2018年08月05日

mar0006.gif「同性愛は趣味」発言と伝統的家族

8月4日エントリの続き。

谷川とむの「同性愛は趣味みたいなもの」発言についてです。

「同性愛「趣味みたいなもの」 ネット番組で自民・谷川氏」
(はてなブックマーク)

「自民党の谷川とむ議員、同性愛「趣味みたいなもの」」
「自民・谷川とむ議員「同性婚や夫婦別姓は趣味みたいなもの」発言が物議醸す」

谷川とむは「伝統的な家族」と言い出します。
「言いたいことは結局それか?」という感じです。

 



谷川氏はさらに、異性間だけに婚姻制度がある
理由について「『伝統的な家族』のあり方は、男が女と結婚し、
子を授かって、家族ができ、大昔から同じようなことをして、
国を衰退させないように、国が滅びないようにしてきた」とも主張した。


日本社会には戦後民法によって規定され、企業利益のために
高度経済成長期に普及した「家族イデオロギー」のことでしょう。
この「家族イデオロギー」は日本で家族・ジェンダーに
因習・反動的な人たちが信仰にしているものです。
自民党の基本的な家族・ジェンダー観でもあります。

「家族思想という信仰」
「家族思想信仰における「異教徒」」

同性カップルはこの家族イデオロギーの中にないので、
排除するべき「異教徒」ということになります。
「異教徒」は存在をことごとく無視するのが
この「信仰」のありかたなので、同性愛者のための
法整備は必要はないと考えるということです。


谷川とむは、人びとが子どもを産み、家族を作ることで、
国家が継続される、という主旨のことを言っています。
同性愛者が子どもを産めないから国家の存続に貢献せず、
権利の法整備は必要ないと考えているのでしょう。

子どもは「産む」だけでなく「育てる」必要もあります。
自分は産まなくても、育てることなら同性愛者も、
養子縁組や里親となることで、いくらでも貢献できます。

同性愛者は子どもを産まないから法律の整備は
必要ないというなら、異性愛者であっても不妊症のかたは
同じ理由で法律の整備は必要なくなります。
自身の判断で子どもを持たないと決めている人も同様です。

子どものいない人も、税金を納めています。
その税金は子どもの教育や福祉にも使われます。
自分は子どもがいないのに、他人の子どものために
税金を払うことで貢献をしているということです。


このあたりは番組でも指摘がありましたが、
杉田水脈の「同性愛は子どもを産まないから生産性がない」
発言に対する批判が、そのまま当てはまるでしょう。

「同性カップルは生産性がない?」

共演していたSEALDs(シールズ)元メンバーの
諏訪原健さんは取材に対し、「国家の維持や繁栄に
必要ないものに対し、政治は何もしなくてよいという発想。
子どもをつくらない同性カップルは生産性がない、
と主張した杉田氏の価値観に通じている」と批判した。

杉田水脈の「同性愛者は生産性がない」発言が
批判されている最中なのに、なぜに谷川とむは
「同性愛者は子どもを産まないから法整備は必要ない」なんて
同じような主旨のことを言えるのかとも思います。

このような人は「自分の認識は間違っていない、
問題があるとしたらその言いかただ」と
思っているのではないかと、わたしは思います。
それではたから見たら、空気をまるで読めてないと
思いたくなる差別発言の上塗りができるのでしょう。


谷川とむや杉田水脈を始め、家族やジェンダーに関して
因習・反動的な人たちは、多様性を認めると
子どもを持たない人が増えることになり、
少子化が進むと信じているのだろうと思います。

彼らは出生率を維持・回復させるためには、
自分たちが「信仰」する「家族イデオロギー」に
もとづけく必要があると考えているのでしょう。
それで「信仰」にもとづいた「家族のありかた」の
強要に固執するものと思います。


事実はまったく逆で、特定の「家族イデオロギー」で
硬直した社会ほど、出生率が下がる傾向があります。

「家族主義が家族を壊す」
「「選択的夫婦別姓」訴訟から考える「家族主義が家族を壊す」現実―― 水無田気流」

立命館大学教授・筒井淳也氏が『仕事と家族』(中公新書)で
指摘するように、世界的に見れば家族観が硬直化、
かつ家族成員間の相互扶助負担の重い国ほど少子化が進行するなど、
客観的に見れば「家族主義は家族を壊す」点が指摘できる。

日本は諸外国とくらべてとくに「家族イデオロギー」の
硬直のしかたが強く、雇用とジェンダーがわかちがたく
結びつくといったことに現れています。

「結婚・ジェンダーと雇用問題」
「非正規雇用の待遇 性別と働き方にジェンダーバイアス」

性別と働き方の関連性が日本は特に強いことを、
岩上真珠氏の論文は海外との比較によって明らかにしている。
韓国やイタリアは性別規範の強い国として有名だが、
これらと比べても日本は性別と雇用形態の結びつきが強い。
男性は未婚、女性は既婚に非正規雇用が多い
といったように婚姻と雇用形態の結びつきも強い。

かくして日本は世界でもっとも子どもの少ない国となり、
出生率の低迷に悩み続けることになります。

「世界一子どもが少ない国」


日本と対極的な家族政策を行なったのはフランスです。
時代の変化に合わせて、同性結婚を含めた家族の多様性を
受け入れるよう、法整備を進めてきたのでした。

「フランスの家族政策」
「フランスの家族政策(2)」

「フランスの家族政策には三つの柱がある。
一つは法的環境の整備。事実婚や婚外子の容認、異性同性のカップルに
結婚と同等の権利を与える「連帯市民協約(PACS)」の法制化、
同性婚解禁と、時代とともに進化している。

連帯市民契約(PACS)は、異性結婚にも利用されますが、
もともとは同性結婚の法的権利や
社会保障のために法制化されたものです。
その後、同性結婚の法制化が実現しています。

フランスはヨーロッパの主要国の中では、
出生率がもっとも高い国のひとつです。
家族の多様性を尊重することによって、
出生率の上昇をもたらしたということです。


谷川とむの発言は「国のために人びとは子どもを持ち、
家族を作ってきた」という考えからすでに問題があります。
「国のために個人がいる」という本末転倒な考えかたです。

人びとが子どもを持ち家族を作ってきたのは、
自分自身の生活や幸福のためです。
そうした個人の生活を支えるのが国の役目ということです。
「個人のために国がある」ということです。

国(国家)は人間が生活するために作られた
人間の被造物ですから、人間のために国があることが本来です。
国のために人間がいることになったら、
想像主である人間に対する反逆となります。

「お国のために子どもを産め」という考えを
推し進めたものが、日本の「戦時人口政策」や
ルーマニアのチャウシェスク政権の人口政策です。
それは全体主義や共産主義の政策であり、
いずれ破綻するものであるということです。

「大政翼賛会の母性の保護」
「「お国のために産め」の末路」

posted by たんぽぽ at 17:06 | Comment(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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