7%に対して「学部生」は7.5%です。
このくらいの年収では、子どもの教育に対する経済的投資が、
じゅうぶんできないということだと言えます。

貧困層はかなりの割合の家庭の子どもが、
経済的理由で大学教育を受けられないことになります。
貧困から脱出するには、年収の高い職種につく必要があるし、
それには専門の知識や技術が必要となるし、
それを身につけるためには、大学教育を受ける必要があります。

貧困層はその機会が狭められているわけで、
貧困層の子どもは年収の高くない職種にしかつけなくなり、
貧困の連鎖を招くことになります。
教育の機会均等という観点からも、
貧困層でも大学に入れるよう、政府や行政は経済的支援を
行なう必要がまだまだあることになります。


衝撃的なのは「東大生」と「一般群」との比較です。
「東大生」は年収950万円以上のカテゴリが57.0%です。
「一般群」は21.8%ですから、「東大生」はその2.61倍です。
東大学部生の半分以上が年収950万円以上の家庭出身です。

貧困層はなおさらですが、年収が中程度のカテゴリでも
「東大生」は「一般群」とくらべてずっと割合が低いです。
年収750-850万円のカテゴリ以上になって
ようやく「東大生」と「一般群」が同程度の割合になります。

40-50歳代で年収500-600万円程度というのは、
比較的収入が高いほうだと思います。
Dodaのサイトを見ると、年代別年収の最頻値は、
40代も50代も400-500万円のカテゴリ。)
それだけの年収があっても、子どもが東大に入るには、
経済的事情も壁になるということです。


東京大学は日本でもっとも難関な大学ですから、
入学するには経済的なことを含めた教育への投資が
それだけたくさん必要となるでしょう。
小さいうちから塾に通わせたり、習いごとをさせたりと
教育にたくさんのお金をかけられる家庭が、
有利になる程度が大きいということです。

大学の授業料減免や奨学金の充実など、
大学生活の経済的負担を減らすことはもちろん大事です。
それだけでなく、幼少期から経済的事情で教育を受ける機会に
差がつかないようにする必要もあることになります。

近年,東大では授業免除の枠が増やされるなど,貧しい家庭の子弟でも
入れるような施策がなされていると聞きますが,現実は上図のごとし。
やはり,幼少期からの通塾や早期受験をはじめとした,
長期にわたる教育投資の差が出ているとみられます。


東京大学は学生の親の年収が高いとは、わたしも聞いていたのですが、
ここまできわだっているとは思わなかったです。
東京大学に通っている学生は、裕福層のご子息ばかりと
言っていいくらいだと思います。

東京大学のような一流大学を出た人が、
のちにエリートとして社会を担うことを考えると、
「エリート」はほとんどが裕福層から出ることになります。
そしてそうした裕福層出身の人たちばかりによって、
社会は動かされることになります。

彼ら「エリート」は高収入であることが多いです。
ゆえにその子どもたちも一流大学へ入学することが有利となり、
また「エリート」となって社会を動かす立場になるわけです。
裕福層やエリートが連鎖するということです。

裕福層の出身者ばかりが社会を動かす立場になる
というだけでも、民主的に問題のあることです。
さらに裕福層やエリートが連鎖することによって、
階級が固定されることになり、さらに民主的という観点から
大きな問題をはらむことになります。


posted by たんぽぽ at 23:26 | Comment(0) | 教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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