「子ども3人以上産み育てろ」発言の自民党・加藤寛治は、
若い女性を相手に「結婚しなければ子供が生まれない。
人様の子どもの税金で(運営される)老人ホームに
行くことになる」と話していることについてです。
「「子供産まねば人様の税金で老人ホーム」自民・加藤寛氏」
(はてなブックマーク)
「「女性蔑視の思いない」 自民・加藤寛治氏が発言撤回」
「自民・加藤氏、「子は3人以上」発言を謝罪=与野党から批判」
自民党の加藤寛治衆院議員(長崎2区、当選3回)が10日、
所属する同党細田派の会合で、「結婚しなければ子供が生まれない。
人様の子どもの税金で(運営される)老人ホームに
行くことになる」と若い女性たちに話している、と明かした。
「人様の子どもの税金で」という言いかたは、
福祉を利用することが悪いことのようです。
こういうときのために税金を使うのではないかと思います。
老人ホームを含め福祉に税金を使うのでなかったら、
なんのための税金なのかと思います。
それはまさに「自助の精神」が大事だと言って、
福祉を削減して家庭や個人の負担を大きくしてきた
自民党の基本スタンスにもとづく発想だろうと思います。
「子供産まねば人様の税金で老人ホーム」自民・加藤寛氏:朝日新聞デジタル"人様の税金で老人ホーム"の何が悪いのかわからん。税金の使い方としては至極真っ当でしょ。
2018/05/11 06:10
子どものいないかたも、人様の子どもの
教育のために税金を払い続けています。
そうしてきたかたが、高齢になってから他人の払った
税金で暮らしても、なんら問題ないことです。
子どものいないかたは、自分は子どもを
持たない代わりに、子どもの福祉のために
税金をたくさん払って、未来の納税者を支えることで、
将来自分が福祉で世話になろうということです。
この考えにはなんら問題のないことです。
子どもを持たないかたがどうしても
「税金泥棒」に見えてしかたないと言うなら、
子どもの福祉や教育に対する公的支出に、
もっと多くの税金を投入することです。
子どもを持たないかたは必然的に他人の子どものために、
多くの税負担をすることになります。
政策で再分配を是正すればいいということです。
その政策による再分配を行なうのは政治家の仕事です。
個人に対して「子どもを持て」と説教することが、
政治家の仕事ではないです。
子どもの福祉が充実すれば、経済的理由で子どもを持つことを
断念していたかたが、子どもを持つようになります。
ご心配の少子化対策も解決に向かうことになります。
「少子化対策は一番の、我が国にとっては大事な問題。
ただ、それだけです」と述べた。
人口オーナス期に入っているOECD加盟国で
フランスは出生率が高いですが、その原因として
家族に関する手当てが充実していることがあります。
「フランスの家族政策・日本の対極」
「【こんにちは!あかちゃん 第24部】少子化乗り越えた フランスから<下>家族を社会の根本に」
フランスの子育てを支えるのは、手厚い家族給付制度と税制上の優遇策だ。
家族給付制度は家族保険料(雇用主が給与総額の5・4%負担)や
社会保障目的税(税率7・5%)、国や県による拠出金を財源に、
所得にかかわらず2人目から出る家族手当、
3歳までの乳幼児受入手当、新学年手当など、
子育て世帯を幅広くサポートしている。
子どもを持つことで「税金を取り戻せている」と
実感できるくらい子どもの福祉を充実させておけば、
子どもを持つ人が、子どもを持たない人によって
「税金を搾取されている」という不公平感もなくなるでしょう。
やはりOECD加盟国で出生率が高いスウェーデンは、
子どもを持つと「税金を取り戻している」という
実感を持てるようになっています。
「子育て支援先進国・スウェーデンルポ(2)税金高いが、教育費は児童手当で十分」
初めての子の出産を控えたソフィー・エリクソンさん(30)は、
「税金は確かに高いと思うわ。でも、払った分はこれから戻ってくるのよ」と、
笑顔を見せながら、大きくなったおなかに手をやった。
現在の日本はどうなっているかですが、
家族関係の社会支出のGDP比は、ヨーロッパの主要国と
くらべると、日本は圧倒的に少ないです。
「家族間の相互扶助負担の重い国」
アメリカ合衆国の家族関係の公的支出も、
GDP比は低いですが、民間の支援が充実しているので、
それを加えるとヨーロッパの国ぐにと比べて
それほど差はないだろうと思います。
教育関係の公的支出も、日本はOECD加盟国の中で最低レベルです。
とくに大学に対する公的支出は飛び抜けて低水準です。
「教育の公的支出と出生率」
「教育の機会不平等・原因と結果」
そのせいもあって、日本は大学の授業料が高く、
奨学金が貧しい、OECD加盟国唯一の国になっています。
「学費は高いわ援助はないわ・・・日本の高等教育@OECD」
(横軸:奨学金、縦軸:授業料)
このような教育や子どもの福祉が貧しい現状を
作り出してきたのは、加藤寛治の所属する自民党です。
それはまさに福祉の利用を悪いことのように考え、
家族や個人に負担をさせる「自助の精神」の結果です。
自分たちで子どもを持つことに対する
経済的負担を大きくしておきながら、
子どもを持たない人を「税金泥棒」のように言うのは、
「なにをかいわんや」だと思います。