2018年07月07日

mar0006.gifもうひとつの夫婦別姓訴訟

もうひとつの選択的夫婦別姓を求める訴訟です。

外国(アメリカ合衆国)で婚姻届けを出して
夫婦別姓となっている夫婦が、日本で法律婚夫婦であることを
証明できないのは不利益だとして、国を提訴です。

「「別姓の私たち、夫婦と認めて」映画作家・想田さん提訴」
(はてなブックマーク)
「夫婦別姓、訴訟で問う個人の自由「吸収合併したくない」」
(はてなブックマーク)

  

米ニューヨーク州で約20年前に結婚し、
夫婦別姓のまま同州で暮らしている
映画作家の想田和弘さん(48)と妻の柏木規与子さんが
18日、戸籍で婚姻関係を証明できずに
不利益を被っているとして、夫婦としての地位確認などを
求める訴訟を東京地裁に起こした。
訴訟では、夫婦別姓を認める立法を国が怠っている
状態は憲法違反だと主張している。


原告の夫婦は日本人どうしの結婚ですが、
外国で婚姻届けを出して法律婚になっています。
外国で婚姻届けを出すことについては、
だいぶ前にメインコンテンツで書いたことがあります。

「外国で婚姻届けを出す」

アメリカ合衆国などでは、国籍(市民権)のまったくない
外国人であっても、婚姻届けを出せば、
その国で法律婚をすることができます。
長期滞在でなくても、短期の旅行者でも認められます。

こうした国では婚姻状態にあることの証明として
「結婚証明書(marriage certification)」を発行します。
それゆえだれにでも発行することができるので、
容易に外国人に門戸を開けるのでしょう。

世界中のほとんどの国では、婚姻状態の証明は
「結婚証明書」を発行することによります。
日本のように戸籍などの身分登録に
記載するほうが、むしろ特例なくらいです。


外国で婚姻届けを出す場合、その国の法律にもとづきます。
世界中のほとんどの国で、夫婦別姓が選択できます。
よって希望すれば、夫婦別姓で法律婚できることになります。

日本の民法が定める夫婦同姓の強制によって、
どちらかが結婚改姓することを避けたい場合、
外国に生活基盤があるかたは、その外国で婚姻届けを出して、
夫婦別姓にするかたも、いらっしゃると思います。

外国には挙式と法的手続きを一緒に行なう
「リーガル・ウェディング」があります。
外国に生活基盤がないかたも、これを利用して、
外国で夫婦別姓の法律婚をすることができます。
ようは「新婚旅行を外国にして旅行先で挙式」です。


外国での法律婚は、日本に帰国してから3ヶ月以内に
申請することで、日本の法律婚に振り替えることができます。
(3ヶ月を過ぎても振り替えはできます。
「届け出遅延の理由書」を提出することになります。)

「海外在住の日本人同士が海外で結婚するには?手続きの流れ」

日本人同士であっても、外国の法律にのっとって結婚手続きを行い、
現地公的機関で受理されれば、婚姻証明書を発行してくれます。
入籍手続きをするためには、婚姻証明書を大使館/領事館に
婚姻届と共に3ヶ月以内に提出することが義務付けられています。
3ヶ月以内であれば、日本に帰国してから
日本の市区町村役場に提出しても構いません。

日本では夫婦別姓の選択は認められないですから、
外国で夫婦別姓にしている場合、日本の法律婚に
振り替えようとすると、夫か妻のどちらかの名字を選んで、
夫婦同姓にせざるをえなくなります。
夫婦別姓のまま振り替えようとしても受理されないです。

海外で結婚した場合、日本の戸籍上でも夫婦になるには
民法が定める夫婦同姓の規定に従い、
結婚後の名字を決め、届け出をしなければならない。
想田さんと柏木さんは今月、都内の区役所に
別姓のままの婚姻届を届け出たものの、受理されなかったという。

それゆえ夫婦同姓にしたくない場合、
わざと振り替えないでそのままにしておくことになります。
放置してもとくに罰則はないです。

日本人が外国で結婚した場合、日本の在外公館などに
3カ月以内に届け出ることになっており、
戸籍では「夫の氏」「妻の氏」のどちらかを選ぶ必要がある。
ただ、東京簡裁は1997年に「届け出をしなくても
過料の対象とならない」と判断しており、夫婦同姓となることを嫌がって
届け出をしなくても、ペナルティーはない。


外国で婚姻届けを出して法律婚になっている場合、
日本国内でも法律婚をしているとみなされるとあります。
(これはわたしは知らなかったです。
日本の法律婚に振り替えないかぎり、
みなされないのかと思っていました。)

一方、法の適用を定めた通則法では「婚姻の成立は、
各当事者につき、その本国法による」とされているため、
戸籍の手続きをせずに外国式で結婚しても、
婚姻関係は日本で法的に成立をしているとみなされている。
ただ、婚姻を証明する戸籍はなく、
相続時に遺産をめぐって争いになる可能性がある。
税制上の扱いも明確でなく、生命保険会社や
勤務先の会社などでの証明も難しいという。

戸籍に婚姻状態にあることが記載されないことで、
相続や税制の規定がないので、扱いが不明瞭です。
生命保険会社や勤務先の会社など民間でも、
婚姻状態にあることの証明は難しいとあります。

実質的には日本国内では婚姻状態にあるとは
認められないと思っていいでしょう。
この訴訟の原告のかたは、日本国内でビザの更新が難しく、
外国へ行って更新するようになっています。

これまでも、戸籍がないことにより、日本で苦労したことはある。
柏木さんは2001年に大阪の米領事館で、
米国のビザを更新しようとした時、
戸籍がないことを理由に、窓口の職員によって拒まれた。
想田さんの会社の弁護士が米国務省に相談し、
ビザの更新はできたものの、立場の弱さを痛感した。
それ以来、日本でビザの更新手続きをしておらず、
別の国に行って行っているという。

日本人どうしの結婚なのに、日本国内では婚姻状態に
あることが認められず、外国では認められるというのは、
なんとも奇妙ではあると思います。


外国で夫婦別姓で法律婚になっているかたが、
日本国内で婚姻状態にあることを求める訴訟は、
さすがに前例がないことだとあります。

夫婦同姓の強制が嫌で、外国で婚姻届けを出して
夫婦別姓になさっているかたは結構いると思うので、
この発想はもっと早く出てきてもよかったかもしれないです。

想田さん夫妻の代理人を務める竹下博将弁護士は
「別姓のまま、婚姻関係の確認を求める訴訟は前例がない」と話し、
「勝訴すれば、判決書が夫婦の証明書になる」としている。


気になる訴訟のゆくえですが、原告が首尾よく勝訴すれば、
日本で選択的夫婦別姓が認められる運びになるでしょう。
問題は勝訴する可能性はどのくらいあるかです。

「外国での法律婚も日本国内で婚姻状態に
あることを認める。ただし日本で婚姻届けを出すには、
夫婦別姓のままでは認めない」なんて
中途半端な判決になるかもしれないです。

この場合、夫婦別姓のために外国で婚姻届けを
出すかたが増える可能性があります。
(原告団にとっては不本意ですが。)
上述の「リーガル・ウェディング」が便利だと、
いまのうちから言っておきます。

2人は将来、選択的夫婦別姓制度が実現すれば、
結婚届を出したいと考えている。
代理人の竹下博将弁護士は「海外での結婚が増えることを
望んでいるわけではない。日本の法律の不備を訴えたい」と話す。

原告が敗訴するという最悪のケースも
想定しておいたほうがいいと思います。
この場合、現在の法的扱いでも外国の法律婚は、
日本国内で婚姻状態にあるとみなされるので、
これとの折り合いはどうなるかと思いますが。


posted by たんぽぽ at 23:20 | Comment(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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