7月21日放送で、選択的夫婦別姓が取り上げられました。
「池上彰、夫婦同姓の問題点を熱く語る『そうだったのか!!』P裏話」
「日本の常識は世界の非常識!?」スペシャルです。
選択的夫婦別姓が認められず、夫婦同姓が強制されるのは、
世界中で日本だけ、ということで取り上げられたのでしょう。
番組を見てエントリを書くといいのでしょうが、
残念ながら、わたしは番組を観ていないです。
(家にテレビを置いていないからです。)
そこで番組について触れた記事を参照しながら、
このエントリを書くことにします。
最初は夫婦同姓が強制されるのはほぼ日本だけ、
世界のほとんどの国は夫婦別姓が選択できるという指摘です。
日本の夫婦同姓の強制は「日本の常識は世界の非常識」
という主旨に、とてもよく合っていると思います。
その中でも池上氏がイチ押しするネタは「夫婦同姓」だ。
日本では120年前の民法の規定により、
「夫婦は同姓」と決められており、世界でも日本だけのシステム。
「世界の夫婦別姓」
「夫婦別姓・世界各国の状況は?」
日本で夫婦同姓が定められたのは1898年、
ヨーロッパの家族法にならって、イエ制度にもとづき
妻が改姓して夫婦同姓となることを定めたのでした。
これは欧米諸国とのあいだの不平等条約撤廃のために、
欧米風の法整備が必要となったからです。
そのために日本の伝統を積極的に破りました。
「夫婦同姓は日本の伝統?」
「日本で夫婦同姓になった起源」
同姓を名乗れとされたのは明治31年(西暦1898年)。明治も随分進んでから。なんでかというと、不平等条約撤廃のために欧米列強風の法整備が急がれたかららしい。何のことはない、夫婦同姓は伝統でも何でもなく、むしろ儒教由来の同姓不婚の伝統を破って、欧米化するために作られた制度ということだ。
— mipoko (@mipoko611) 2018年1月27日
その後、20世紀の後半に入ってから、
世界のさまざまな国で、ジェンダー平等の見地から
家族法を改正するようになっていきました。
ということで、台湾情報他、少し追加しました。
— 旧姓利用中男性研究者 (@Okonomiyaki2099) 2018年6月29日
似たような図がたくさんあるので、バージョン番号も追加。 pic.twitter.com/d8AV0f5M2V
日本の夫婦同姓の輸入元であるヨーロッパでは、
1970年代から結婚後の苗字の選択の幅を広げていきます。
選択的夫婦別姓を認めるという問題は、欧米の民主主義国では、
20世紀のうちに終わっていると言えます。
21世紀に入ると、アジアの国でもジェンダー平等的に
家族法が改正され、夫婦同姓が強制されていた国でも、
結婚後の苗字の選択の幅が広がり、
夫婦別姓が選択できるようになります。
かくして2018年の現在、夫婦同姓が強制され、
選択的夫婦別姓が認められないのは、
世界でもほとんど日本だけという状況になったのでした。
ジェンダー平等を推し進める世界の動きから、
日本は完全に取り残されたことになります。
日本の夫婦同姓強制は、欧米の民主主義国の人から見ると、
時代遅れのジェンダー差別に見えるという指摘があります。
さらに「日本では当たり前、と思っているこの夫婦同姓も
欧米の人から見れば時代遅れの男女差別に映るようです。
これはごもっともなことだと思います。
欧米の民主主義国では、20年以上前に終わった課題です。
そんな彼らから見れば、日本はまだこの程度のことが
認められないのかと思っても、当然だと思います。
(欧米の民主主義国での目下の課題は同性結婚です。)
日本で選択的夫婦別姓が認められないことは、
外国メディアでも取り上げられることがあります。
2015年12月の、原告が敗訴となった
最高裁大法廷回付のときも、ジェンダー差別的で
時代遅れだと、人権擁護団体から懸念されるくらいです。
「夫婦別姓禁止・外国で報道」
「夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲とした日本の最高裁判決について、米国の人権擁護団体の関係者は16日、女性が自由に姓を選ぶ権利が損なわれる恐れがあり、他の先進国より『数十年遅れている』と懸念を示した」。 https://t.co/dlD8szLKib
— Tetsuya Kawamoto (@xxcalmo) 2015年12月17日
「米CNNテレビは・・最高裁の判断を報道。日本が夫婦別姓を認めない唯一の先進国で、女性の社会進出も比較的遅れていると指摘。日本の制度は、女性差別的で時代遅れだと多くの女性や国連の担当者が考えているとし、最高裁の判断を聞いて悔し涙を流したという原告女性の様子も伝えた」。
— Tetsuya Kawamoto (@xxcalmo) 2015年12月17日
さらに国連女子差別撤廃委員会から、
選択的夫婦別姓を認めるようにと、
日本は勧告を受けていることにも言及があります。
実際に日本は国連から改善勧告も受けています。
日本ならではの素晴らしいこともたくさん紹介しましたが、
こういった問題点についても番組をきっかけに
考えていただければ」と話したとのことだ。
記事では勧告の回数に触れていないですが
(番組では言った?)、選択的夫婦別姓はすでに4回です。
「民法改正・国連の勧告の歴史」
夫婦別姓 女性再婚禁止期間/最高裁大法廷 何が問われる/民法改正促す違憲判断を http://t.co/P0aYzDjR2B /2015031703_01_0.html※民法自体が制度的差別。家父長制を思いっきり継承している。 pic.twitter.com/aCfN8KqQZm
— 計(ヒコクミン上等🔪ヒノマルに濃硫酸) (@n2470haka) 2015年3月24日
いつも同じような主旨の勧告を受けます。
毎回なにもしていないくて、夫婦同姓を強制する現行法を
そのままにしていますから、無理もないことです。
最後の女子差別撤廃委員からの勧告は2016年3月です。
「CEDAW日本審査・民法改正」
このようなていたらくには、日本政府や日本社会は、
条約締結国は委員会の勧告にしたがって、
国内状況を改善するという本来の主旨を
理解していないことが大きいと言えます。
日本政府は、国連の審査というのは、
日本の現状をいかにして言いわけするかの場だと
思っているらしいということです。
「国連人権委員会・日本審査(2)」
(士農工商の身分制度から建前上は四民平等となった明治の世で、例えば、身分の低い女性が身分の高い男性と結婚した場合、妻はあまり身分が高くない出身であることを示してほしいと思う勢力が存在したとか。
あくまで私の推測ですが)
>日本の夫婦同姓の輸入元であるヨーロッパでは、
1970年代から結婚後の苗字の選択の幅を広げていきます。
選択的夫婦別姓を認めるという問題は、欧米の民主主義国では、
20世紀のうちに終わっていると言えます。
>21世紀に入ると、アジアの国でもジェンダー平等的に
家族法が改正され、夫婦同性が強制されていた国でも、
結婚後の苗字の選択の幅が広がり、
夫婦別姓が選択できるようになります。
ちなみに、夫婦別姓かつ子は父親の苗字を名乗るのが当たり前の国の場合、20世紀から21世紀にかけて、夫婦同性も認められたり、子が母親の苗字を名乗ることもできるようにといった、夫婦同性が当たり前の国とは少し違った形で選択の幅が広げられたのでしょうか?
正・夫婦同姓
失礼しました。
>妻は実家の姓を名乗るよう内務省から通達があったそうですが、
そうなのですよね。
「苗字は出自を表す」というのが、日本政府の公式見解でした。
明治のはじめに近代的な家族制度を整備したときは、
結婚改姓という考えがなかったのだろうと思います。
この「苗字は出自」というのは、儒教の影響を受けた
東アジアの習慣によるものだろうと思います。
東アジアで夫婦別姓の国が多いのは、
「苗字は出自」と考えていたからです。
明治政府が「苗字は出自」という見解を示したとき、
妻の出身身分がわかるようにするためだったかどうかは、
わたしにもなんとも言えないです。
女性が苗字を変えなくていい権利を守るためではない、
ということは、はっきり言えますが。
>夫婦別姓かつ子は父親の苗字を名乗るのが当たり前の国の場合、
そうです。
中国も韓国も婚姻法の改正で、夫婦別姓だけだったものを
夫婦同姓も選択できるようになっています。
また中国も韓国も、かつては子どもの苗字は
父親の苗字と決まっていたものを、
父母のどちらからも選べるようになっています。
https://twitter.com/nana77rey1/status/1008377527163744257
このあたりは、それこそ「国によってジェンダー問題の
事情が異なるから、ジェンダー平等のための施策も
異なってくる」ということになるでしょう。