2018年08月12日

mar0006.gif東京医科大の点数操作・台湾で批判

東京医科大が点数操作で女子の合格者を
減らしていた
ことが、台湾でもニュースになっています。
ニュースを聞いたかたの感想は、当然ながら相当の酷評です。

「「吐き気を催す差別!」東京医大問題、台湾メディアにボロカス言われている」
(はてなブックマーク)

 
・ひどい性別差別! 東京医科大学、女子受験生の点数天引き
(「嚴重性別歧視! 東京醫科大學:女考生先扣分」『華視新聞』)

・東京医科大が女性受験生差別、入試で軒並み点数天引き、成績を8〜9割に
(「東京醫大歧視女考生 入學試一律扣分 成績打八或九折」『ETtoday新聞雲』)

・もっとも吐き気を催す差別! トップクラス医科大学が女子受験生に
「まずは点数を天引きしてから」とやっていたスキャンダル
(「最噁歧視!頂尖醫科大學遭爆逢女考生「先扣分再說」」『中時電子報』)

・東京医科大学がすべての女子受験生の点数天引き、
陋習(ろうしゅう)は少なくともすでに7年間
(「東京醫大凡女考生都先扣分 陋習至少已七年」『中廣新聞網』)

・女子学生にこっそり点数天引き、東京医科大学の
差別スキャンダルが大暴露される、白い巨塔の暗黒面、
8年にわたり手を加えられた入学試験
(「女學生偷偷扣分 東京醫科大爆歧視醜聞 白色巨塔K暗面
8年來入學考被動手腳」『台視新聞』)

「もっとも吐き気を催す差別」とまで言われています。
たまたま台湾でしたが、どこの国の人が見ても、
これくらい酷評することだと思います。

大学入学試験に合格するためには、ものすごい努力が必要です。
その努力をこのようなかたちで踏みにじられるのですから、
猛烈に批判して当然のことだと思います。


日本の医師の女性の割合は2012年に19.7%、
2007-08年ごろは18.0%でした。

「女性医師の年次推移」

各国の女性医師の割合(%)

このOECDの女性医師の割合を比較した図は、
おそらく2007-08年ごろのデータと思われます。
OECD単純平均は41.5%で、日本と韓国だけが
飛び抜けて女性医師の割合が低い2国です。

台湾の女性医師の割合は2016年に34%で、2007年でも28%です。
2007年のデータはOECDの統計とほぼ単純に
比較できると思いますが、台湾はOECD加重平均にもおよばず、
もっとも下位のほうになってはいます。

http://taraxacum.seesaa.net/article/460939643.html
・同じ黄色人種の国(あるいは地域)の台湾では、
女性医師の割合が2007の28%→2016年の34%に上昇したのだが?
(中国語なので私は読めませんが、
ツイッターで少し訳してくれた方がいました)

http://m.ltn.com.tw/news/life/paper/999800
(アイス at 2018年08月07日 01:03)

それでも台湾の女性医師の割合は、
日本、韓国と比べるとはるかに割合は高いです。
2016年には34%なので、国際水準からの比較でも
いくらか改善されているのではないかと思います。


台湾は意外と(?)リベラルです。
ジェンダー平等も進んでいるし、性的少数者に対する理解もあります。
独立国でないゆえにOECDなどによる国際統計が
取られることが少ないので、あまりわからないですが。

総統(大統領に相当)の蔡英文からして女性だし、
最大野党・国民党の前党首も女性。国会議員に相当する立法委員の
女性率は38%に達し、国際平均の22%を大きく上回る
(ちなみに中国は24%で国際水準以上だが、
日本は13.7%で世界140位である)。台湾では女性社長も多く、
女性の社会進出は明らかに日本よりも進んでいる。
付言すると台湾はLGBT問題についてもアジア有数の
寛容な姿勢を取っており、昨年5月には台湾最高裁が
同性婚の不許可を違憲とする判決を出した(2年以内に法整備される)ほか、
2016年には蔡英文政権の政務委員(閣僚級)に
トランスジェンダーの唐鳳氏(当時35歳)が選ばれた。
台湾のこういう面は日本では一般にあまり知られていないが、
実は驚くほどのリベラル国家なのである。


上述の同性結婚を認めない現行の家族法は、
2017年5月に違憲判決が出ています。
2年以内に法整備が必要なので、2019年5月までには
同性結婚が法的に認められる可能性が高いことになります。

「同性婚、アジアで初めて容認へ 台湾司法院「認めないのは憲法違反」」
台湾の司法最高機関にあたる司法院大法官会議は5月24日、
「同性同士での結婚を認めない民法は憲法に反する」という判断を下した。
BBCやテレグラフ紙などが報じた。

判決を受け、台湾政府は2年以内に民法を改正するか、
新法をつくらなければならない。

台湾は以前から、アジアで最初の同性結婚を
法的に認める国(地域)になる可能性が高いと言われていました。
アジアで同性結婚の法制化が実現する可能性が
高い国として、ほかにタイがあります。
どちらがアジア初になるでしょうか?

「タイで同性結婚法案が成立の可能性」


多くの台湾人女性にとって、日本人男性の「亭主関白」は
とてもついていけないものであり、それが台湾人女性と
日本人男性の結婚の離婚率が高い原因にもなっています。

「本当は怖い?日本の男性」
「日本人男性と台湾人女性の結婚の場合、非常に離婚率が高く、
日本人女性と台湾人男性の場合は非常に離婚率が低いらしい」


日本人の「亭主関白」ぶりに台湾人女性がついていけないという。
台湾行政院(内閣)の統計によると、
昨年1年間でこの組み合わせの離婚率は28.84%で、約4組に1組が離婚。
2位のベトナム人男性−台湾人女性カップルの9.83%を大きく引き離している。
日本人女性と台湾人男性の組み合わせは3.65%だった。

日本人の亭主関白ぶりについて、台湾の離婚女性支援団体
「晩晴協会」は「台湾女性がほっとする暇がない」と説明。
日本人男性との離婚経験がある台湾の女性タレント、
温翠蘋(おんすいぴん)さんは、妻は控えめに
しなければならないといった日本社会の伝統以外にも

日本と台湾のジェンダー平等の浸透の程度を考えれば、
平均的な日本人男性の因習・反動的な
家族・ジェンダー観は、平均的な台湾人女性には
とても受け付けないだろうと思います。



謝辞:

OECD各国の女性医師の割合を示した厚生労働省の資料と、
台湾の女性医師の割合についての記事を、
8月6日エントリのコメント欄でご紹介してくださった
アイスさま、まことにありがとうございます。

posted by たんぽぽ at 23:07 | Comment(3) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
コメントを紹介してくださってありがとうございます。

正直このままでは男女平等に関して、欧米のみならず、台湾・中国・シンガポール・フィリピンといったアジアの国からも、日本は馬鹿にされますよと思う今日この頃です。

とはいえ、台湾も国民党による独裁政権時代は男性中心の政治だったたようです。
中国は共産党による一党独裁政権で、強大な権力を持つ政治局常務委員は全員男性。
シンガポールは、家政婦を雇う文化があるそうです。
フィリピンには社会格差や貧困問題などが深刻という問題はあります。

ただ、欧米も昔は日本と同じかそれ以上の男尊女卑社会で(調べてみたら興味深いですよ)、それが数十年〜100年以上をかけて、曲がりなりにも男女平等に近づいているのです。
だからこそ、先進国とされ、財政面や教育面ではある程度条件が整っている日本でも、ジェンダー平等を目指すことは十分可能であり、そのために社会政策を進めないといけないんですけどね。
(大きなネックは、保守派政治家の頑迷さと、悪習を是認・黙認する何割かの国民の意識だと思っています)

https://www.jiji.com/sp/graphics?p=ve_int_china20171025j-01-w470

https://search.yahoo.co.jp/amp/s/toyokeizai.net/articles/amp/119025%3Fusqp%3Dmq331AQGCAEoATgA

https://m.huffingtonpost.jp/abroaders/gender-philippines_b_9815268.html
Posted by アイス at 2018年08月16日 22:34
アイスさま、こちらにもコメントありがとうございます。

>コメントを紹介してくださってありがとうございます。

いえいえ、こちらこそ、
資料を教えていただきありがとうございます。

>男女平等に関して、欧米のみならず、
>台湾・中国・シンガポール・フィリピンといった
>アジアの国からも、日本は

日本のジェンダー不平等の程度は、アジアから見ても
深刻なレベルになるのは、現状が続けばそう遠くない未来ですね。

大半の日本人は、いまだに自分たちは先進国、
欧米にはかなわないところがあるかもしれないが、
アジアならどこよりも進んでいるという自負心があるので、
問題意識を感じない人たちが多いのがゆゆしいところです。


>欧米も昔は日本と同じかそれ以上の男尊女卑社会で
>(調べてみたら興味深いですよ)、

ナサニエル・ホーソンの『緋文字』とか、
トーマス・ハーディの『ダーバーヴィル家のテス』とか、
ヘンリック・イプセンの『人形の家』とか19世紀の小説を見ると、
欧米でも100数十年前は、いまでは考えられないような
ジェンダー差別が横行していたことがよくわかりますね。

いまの日本の「純潔教育」が好きな人たちが推進する社会は、
19世紀のヴィクトリア朝時代のイギリスで現実でした。

「避妊とポルノグラフィ」
http://sitsuji.ashrose.net/archives/1767


20世紀に入ると女性の参政権を認める国が少しずつ
出てくるようになりますが、それでも女性の権利を
じゅうぶん顧みるようになったとは、まだ言えなかったですね。

ワイマール憲法はジェンダー平等を明確に
掲げていましたが、最初の選挙で女性議員は8%でした。
これでも他国よりは女性議員の割合は高く、
最初のワイマール共和国は「女性に開かれた議会」でした。

サマセット・モームの『月と六ペンス』(1919年)を見ると、
「女房なんて俺にかまわず、おとなしく家事を
してくれていればいい」という男に対して
「女が夫の奴隷だった時代が、あんたの理想なんだね」と
言い返す人が出てくるので、この時代になると
進歩的な人はこう考えていたのかと思っています。

ジェンダー平等の実現を、本格的に国際社会が
目指すようになるのは、20世紀の後半に入って
だいぶ経ってからだと思います。


>それが数十年〜100年以上をかけて、
>曲がりなりにも男女平等に近づいているのです。

ジェンダー差別の解消とジェンダー平等の実現が
国際社会のコンセンサスとなってから、どれだけジェンダー平等の
浸透に尽力するかが大事なのだと思います。


>先進国とされ、財政面や教育面ではある程度条件が整っている日本でも、

現代社会では基本的に経済力があれば、
たいていの差別は解消できる、経済力があって
差別が解消できないことないと考えれらていますね。

日本でも本来差別は解消できるはずであり、
解消されないのは、当人たちの意思であって、
経済力のせいではないということだと思います。
Posted by たんぽぽ at 2018年08月18日 11:14
>https://www.jiji.com/sp/graphics?p=ve_int_china20171025j-01-w470
>https://search.yahoo.co.jp/amp/s/toyokeizai.net/articles/amp/119025%3Fusqp%3Dmq331AQGCAEoATgA
>https://m.huffingtonpost.jp/abroaders/gender-philippines_b_9815268.html

いろいろとご紹介ありがとうございます。


>中国は共産党による一党独裁政権で、強大な権力を持つ政治局常務委員は全員男性

中国はいささか意外でした。

中国は共産主義国でジェンダー平等は
浸透しているほうなのに、ジェンダーギャップ指数の順位が
あまり高くないので、どういうことかと思っていたのですが、
そのあたりが原因かもしれないですね。


>シンガポールは、家政婦を雇う文化があるそうです。

シンガポールのメイドは、前に話題になったことがありますよ。
反フェミやら冷笑系やらが「メイドを奴隷のような
賃金で扱うからジェンダー平等が実現する」などと言って、
勝ち誇ったようになったことがありました。

「シンガポールのメイドは奴隷か?!と議論する前に知っていて欲しいこと」
http://uniunichan.hatenablog.com/entry/20161201maid

シンガポールの外国人メイドの人件費は安いのですが、
それは経済力に格差のある国の人を雇っているからです。
日本の企業が人件費の安い国に工場を建てて製品を作ることで、
価格を安くしているのと同じようなものです。

外国人メイドにとっては、自分の国の経済力から見たら
かなりの高給なので、自分の生活の向上と、
ひいては自分の国の経済力の向上に必要なものです。
(メイドの出身国に経済力がついて、シンガポールとの経済格差が
小さくなったら、廃れていくのだと思いますが。)


>フィリピンには社会格差や貧困問題などが深刻という問題はあります。

フィリピンの格差問題は、ジェンダーとは関係ないですね。

深刻な格差があるにもかかわらず、ジェンダー平等の
達成度が高いのは、なかなかものだと思います。
たいていの国では格差のしわよせは、社会的弱者や
被差別マイノリティに行くし、女性はその典型だからです。

前に階級問題をジェンダー問題にすり替えて、
フィリピンのことを論じていた「反フェミ」がいましたが。
端的に言えば「お姫さまは貧困層の息子より裕福な
暮らしをしているから、ジェンダー差別はない」
というのと同じような主旨の主張です。

「階級とジェンダーのすり替え」
http://pissenlit16.seesaa.net/article/442014089.html
「一部の特例をもって全否定」
http://pissenlit16.seesaa.net/article/442105881.html



>(大きなネックは、保守派政治家の頑迷さと、
>悪習を是認・黙認する何割かの国民の意識だと思っています)

わたしもそれらの人たちはネックだと思います。
とくにやっかいなのか後者ですね。
これは日本に顕著ではないかと思っているからです。

反ジェンダー平等的な人、ジェンダー差別的な人は、
おそらくどこの国にも一定の割合いると思います。
これに関しては、日本も他国とそれほど変わらないと思います。

違っているのは、それ以外の社会一般の人たちだと思います。
諸外国は社会一般の人たちのあいだに、
差別を容認しない意識が、ずっと浸透していると思います。
それで差別主義者がのさばる余地が、
あまり大きくないのではないかと思います。

日本は社会一般のあいだに、差別を容認ないし黙認を
する人たちが、他国とくらべて多いのだと思います。
それで差別主義者が野放しないし助長されて、
差別がまかり通る社会になるのではないかと思います。
Posted by たんぽぽ at 2018年08月18日 22:04
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