「結婚して子どもを持たないと、他人の税金で
老人ホームへ行くことになる」とも言っています。
これを若い女性たち相手に話しているそうです。
「「子供産まねば人様の税金で老人ホーム」自民・加藤寛氏」
(はてなブックマーク)
「「女性蔑視の思いない」 自民・加藤寛治氏が発言撤回」
「自民・加藤氏、「子は3人以上」発言を謝罪=与野党から批判」
短いコメントですが、家族やジェンダーに関する
さまざまな思想が凝縮して詰め込まれていそうです。
自民党の加藤寛治衆院議員(長崎2区、当選3回)が10日、
所属する同党細田派の会合で、「結婚しなければ子供が生まれない。
人様の子どもの税金で(運営される)老人ホームに
行くことになる」と若い女性たちに話している、と明かした。
加藤寛治のこの言いかたは、老人ホームに入ること
(入れること)は、不幸なことか悪いことのようです。
福祉を利用するのではなく、高齢になったら
家族に介護してもらうべきだ(高齢者は家族が
介護するべきだ)と、言いたいのだろうと思います。
「子供産まねば人様の税金で老人ホーム」自民・加藤寛氏:朝日新聞デジタル
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人様の税金で老人ホームに行くことの何が悪い。
2018/05/15 00:36
福祉や公的支援を減らし、家族や親族に負担を
背負わせようとする、自民党的な発想をしているのでしょう。
個人に負担させる家族政策を正当化するために、
「福祉ではなく家族に見てもらえ」というカチカンを
吹き込んでいるのだと思います。
「家族間の相互扶助負担の重い国」
「「選択的夫婦別姓」訴訟から考える「家族主義が家族を壊す」現実―― 水無田気流」
立命館大学教授・筒井淳也氏が『仕事と家族』(中公新書)で
指摘するように、世界的に見れば家族観が硬直化、
かつ家族成員間の相互扶助負担の重い国ほど少子化が進行するなど、
客観的に見れば「家族主義は家族を壊す」点が指摘できる。
政策によってインセンティブを作るのではなく、
一般の市民に特定の思想(因習・反動的な家族・ジェンダー観)を
吹き込むという「精神論」で解決しようとするところが、
すでに政治家のすることではないと思います。
高齢者の介護を家族が見るとなると、みることになる家族の
経済的、時間的、心理的、肉体的負担が大きくなります。
その家族の仕事やほかの活動にも差し支えが出るでしょう。
また「親」という「他人」と顔を突き合わせる時間が
長くなるので、そのストレスも大きくなります。
「配偶者の親」という「他人」ならなおさらでしょう。
「3世代同居の住宅政策」
「今からドキドキが止まらない『3世代同居の住宅政策』が推進された後の日本」
これまで頂いたモヤモヤメールのうち、1/3ぐらいが二世帯住宅の苦しみに関するものなんですよ。
— 斗比主閲子 (@topisyu) 2015年9月25日
自分も二世帯住宅ですけど姑と一緒に暮らしたくて結婚したわけじゃないし、姑の方も自分と暮らしたかったわけじゃなかったんですよね。
一方で、昔ながらの姑は実子と同居したがるところがある。
家庭のあり方というのは、人それぞれなので、配偶者でも違うことがある。姑舅なら尚更です。
— 斗比主閲子 (@topisyu) 2015年9月25日
結婚したからいきなり良い家族になれるわけじゃない。どのような家族になりたいか、ある程度理念が共有された個々人が努力して、お互いが理想とする家族関係を構築しようとして、徐々に出来上がっていく。
「高齢者は家族が見ろ」という考えには、
「だれしも歳をとったら家族と暮らしたいはずだ」
「歳をとったら家族と暮らすことが幸せだ」という考えも
背景にあるのかもしれないです。
上のツイートにもありますが、高齢の親にとっても、
自分の子どもやその配偶者はやはり「他人」です。
顔を合わせている時間が長ければストレスになりうるし、
いっしょに暮らしたくないかたはいるでしょう。
さらには歳をとっても子どもに頼らず、
死ぬまで自立していたいかたもいるでしょう。
そうしたかたのためにも、家族による介護ではなく、
福祉を充実させる必要があると言えます。
家族で高齢者の介護を負担するとなると、
経済的に余裕のある家庭は、金銭面では比較的充実した
介護ができると思いますが、経済的に余裕のない家庭は、
あまりお金をかけた介護ができないことになります。
また経済的に余裕のない家庭にとって、
介護の経済的負担は、大きく深刻なものとなります。
それゆえ貧困世帯がいっそう経済的に苦しくなり、
格差が固定されるもとにもなります。
裕福層と貧困層とで差を大きくしないためにも、
格差を固定化させないためにも、個人の負担を大きくせず、
福祉への支出を増やす必要があることになります。